願生るって・・・
雪に降られ、雨にたたかれ、泥水を跳ね上げ、自らをドロドロにしながらも私を包み運んでくれるニコニコ。
雨上がりの南予路をカタカタコトコト、走り抜けてくれます。
どろんこのままでテンション下がってしまいますが・・・
愛しくてたまりません。
お母さんの切ないご縁でしたが、ご家族でお迎えいただいて温かい空気の中、ひと時手を合わさせていただいたことです。
大病をされたお母さんでしたが、明るく優しいおはたらきのお方だったようです。
その明るさの中にお育てをいただいたご家族は皆明るく優しいのです。
間の休みに語られるお話は、決して笑えるような話ではありません・・・
でも、しんどい姿であろうとも常に明るい姿がベースのお母さん、思い出す時はやっぱり微笑んでしまうのでしょう。
涙を流しながらも微笑むのです・・・
優しさに出会うから・・・
お母さんの大きな手術が控えている時、長女さんも大きな事故に遭われる。
車を運転している時に後続車に追突され車を修理に出すのです。
原チャリに乗り換えお母さんのお見舞いに行かれる時に又、後続車が追突。
今だから言える話、「もう駄目です・・・」そう言われた大きな事故。
鼻・口・耳・・・どこからも血が噴き出していた状態、お父さんの会社名を告げ意識を失ったとか。
手術後も10日間意識不明の状態が続いたとか・・・
なんとか、回復されて行きます・・・
動けるようになり何とか外泊をもらい、お母さんの事を案じ母の病院に付き添いに行かれたとか・・・
母に心配を掛けないように、精一杯の力を振り絞り「優しさ」を振り向ける。
こんな大変なことをさらりと言ってのけるのです。
笑いながら・・・
凄いですね~ってつぶやいていました。
お茶をいただきながらご家族と車座になり穏やかで優しい時が直ぐに流れます。
もっとお話を聞きたかったのですが、次の予定があったために続いてお勤めさせていただいたことです。
「一緒に食事でも・・・」ってご主人様に言っていただいたのですが、
「すいません、次が・・・」って帰り支度をしていました。
すると、先程の長女さんが、「弟が徳正寺さんのブログを探してくれまして読ませていただいてます。」
「ありがとうございます。」と言いつつ、恥ずかしい日常が頭の中をサ~っと駈け廻ります。
こんなブログでも、「読んでいくと感動する言葉に出会います。」っておっしゃっていただくのです。
「なかでも、『願生る』ってよく分かります。『頑張る』って言葉には抵抗がありますが、『願生る』って頷けるのです。それからは、友だちにもこの思いを伝えています。」って・・・
嬉しかった!本当に・・・
これだけのしんどさを経験された方がこうおっしゃって下さるのです。
お母さんの姿の中に「皆の思いに包まれて生かさせていただく姿」を思われていたのかもしれません。
お母さん、そんなに『頑張らなくても』いいから・・・って思う時もあったかもしれません。
でも、優しく支えてくれる夫の思い・・・
怪我をしながらも、病気をしながらも、支えてくれる子どもの思い・・・
その思いに出会い生かさせていただく姿は、時として「死にたくない・・・」って歯を食いしばるのです。
頑なに張りながら何かを掴んでっていうことではなく、
「ありがとう」って生き抜く人生、もっと、そのひと時を大切に重ねたい・・・
自らも死を見つめつつ、いろんな方の支えをいただき各思われていたのかもしれません。
「頑張らなくていい」その言葉に出会う度に思うのです。
確かに、病に苦しみ怪我の痛みに耐え、死を前に恐れている時、何も頑張らなくてもいいのです。
医師に任せ、愛する方に痛むところを擦ってもらえばいいのです・・・
甘えればいいのです・・・
仏さまにお任せすればいいのです・・・
でも、それぞれに苦しみを抱えつつ微笑み擦ってくれるはたらきに出会う時、苦しいながらも「願生ろう!」って思えるのでしょう。
この一つしかない命を大切に生き抜かさせていただこう・・・
ドロドロになり傷付きながらもこの私を包み込んでくれるあなたに出遇い、この命の大切さを知るのでしょう・・・
「願生ろう!」そう思いつつ・・・
でも、これ・・・こういうしんどさに触れていないコイツが言うこと。
儘なりません・・・
あまりの苦しみに、あまりの痛みに、優しくして下さる方にキツク当たっているコイツがいるかも知れません・・・
そんなコイツがチラチラと見え隠れするからこそ、今を大切に「願生ろう」と思います。
長女さんの話の間々に妹さんや弟さんからもお仏壇のこと、お位牌、過去帳、御焼香・・・といろいろ質問をいただいたことです。
本来、一緒にゆっくりお話しなければいけないのにバタバタして答えるコイツがいたことです。
「あ~、ゆっくりさせていただいて一緒にお味わいさせていただいたらよかったな~」って思いつつ・・・
ニコニコさんをカッ飛ばすコイツがいたことです。
申し訳ありません・・・
又いつの日か、お母さんの大好きなチャンポン食べながら話せたらいいですね!
優しいひと時をありがとうございました。