草むしりしながら

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負けて悔しい ハナ一番目

2023-03-16 16:20:24 | 猫自慢

 負けて悔しい ハナ一番目

  ハナコは今年十五歳になる我が家の飼い猫である。今でこそ現役を引退したが、若い頃はその愛らしい顔立ちとネズミ捕りの特技で、家の者はおろか近所の人たちを魅了した。

 我が家のおむかいさんは少し前まではお米をたくさん作っていた。十月になると倉庫いっぱいに米袋が並べられていた。頼まれもしないのに、ハナは倉庫の中でネズミ番をしていたという。

 奥さんに大変感謝されたし、ご主人はハナに自宅の猫用に水栽培をしている、猫草を食べさせてくれた。草なら我が家にもあったのだが、よその家の草の方がおいしいらしい。

 その他にも屋根の上に住み着いた鳩の群れを追い出したりもした。私がいくら追っ払ってもすぐに戻って来るが、屋根にハナコを放すとすぐに飛び立ち二度と戻って来なかった。イタチと格闘して一発浴びたり、ヤマカガシという毒蛇を退治したこともあった。なんとも頼もしいハナは我が家の自慢であった。

 そんなある日我が家にやってきた畳屋さんに、「ネズミをよく捕るのよと」姉が例によって自慢話をはじめた。するとどうだ、畳屋さんの猫は傍の河原から鴨を捕ってきたと言うではないか。真冬で脂がのっていて、鴨汁にして食べたらおいしかったと自慢された。

 悔しい負けた!ハナが一番だと思っていたのに。負けず嫌いの姉はその時の悔しさが、今でも忘れなれないようだ。



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