先日樽から出した味噌は、二年前の冬に仕込んだもので、赤と言うよりも黒に近い色をしている。早速みそ汁を作ったが、感動するほど美味しくて、どこか懐かしくもあった。
簡単に言うと味噌は、柔らかく煮た大豆と米ないし麦の麹と塩を混ぜたものを、樽に仕込んでおけば出来る。その時に私たちの手に住み着いている菌が、味噌を美味しくする手助けをすると言われている。しかし手には悪さをする菌もいるので、綺麗に手を洗ってから味噌を作るのが鉄則だ。
この味噌も私の手の菌が働いて、美味しくなったのだろう。大したものじゃないか私の菌は、などと自慢してしまった。このいい働きをする菌は、家にも住み着いているという。
そうか家の菌か……。そっちの方が働いたかな。たぶん母の菌もその中に混じっていたのだろう。母が生前使っていた味噌作りの道具や、古い家の柱や梁に住み着いていて、私が昼寝をしている間にこっそり樽の中に入ったのだろう。どおりで懐かしいはずだ。
今年は十月に入っても暑い日が続き、ナスがまだ美味しい。子どものころには夏の間は、毎日なすみそ汁だった。いい加減飽きてきて、汁だけ飲んでナスを残してよく怒られた。今日のみそ汁は、その頃のみそ汁の味がした。
拝読しまして感動が伝わってきました。我が家では富山の
メーカーの「越中日本海味噌」が、お味噌の定番です。
母や妻の作ったお味噌汁も、すっかり遠い昔のことになって
しまいました。ukakuudokuさんのお味噌汁をお相伴に与かり
たいものです。失礼致しました。では、今宵はこれにて。