今日の１句

春愁や抱いてリルケの文庫本　　浅井愼平

2月も今日で終わり、何だかアッという間でした。明日から３月と思うと、少し気持ちも明るくなれそうです。この所、観たい映画が目白押しで、今日も「サムライマラソン」を観て来ました。朝ドラで出ていた佐藤健も、長谷川博己も、全く違うイメージで演技していて、内容も史実に基づき日本で初めてマラソンが行われたといい、ドラマ性も織り込んで面白いものでした。又、アカデミー賞を取った「グリーンブック」も明日から上映との事、何時か観たいと思っています。丁度今頃が書道も、写真も、俳句も一区切りで自由な時間が持てるので、一呼吸なのです。春愁を追い払うには映画が一番というのを覚えました。

今日の１句

掛け違ひ釦の初老春浅し　　つゆ草

昨日は娘が以前行って見事だったという裏高尾の梅郷を見に行ってみました。まだ早いと心配しながらも、予想通り未だ三分咲きで残念でしたが、あの地域は他にも梅園が沢山あり、青梅梅郷に変わる名所と言えそうです。１週間先には満開になりそうですが中々予定通りにはならないものです。今日の句は先日買い物帰りに、明らかにコートの釦を掛け間違っている初老の人とすれ違い、教えてあげようと思いつつ、頑固そうな男性だったので出来ず、ちょっと罪悪感が感じたものです。考えてみれば、我々夫婦もしょちゅう釦の掛け違いがあるし、揉め事を避けるため黙認です。少し春愁を感じている昨今です。

今日の１句

人知れず皇居の杜の早春賦　　つゆ草

昨日は天皇陛下御退任のお祝いがあったという映像を見ました。しみじみと感慨深いものを感じ入りました。その後皇居の広い敷地の放映もあり、その手つかずの自然が残っていて、あらゆる昆虫達が生息しているとか、東京の真ん中にと驚きました。陛下の御言葉に、平成と言う時代は戦争が無かったが災難が沢山あり心を痛めた、というのがありました。正にその通りでした。新しい年号が気になるところですが、まずはお疲れ様に尽きます。

今日の１句

二月尽く香水の名はエゴイスト　　　浅井愼平


昨日は上野の東京国立博物館に、「顔真卿」を観に行って来ました。今朝の新聞には同じ昨日、天皇陛下もいらしたとあり、多分会館前にご覧になったのでしょう。予想通りの込み具合でしたが、朝１番で行ったため、そう並ばずに入れました。王羲之を超えた名筆と言われるように、流石美しい筆で、中国の書の歴史上人物の作品も沢山見られました。でもその筆の違いは未だ未熟な私には解らず、すべての楷書が美しく、流れるような草書もその線は見事なものでした。私が今習っている王羲之の行書はもう沢山書いたので、違いは解らずも、馴染んできた事は確かです。それにしても、中国の書の歴史は凄い。拓本もよく残っていたと感心するばかりです。
今日の１句は取り寄せた浅井愼平さんの本中からの1句です。

今日の１句

ひたひたと近づくあの日梅ふふむ　　　つゆ草

あの日はいろいろ私の中にある心象風景です。今週は春の陽気となるらしく、一歩ずつ春が近づくのは嬉しい事です。今日は以前から行きたいと思っていた、「北斎展」に行って来ました。日曜美術館でもやっていたせいか、やはりすごく混んでいましたが、改めて北斎の絵の才能には驚かされました。その緻密さは勿論の事、９０歳迄力強い絵を描いたそのエネルギーに只々驚愕するのみです。又、浮世絵から北斎漫画、冨嶽三十六景に至るその多面性にも驚くし、字も達筆で、天才としか言いようの無い人が江戸時代にいたことに改めて感動です。虫メガネで見ないと読めないような細かな筆使いが、どうやって描いたのか未だに不思議でなりません。六本木の森美術館で３月２４日迄やっています。又、「顔真卿」展も行きたいのですが、こちらも長蛇の列とかで、２月２４日迄なので行けそうにもありません。書道の先生はもう２度と日本では開催しないかも知れないので是非見た方が良いとの事でした。