月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

納骨帰省

2012年02月25日 19時34分08秒 | 仏々相念(住職日記)

ここにしか・・・

 

一度は関東まで車で行ってみたいな~ってよく思います。

名古屋までは通して行ったことがあるのですが、その先は残念ながら・・・

富士山もいいよな~、ディズニーランドもいいよな~・・・

長野とか爽やかそうでいいよな~・・・等々。

家族でワイワイ行けたら楽しいだろうな~って思います。

 

お母さんの49日と納骨に埼玉からお帰りになられました。

初めてお会いするお方です。

予め相談させていただいており今日の日を迎えました。

 

「何時間かかりますか?」

「通してくると12時間程でしょうか。この度は大阪の叔母の所に寄ったものですから・・・」

「遠方ですのに、ようお帰りになられましたね。」

「はい、ありがとうございます。お墓は、こちらにしかありませんから・・・」

過日の墓事情ではありませんが、つらつらとそんなことが頭によぎりながらのご縁となりました。

 

2時間程、本堂で一緒に過ごさせていただき、お墓へ・・・

ここから車で20分ほど走ります。

喪主様の後に続いて上がらせていただいたのですが、長旅の疲れもあるのでしょうがその背中はどこか寂しく見えることです。

「お母さん、帰ったね・・・」

つぶやきながら納骨をされました。

そこに遺骨はあってもそこにいる御教えではありません・・・

でも、何となく分かる気がするのです。

 

旅行とか行ってもそうですよね。

旅行はもの凄く楽しいものです。

しんどい日常を離れいろんな珍しいモノを観たり食べたり・・・

私は、人見知りですので、多分、知った人に会わないだろうということが楽だったりします。

でも、人混みの中で息が詰まりそうになったり時間に追われるしんどさの中に「はよ、ウチに帰ろう・・・」

酷い時には、ウチ大好きの私は家から出て間なしに帰ることを考えることもあります。

長旅を終え辿り着いた我が家で、「あ~、帰ったね~」って言い合う。

心地いい疲れが出る時です。

 

懐かしい故郷の空気に触れながら、「お母さん、帰ったね・・・」って自然にこぼれ出るのでしょう。

どれだけこの故郷を離れていたのかは存じません・・・

でも、ながい人生の旅を終えこの故郷に連れて帰るのです。

しんどかったね~・・・なのでしょうか。

辛かったね~・・・なのでしょうか。

楽しかったね~・・・なのでしょうか。

心地いい疲れと寂しさを抱えつつ納骨されました。

 

また、12時間かけて帰っていくのです。

自らが掴んできた空間に・・・

それを保つがために歩む日常に・・・

例えそこにはしんどさと苦しさの現実が待ち構えていようとも、そこに帰っていくのです。

高台にある墓地から故郷を眺めておられました。

まるで心にしっかりとこの光景を焼きつけ、現実に押し潰されそうになったらこれを思い出そう・・・そんなお姿に感じたことでした。

 

これからも、ず~っと一緒におって下さいます。

仏さまのおはたらきとなって・・・

私の人生の旅を一緒に歩んで下さってます。

ず~っと、ず~っと抱きしめておって下さいます。

だから、安心してこの一日を大切に過ごさせていただきましょう。

 

安心して・・・