お~っ、帰って来てくれたんか・・・
奥様の49日法要でした。
ご夫妻揃われ徳正寺を支えて下さったお方でした。
ご主人も身体の調子を崩され入院中ですが、久しぶりに我が家にお帰りになられたのです。
「よう、お参り下さいました。家内もよう来てくださったと喜んでいるように感じます。」
「ありがとうございます。私もお参りさせていただいてその声を聞かせていただいたような気がします。」
久しぶりにその家に温かい空気が満たされます。
去年のお取り越しにお参りした時にはお二方も留守でもの凄く寂しかったのを思い出していました。
「ワシは、ここでは死ねんな~・・・」
なかなか思うように回復しない身体を見つめる日々が続くのでしょうか・・・
「もうすぐワシも死にますけんな~、その時は迷惑掛けます・・・」
切ない言葉に、否定することもできずに手を擦るのが精一杯でした。
無力です・・・
懐かしい愛する人の空気に触れながら、
捜したでしょう・・・
呼んだでしょう・・・
先日のニュージーランドの話ではありませんが、捜さずには、呼ばずにはおれなかったでしょう。
襖に、廊下に、ドアに、畳に・・・どこを触れても愛する妻を思い出す、そんな空気。
お納骨をされるのにお墓まで行けないご主人の足の上に御遺骨を乗せられました。
軽くとも重い愛する人の御遺骨、
堪らず泣かれました・・・
今も尚、こうやって愛する人を思う姿のなんと尊いことか・・・
「ワシも直ぐに行くけんの・・・」
御遺骨を抱きしめながらつぶやいておられました。
ご法事の途中で松山にいるお孫さんが帰って来てくれました。
夜勤明けなのに、疲れた表情など見せることもなくお爺ちゃんの横に座られました。
足を擦って上げながら見上げるお孫ちゃんの顔のなんと優しいこと。
あ~、大事に育まれたのだな~って知らさせていただくことです。
そのお孫ちゃんの頭を撫でながら「よう帰ってくれたの~」って又、涙・・・
寂しい心が、そんな優しさ、温もりに触れ融けるのでしょうか・・・
もしかしたら死に別れ、会えるお前じゃなかったのに・・・
会えてよかった!
婆さんのご縁に会えてよかった・・・
ご縁の間中、私の背中を人生の大先輩の温かいお念仏が擦って下さいます。
私も参りますから・・・