うえぽんの「たぬき鍋」

日々のつれづれ、野球ネタ、バカ話など、何でもありの闇鍋的世界?

読みたいやら恥ずかしいやら…

2005-02-06 15:33:30 | 雑記
人前で読んだり、堂々と買うには恥ずかしい本というものがある。我ら男性だったら、真っ先に出てくるのはエロ本だ。店員が男性ならともかく、若い女性なんかだったりしたらまず買えないだろう…と思っていたら、「買うところから『羞恥プレイ』は始まっている!店員からの冷たい目線がたまらなく興奮する」なんていうヤツがいるらしいから世の中はわからない。
そんな特殊なヤツはほっといて、古書店店員経験のある私から言わせてもらうと、よほど変な本でなければ誰が何を買おうと店員は大して興味はないわけで、むしろコソコソ買う方が「あいつ挙動不審だ。何かあるんじゃないか」なんて気になってしまう。
男性諸君。性欲は人間の本能なんだから、エロ本なんてもっと堂々と買っていいんだよ!
(未成年はダメよ。特に高校生、せめて制服のまんま買いに来るのはやめなさい)
本を買い取るにあたって検品の際に中を素早くパラパラめくるわけだが、最初の内こそ多少の興奮は覚えたが、途中からはちょっとやそっとのエロ本では何とも思わなくなった。いちいち興奮していたら仕事にならないこともあるが、慣れてしまえばどれも大差ないし「こりゃすごい」なんてブツはそうそうないのだ。雑誌は全て透明フィルムでパックしていたが、複数のエロ本を手にとって長い時間表紙を見比べ、どれを買おうか迷っている客がよくいたものである。「表紙じーっと見たって中が透視できる訳じゃないんだし、安くしてあるんだからケチケチしないで全部買えばいいじゃんよー」と思ったことは数知れない。店員としては、たくさん買ってくれることに感謝こそすれ「お客さんも好きだね」なんてことは思っていたって言う訳ないんだから、安心してガンガン買って、書店界の不景気を吹っ飛ばしていただきたい、と辞めた今でも思うのである。

エロ本の話はこれぐらいにして、男性が買いにくい雑誌のもうひとつが、いわゆる女性向けの本だ。雑誌から漫画までいろいろあるが、検品の時に思わず「あれ、これ面白そう」と見入ってしまう本も少なくなかった。しかし、さすがに買う勇気はなかなか出なかった。むしろこのテの本を買うぐらいならエロ本を買う方が気分的にはまだマシである。「店員なんだから目立たないようにコソッと買えば良かったじゃない」と思われるかも知れないが、他の店員から変な誤解をされる恐れがあるのが怖かったのだ。
例えば、私の好きな「sakusaku」というテレビ番組があるのだが、MCの木村カエラ嬢は女子中高生向けの雑誌「SEVENTEEN」でモデルもやっている。で、店にSEVENTEENの古本が入ったりすると当然カエラ嬢の写真や記事もたくさん出ているわけで、ヘビーサクサカーであり、カエラ嬢のファンでもある私としては中を見てみたいし、かわいいグラビアやポスターなんか入っていた日には買ってしまいたいのだ。しかし、きっと周りはわかってはくれまい。釈明すればするほど「必死になってヘンタイであることを隠そうとしておるな、うえぽんは」と嘲笑されるのがオチである。試しに恥を忍んで一度買ってみたら(爆)、予想通りの反応だった。ある意味ヘンタイであることを否定はしないが(しろって)、この恥ずかしさにはどうしても勝てない。せいぜい図書館にあるヤツを、柱の陰でコソコソ隠れて読むのが関の山だ。え?そっちの方が気持ち悪い?そうですか、やっぱり。

小・中学生ぐらいの頃にハマった漫画があるのだが、これもまた少女漫画に分類される世界の本だった。岡田あーみんという女性漫画家が描いていた「お父さんは心配症」という作品である。そもそも妹が「りぼん」の愛読者で、ある日ゲラゲラ笑いながら「お兄ちゃん、これすっごく面白いから読んでみ。全然少女マンガじゃないから大丈夫」と勧めてくるので試しに読んでみたら、あまりのぶっ飛びように腹がよじれ、「ね!ね!」と言う妹と共に大爆笑した。「さっきから何大笑いしてんのよ」とやってきた母までこれに巻き込まれ、3人して部屋で涙を流してのたうち回るという異様な光景が展開されたのだった。以来、りぼんの発売日が楽しみでしょうがなくなるという日常が、妹が「りぼん」を卒業するまで、かなり長い間続いた。連載雑誌が少女漫画雑誌でなければ、堂々とファンだと言って平然と読めたのだが、あくまで「隠れ」あーみん中毒患者として暮らさねばならなかったのが辛かった。
あーみん氏はその後、残念ながら漫画家を廃業されたようだが、我々のような中毒患者は現在も多く、たくさんのファンサイトがある。「お父さんは心配症」は文庫版も出ているらしい。書店で買う勇気は出ないが、「amazon」で買ってみようかどうか迷っている。

※この記事は「interlude」の「お父さんは心配性」という記事からネタのヒントをいただきました。管理人のflavorjuke様、ありがとうございました。