チューリヒ、そして広島

スイス・チューリヒに住んで(た時)の雑感と帰国後のスイス関連話題。2007年4月からは広島移住。タイトルも変えました。

ドイツ人進撃中

2005年03月09日 06時00分06秒 | Weblog
スイスにおける外国人については何度か書いたことがありますが(最初はこれ)、よくお世話になっている「20Minuten」紙に外国人関係のネタが昨日、今日と続けて出ています。

3月8日付の記事(チューリヒ版)によると、スイスにおける定住外国人の数は2004年に非常に増えて、人口全体の 20.2% を占めるに至ったとのこと。スイスの人口は741万8000人(前年比+0.7%)で、そのうち149万5000人が外国人ということになります。住民の5人に1人が外国人ということです。

外国人のうちで最も増えたのがドイツ人。2004年だけで1万1228人増え、合計で14万4864人になったそうです。2000年の時点では10万8000人だったとのこと。こんなに急に増えたことは過去になかったという話です。定住数の多い順では、イタリア(20.1%)、セルビア・モンテネグロ(13.3%)、ポルトガル(10.7%)、そしてドイツ(9.7%)と続きます。

スイスに定住するということは、そこで働いて収入を得るということになるわけで、2004年にスイスで恒常的定職を得たドイツ人の数は1万1992人で、2003年に比べて 29% 増加しています(7日付の紙面による)。期限付きの雇用契約を得たドイツ人は3万1513人。

連邦政府によれば、ドイツ人がかくもたくさんスイスに流れ込んできた理由は、ドイツの失業率が高いことと、2004年から、スイス人を優先的に雇用する仕組み(?)が撤廃されたことにあるといいます。

この事実は当然ながら、スイス人労働者の不安をかきたてるわけで、労働組合は危機感を募らせているとのこと。スイス経済は成長していないのに、外国人労働者が増えているというのですから。

労働者といっても、いろいろな労働がもちろんあるわけで、たとえば大学教員などは、ドイツ人の割合がずっと多くなります。チューリヒ大学の場合、スイス人の教授が 56% なのに対してドイツ人の教授は 31%。同じドイツ語圏でも、オーストリア人教授だとわずか 4% に過ぎません(チューリヒ大学が公開している統計による)。神学部でも、ドイツ人の教授や助手を何人も見かけます。

大学も、一般社会も、ドイツ人の参与なしでは動いていないスイス。ヒットラーの進撃は何とか食い止めたスイスも(ナチス鉤十字を身につけることなどを禁ずる法律が目下審議中)、現代ドイツのそれを止めることはできないようです。大方のスイス人は、止めようとも思っていないでしょうけれど。7日の 20Minuten 紙の記事のタイトルは "Deutsche auf dem Vormarsch" (ドイツ人進撃中)でした。


(上の写真は、雪化粧したチューリヒの町。ここに住んでいる5人に1人は外国人なのです。)