月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

菓子目線

2012年02月12日 21時06分19秒 | 仏々相念(住職日記)

有難いな~・・・

 

あ~、ここに安心があるんだな~て思いながらその姿を見ていました。

お参りさせていただいたお宅に近所の家族がお参りされていました。

 

二間続きのお座敷で、御仏間の方には若いお父さんが3歳の子どもを足元に座らせお参りされた。

お婆ちゃんは、二の間の奥に椅子に座っておられます。

端から端ということです。

 

間のお休みの時、可愛いのでしょうね・・・

お婆ちゃんが「〇ちゃん、ここよ~!お婆ちゃん、ここよ!」って満面の笑みで手を振られるのです。

何回も呼び、手を振るのです・・・

でも、そのお孫ちゃんはというと、休みに出されたお菓子がいっぱい盛ってある菓子皿をジ~ッと見ているのです。

お父さんに開けてもらったアルファベット・チョコレート(一口チョコ)を食べながら、じ~っと・・・

その間もお婆ちゃんはず~っと微笑み呼んでいるのです、手を振っているのです。

 

有難いな~って思いました。

このお孫ちゃんの姿は私そのものでした!

ず~っとチョコレートを欲しているのです・・・

口にひとつ入れながら、モグモグしながら欲しているのです。

こんなコイツを案じて下さり、「私はここにおるよ!」って大きな声で喚び通しでした。

なのにやっぱりチョコを見つめているのです。

 

チョコのお皿を見つめる子どもに頭を撫でながら、「お婆ちゃん、呼んどるぞ!」ってお婆ちゃんのおる方向を指さし教えて下さったお父さん。

お父さんの指の向こうに大好きなお婆ちゃんが微笑んでいました。

それに気付くなり、お孫ちゃんも満面の笑みとなり手を振るのです。

でも、目線は直ぐにチョコレートに行ってしまいましたが・・・

 

どこまでも我が手の中見つめ、アレ欲しいコレ欲しいと煩悩を燃やす日常。

どこまでも変わらぬ心の有様・・・

こんなコイツを「救わずにはおけない」と喚び続け、抱きしめ続ける阿弥陀さま。

でも、気付かんコイツはやっぱり手の中を見つめています。

手の中のモノを守らんがために力を入れて握りしめている拳を・・・

「そんなに力入れてしもうて、手が冷たくなってしもうとる」ってご縁となって下さった方々が優しく擦り開けて下さり一緒に重ねて下さっていた手の温もりでした。

「ほら、阿弥陀さまがお立ち向かいだよ」って・・・

「あ~、そうなんや・・・」って気付かせていただくコイツがここにいます。

「ず~っと抱きしめらていた私だったのですね!」って・・・

 

でも、そんなコイツの安心なんて直ぐに消え、又、手の中を見てしまうのです。

その自らの煩悩に押しつぶされそうになるのです。

コイツの安心は煩悩に消えるけれども、阿弥陀さまが喚んで下さる安心は消えることがありません。

ず~っと、お月さまが離れないように・・・

 

気付きながら、気付きながら・・・


下手勝負

2012年02月12日 20時13分13秒 | 仏々相念(住職日記)

分かる~・・・

 

先日、お参りさせていただいたお宅でこんな会話がありました。

「寂しくなられたでしょう・・・」

「入院が長かったので・・・でも、電話が鳴るとドキッとするんです。何かあったのかって身体が反応するんですけど振り向きつつ「あっ、そうやった・・・」って寂しくなるんです。」

長い間、心配されたのでしょうね。

 

私は、電話が大嫌いです。

「電話もか!」って突っ込まれそうですが、本当に嫌いなのです。

家の電話が鳴りますと「ドキッ」とします。

誰だろう・・・何だろう・・・

誰か出んかな~・・・

喋るのが苦手なコイツは本当に嫌なんです!

 

「もしもし、徳正寺でございます!」

「もしもし・・・」

相手のこの一声が聞こえてからが大変です。

この声は・・・

あの人かな~・・・

この人かな~・・・

声を聞きつつ、頭の中では顔写真がパラパラパラパラ・・・

ん~、分からん・・・

声と顔が瞬時に会う時もあれば、なかなか分からない時もあります。

 

相手の方が直ぐにお名前をおっしゃってくださればいいのですが、直ぐに用件に入ると大変なのです。

回らん口で、「失礼ですが、どちら様でしょうか?」って一生懸命の所でお伺いするのですが、

稀に、某大臣に質問するように、こちらを確かめるべく、「分かる~?」ってこられるとパニックになります。

恋人時代の坊守の声であれば、ルンルンで「分かるさ~」って答えもでますが、

小寺といえども一声聞きながらいろんな顔が浮ぶのですから・・・

 

今日も後者のパターン・・・

「もしもし・・・」の後に「毎日寒いですね~」ってこられたので、直ぐに顔写真が浮びます。

何枚かに絞りつつある時に、「分かりますか~?」って。

「来た、来た!」ってなもんです。

一発勝負、「〇〇さんでしょ!」

見事正解、ホッとします・・・

これで違ってたら気分悪いですもんね、「住職は私も分からんのか!」ってことになるかも・・・

自信のない時には、「すいません、分かりません・・・」が無難でしょうね。

 

下手な勝負はせんことです!

 

ま、電話でこんな事思うこと事態可笑しいのですが・・・

電話嫌いにとっては、ある意味大変なのです。

おまけに最近、物忘れ酷いし・・・

某大臣じゃないですが、いじめないで下さ~い。

 

因みに、私と坊守の恋人時代には携帯電話なるものなんて無かった時代・・・

電話なんて数えるくらいだったと思います・・・

でも、違う意味でドキドキしてたな~!