エース。

今朝の地元スポーツ紙に、今季から横浜ベイスターズに移籍した清水直行投手の記事が載っていた。
清水直行と言えば、いわずもがな昨シーズンまでのマリーンズのエース。
昨季６勝とはいえ、マウンド上での立ち振る舞い、風格、度胸、どれをとってもエースという称号に一番ふさわしい投手だった。
毎年勝ち星と負け星が同じくらいになってしまうのは、比較的Ｂクラスが多いチームがゆえのこと。
開幕をはじめ３連戦のアタマに相手のエースと投げ合うことが多いだけに、味方打線との兼ね合いも大きい。
いくら小林宏行投手や渡辺俊介投手が勝ち星を重ねたとしても、やはりマリーンズのエースは清水直行だったのである。







自分が関東に住み始めたのが、１９９５年。
始めは埼玉で、近くには西武球場があった。
そこでマリーンズの試合を生で観たのが最初。
熱狂的なマリーンズファンになったのは、それから数年後、千葉に移り住みマリンスタジアムに足繁く通いはじめてからである。
その時のエースが、ジョニー黒木。
１９９９年に小宮山投手が移籍したあと、万年Ｂクラスのマリーンズを熱いハートで引っ張っていた。
そして２００１年、彼の不慮のリタイア後、その彼の熱いハートの遺伝子を受け継いだのが清水直行であった。



ただ、清水直行という投手がまず強烈に輝きを発したのは、セットアッパーとしての役割であった。
キレのある直球と高速スライダーで、セットアッパー時代は面白いように空振りを取った。
チームは相変わらずの低迷に喘いでいたが、クローザーの小林雅英投手との試合終盤の二枚看板は鉄壁で抜群の安定感を誇っており、誰もがしばらくの間はその役割を信じて疑わなかった。
そしてあの運命の年。
２００２年のマリーンズ、開幕１１連敗。
１９９８年の１８連敗に勝るとも劣らない不名誉な記録だ。
開幕から、ひとつも勝てないのである。
いくら後ろがしっかりしていても、終盤までリードを許していたらクローザーやセットアッパーは宝の持ち腐れだ。
そして開幕１２試合目の先発投手に抜擢されたのが、本来後ろで投げるはずの清水直行であった。
その試合、見事に彼はチームの連敗を止める。
奇しくもそれが、それから数年間の清水直行のエースとしての地位を確立するきっかけとなったのである。
運命とは、不思議なものだ。



思えば、自分が名古屋に帰ってきたのがマリーンズが日本一になった２００５年秋であるから、自分はマリーンズが一番ドン底からテッペンに上り詰めるまでの幸せでエキサイティングな時間を、丁度目の当たりにしてきたことになる。
そしてその時代のマリーンズのマウンドには、いつも清水直行がいた。
自分にとって、ジョニー黒木とともに、清水直行という選手は自分の知っているマリーンズの象徴みたいなものである。
ただ、ナオ（清水投手）自身には紆余曲折があって、とても順風満帆ばかりであったとは言えない。
なかなか勝ち星が負け星を上回らないシーズンも続いた。
ピッチングは抜群なのに、毎年なかなか勝ち星が付いてこないのである。
ファンの中では、マリーンズのエースとしての是非を問われたりもした。
プライベートでは、最愛の夫人を長い闘病生活の末亡くすという不幸にも見舞われている。
脆さと強さ。
彼を考えるとき、その両方を見る。
そして其の果てに見えるのは、彼の愛すべき人間性である。
そんな彼が、今シーズンからマリーンズを去る。。。
ぜひとも新天地では、頑張ってもらいたいと思う。
いや、きっと吹っ切れた彼ならば、その抜群の球威と勝負度胸で必ず結果を残すと確信する。
そしてその熱いハートは、きっとベイスターズファンにも届くはずだ。
見ればわかる。
彼のことを。








＜追記＞

思えば、名古屋はほとんどセリーグの試合しか観れない環境にある。
マリーンズファンを辞める気などさらさらないが、清水直行投手がベイスターズに行ったことによって、今年は少し注目したくなった。
ぜひ、ナゴヤドームのドラゴンズ戦に投げてもらいたいものである。


そういえば、ジョニー黒木とバッテリーを組んでいた清水将海捕手も、数年前にドラゴンズに移籍したがなかなか一軍では使ってもらえない。
彼も守備は一流。
ただマリーンズ時代からバッティングが。。。
谷繁やら小田やらがいては、なかなか苦しいか。


マサ（小林雅英投手）は、ジャイアンツに。
とてももう全盛期の力は望めないだろうし、観るのが怖い。。。


まあ、どちらにせよ、セリーグに移籍した”元マリーンズ”の選手は、名古屋で観るチャンスもあるだろう。
ベイスターズには、同じく今期移籍した橋本将捕手もいる。
個人的には、皆、応援している。