草むしりしながら

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時間旅行

2018-11-27 13:56:57 | 平成
 時間旅行
 
 二十数年前に、滋賀県の近江八幡市に二年ほど住んでいた。今考えても残念なのは京都の近くだったのに、ほとんど行ったことがなかったことだ。たぶんいつ行っても混んでいるのが、当時はとても嫌だったのだろう。
 
 八幡に越してすぐの頃は琵琶湖が珍しく、子供たちと一緒に自転車で探索をした。ある時湖岸の道路を行き当りばったりで走っていたら、安土城跡に出たことがあった。
 
 田んぼの中の小高い山が、教科書に出て来る有名な場所とはとても思えなかった。当時の面影を残すのは石段と、聞いたことのある武将の住居跡に立っている看板だけだった。
 
 ハイキング気分で石段を登っていくと、森蘭丸の住居跡があった。信長の住まう天守閣のすぐ近くであり、天下に名を轟かせた武将たちよりも最も近いところにあった。いつも信長の傍近くにいたことが伺われる。
 
 今風に言えばイケメン。その人となりに思いを巡らしている時だった。不意に風が吹き抜けた。「蘭丸がいた」風が私の頬を撫ぜた瞬間、蘭丸の息づかいを感じた…。

 遠い過去に一足飛びに、時間旅行をした。 壮大な天守閣や、賑やかな城下の街並みが、木々の向こうに一瞬見えた。

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