待ってるぞ~・・・
奉公に出されていた方々が、実家に帰ることを許されるやぶ入り(宿入り)。
嬉しかったろうな~・・・
甘えたい時に親元を離れそれはそれは辛い毎日を過ごすのですから。
あまりの辛さに夜空見上げて泣いたこともあったかもしれません、「おっか~!」
少しの給金と土産を手に弾んで帰ったことでしょう。
帰る家があれば・・・
甘やかされて、寺のボンボンで大事大事で育てられたコイツに何が分かるでしょうか・・・
コイツがこんな事を書くのも申し訳なく思うことです。
この日だけは、地獄の釜もお休みとか・・・
ホンマか!!!
宇和島にある他宗S寺様は「閻魔さん」で親しまれておられます。
毎年、このやぶ入りの時に閻魔さんのご法要をお勤めされます。
用事があり外出したついでに「閻魔さん、見て帰ろう!」
どうせ落ちんならんところだし、ちょっとでも免疫付けとこう・・・
村上天心筆の8畳敷き程の閻魔さんの大幅が掛かっています。
迫力ある閻魔さんの前に一人佇みます・・・
この恐ろしい顔の向こうに我が生きる恐ろしい一日が見えるようです。
「すいません・・・」
頭を下げました。
堂内に「十王図」「地獄相変図」等々がお飾りされていました。
それはそれは、恐ろしい絵図です。
鬼たちの容赦のない姿・・・
つき刺し、切り刻み、打ち砕き、舌を抜き、皮を剥ぐ・・・
バラバラになる亡者の身体、血を吐き、鬼に食われ、骨となる・・・
あ~、これで終わったと思いきや、鬼がカナ棒で地を「ドン、ドン」すると又亡者の姿となり同じ苦しみを受ける・・・
休むことなく・・・
ず~っと!
私がしている姿であります。
善人面して口に良いことばかりを並べ生きる・・・
外面被って良い人を演じる・・・
「生きる」そのことの為に、なんと恐ろしい腹の中を抱えることか・・・
鬼と自分が重なる時、「間違いないよな・・・オレがここに行かんと誰が行くのか・・・」
重たい気持ちで帰りました。
「そうなろうと思い行ったのですが・・・分かっちゃいるけど止められんよな~この人生!」
止められんけど、
「すいません」言いながら生きて行こうよ!
「ごめんなさい」言いながら生きて行こうよ!
ね、どうよ!