8月は空ばかり見ていた。
慣れないことも多く、ただ言われるままに流されたり、ぼんやり考えたり。
とてもではないが、働き盛りで不惑と言われる四十男の行動とは思えないものだ。
いくつかのことが終わり、そしてゆっくりと始まった。
そんな8月。
それでも、普段は会わないような色々な人にも会い、世界観も少しは広がった気がする。
いろいろなモノが、まだ頭の中で中和できずにいる。
ただ、あまりヘタレた自分の . . . 本文を読む
ただひとつ、最大の間違いがあったとすれば、あの時せっかく映画に誘うことができた彼女に、怖じけづいてその後、自らキャンセルしてしまったことだ。
誘った映画は、恥ずかしながらアニメ映画だった。
彼女が好きだったから。
安彦監督の「アリオン」。
懐かしい。
もう25年も前の話。
初めての告白。
初めての約束。
初めてのデート。
今思えば、そのとき踏み違えてしまった自分の生き方の階段を、未だに . . . 本文を読む
父の買い物で気になっていることがある。
母が思うように動けなくなって以来、もっぱら我が家の日々の食事のための買い物は父の仕事となっていた。
もちろん、私が仕事が休みの日には、車で大型スーパーへ連れて行くことも多い。
だが基本的に、実家へ戻ってきてからの私は、食費を1ヶ月分まとめて家計に入れるという形をとり、自ら買い物をすることはなくなった。
母の食事は父がほとんど作っていたし、私も仕事で自宅に . . . 本文を読む
働かざるもの食うべからず。
それは万国共通、今も昔も変わりない。
皆生きていくために働かなければならない。
前回の記事の中の「男は仕事か?」・・・という言葉のニュアンスが、勘違いされては困る。
言いたいのは、ただそれだけのことだ。
自分のため、守る人のため、周りのため、社会のため、国のため、地球のため、人は働かなければならないエコノミックアニマルである。
それがイヤなら、畑を耕して自給自足か、 . . . 本文を読む
仕事を投げ出すように地元に帰ってきた4年半。
それは同時に、病気の母と過ごした最後の4年半ということだ。
自分は、仕事のために長らく親元を離れていた。
いや仕事のためというよりも、自分の人生のために。
それは現代社会では、ごく当たり前のことだろうと思う。
既婚だろうと未婚だろうと、住まいとは別に故郷がある人は数限りない。
親離れ、子離れすることも、現代社会で何かを得ようとするためには必要なこ . . . 本文を読む
忙しくも、平和に過ぎる毎日。
それは、はたして良いことなのかどうかはわからない。
ここ最近は、なぜか無風状態というところだ。
ただ母がいなくなって、父はどうなのだろう。
よくわからない。
こちらは相変わらず仕事で忙しいし、日々のことはわからない。
ちゃんと昼は食べているのだろうか心配で、毎日深夜遅くの帰宅をすると昼に何を食べたか尋ねるのが日課になっている。
父の日々は、これまでに比べて確実 . . . 本文を読む
連日の猛暑日。
夕方6時。
歯医者へ向かう途中。
ひとっこひとり見かけない。
十字路に出ても、はるか先まで動かない風景。
ずっと見慣れた住宅街も、それはまるで無人の惑星。
死に絶えた町。
いつか観た映画だったか。
ただセミだけがけたたましく鳴いていて、他には何も聞こえない。
何分か歩いたが、見かけたのは猫、ネコ、ねこ・・・。
動いているものを見たのは、それだけだった。
公園の脇では、何匹かたむ . . . 本文を読む
先日の母の通夜の日に、久しぶりに従弟(いとこ)に会った。
叔母(母の妹)の息子で、歳はひとつ違い。
祖父(母の父)はすでに亡くなっており、祖母も高齢で入院生活となった今、母方の従弟とは中々会う機会もなかった。
佛教大学の大学院まで行って、就職をせず・・・までは知っていたのだが。。。
なんとその彼、趣味が高じてバイク雑誌の読者専属レポーターをやっているとか。
毎月決まった2ページ枠をもらって、連 . . . 本文を読む
8月になると、メディアでは太平洋戦争当時の話題が多くなる。
自分はもちろん戦後生まれの戦争を知らない世代だ。
時が経てば経つほど、真実を伝えることは難しい。
忘れ去られ風化する前に、伝えようとする人がいる。
ただ伝えるとは、伝えられる側の意識の問題も重要である。
聞こうとしなければ、いくら語られたとしてもそれは馬の耳に念仏。
今に生きる自分は、本当に理解できているのだろうか。
ヒトは身に沁 . . . 本文を読む
HEATWAVE アルバム「陽はまた昇る」(1992)より
「ゆきてかえらず」
美しき河は流れ
そのほとりに僕は立ち
寄せてはかえす日々の中で
愛しきひとを想う
人と出会い そして別れ
幾度も日はあけたけれど
きっと今日の出来事など
また忘れてしまうだろう
悲しみは人に告げず
この胸にしまっておけるなら
橋を渡り 河を越え
永 . . . 本文を読む