十津川省三は、警視庁捜査一課の警部である。……あっ、西村京太郎の推理小説の有名キャラです。
推理小説では多くの場合、殺人事件が発生する場面から始まる。そのシーンを思い起こして欲しい。
現場には、複数の刑事がいる。
「捜査一課の○○です」
「所轄署の○○です」
なんていう自己紹介から始まる。
警察の捜査規模は、大きく3段階に分けられる。
最も小さいのは、所轄署単位。事故や窃盗などの小さな犯罪は、通常はこの規模で捜査される。
これが殺人事件や誘拐などの重大犯罪になると、県警単位になる。「○○連続殺人事件捜査本部」などというのを県警が設置して、県警本部の指揮で捜査される。「250人体制で捜査」などと良く報道されるが、一警察署にそれだけの刑事はいない訳で、県警が他警察署などから駆り出す訳だ。
さらに犯罪がいくつかの都道府県にまたがっていると見られるケースでは、複数の県警が合同捜査本部を設けて広域捜査となる。
思うに、畠山彩香ちゃん死亡事故(真相は殺人事件だったが)は、能代署の単独捜査だったのだろう。これに対して、米山豪憲くん事件は最初から殺害が明らかだったため、秋田県警の出番となった。
彩香ちゃん事件の初動捜査が甘かったと批判されるが、担当部署が違うから当然だ。さらにうがった見方をすれば、鈴香容疑者が警察から「事件よりも、事故のほうが良いでしょう」と言われたとあるが、実はこれは能代署の本音が思わず出てしまったのかもしれない。
殺人事件になって、県警が出て来て所轄を掻き回されるよりは、単純な転落事故として所轄署内で処理したかったのかもしれない。
畠山鈴香容疑者が、なぜ「彩香ちゃん死亡は事故ではなくて事件だ」と主張していたのか、その意図は未だ見えない。しかし、その行動の背景には、「本当は自分が橋から突き落として殺害しているのに(※)、河原から足を滑らせて事故死した」と見当違いの結論を出した警察を舐めたのだろうという意見がある。だから、鈴香容疑者は豪憲君も躊躇なく殺害した。
しかし畠山容疑者は、警察の捜査システムを理解していなかった。
殺人事件になったために、捜査主体は能代署から秋田県警に移ってしまった。その結果、彩香ちゃん殺害まで暴き出されることとなってしまった。一警察署と県警の捜査能力は格段に異なるから当然だ。
これを古くからヤブヘビというのである。
※橋から突き落として殺害という供述には、なお疑問点が多い。
【彩香ちゃん・豪憲くん事件の経緯】
4月9日
藤里小4年の畠山彩香ちゃん=当時9歳=が、「友達の家に遊びに行ってくる」と言って外出したまま夜になっても帰宅せず、母親が110番通報。
4月10日
午後1時35分ごろ、自宅から約6キロ離れた能代市二ツ井町荷上場の藤琴川で彩香ちゃんの遺体発見。死因は水死。遺体に外傷はなく、着衣に乱れはなかった。能代署は、彩香ちゃんが自宅近くの藤琴川の岸辺で遊んでいる最中、誤って川に転落したとの見方を強める。
5月17日
米山豪憲君が友達4人と一緒に集団下校。自宅近くの児童公園付近で、友達のうちの1人と帰宅後に遊ぶ約束をして別れる。約束した児童公園に友達が到着するが、豪憲君は現れず。友達が豪憲君を迎えに家を訪ねるが、豪憲君は不在。豪憲君の父が対応。帰宅していないことが分かった。豪憲君の父が「息子が学校から帰宅していない」と110番通報。
5月18日
自宅から直線で約8キロ離れた能代市二ツ井町荷上場下中島の米代川川岸近くの道路脇の草むらに、男の子があおむけで死んでいるのをジョギング中の男性が発見、110番通報。 豪憲君の両親が、能代署で男の子の遺体を豪憲君と確認。
5月19日
司法解剖の結果、豪憲君の死因は、ひも状のもので首を絞められたことによる窒息死と判明。県警が同署内に「山本郡藤里町男子児童殺人・死体遺棄事件捜査本部」を設置。
秋田魁新報社【特集・藤里男児殺害事件】 より
推理小説では多くの場合、殺人事件が発生する場面から始まる。そのシーンを思い起こして欲しい。
現場には、複数の刑事がいる。
「捜査一課の○○です」
「所轄署の○○です」
なんていう自己紹介から始まる。
警察の捜査規模は、大きく3段階に分けられる。
最も小さいのは、所轄署単位。事故や窃盗などの小さな犯罪は、通常はこの規模で捜査される。
これが殺人事件や誘拐などの重大犯罪になると、県警単位になる。「○○連続殺人事件捜査本部」などというのを県警が設置して、県警本部の指揮で捜査される。「250人体制で捜査」などと良く報道されるが、一警察署にそれだけの刑事はいない訳で、県警が他警察署などから駆り出す訳だ。
さらに犯罪がいくつかの都道府県にまたがっていると見られるケースでは、複数の県警が合同捜査本部を設けて広域捜査となる。
思うに、畠山彩香ちゃん死亡事故(真相は殺人事件だったが)は、能代署の単独捜査だったのだろう。これに対して、米山豪憲くん事件は最初から殺害が明らかだったため、秋田県警の出番となった。
彩香ちゃん事件の初動捜査が甘かったと批判されるが、担当部署が違うから当然だ。さらにうがった見方をすれば、鈴香容疑者が警察から「事件よりも、事故のほうが良いでしょう」と言われたとあるが、実はこれは能代署の本音が思わず出てしまったのかもしれない。
殺人事件になって、県警が出て来て所轄を掻き回されるよりは、単純な転落事故として所轄署内で処理したかったのかもしれない。
畠山鈴香容疑者が、なぜ「彩香ちゃん死亡は事故ではなくて事件だ」と主張していたのか、その意図は未だ見えない。しかし、その行動の背景には、「本当は自分が橋から突き落として殺害しているのに(※)、河原から足を滑らせて事故死した」と見当違いの結論を出した警察を舐めたのだろうという意見がある。だから、鈴香容疑者は豪憲君も躊躇なく殺害した。
しかし畠山容疑者は、警察の捜査システムを理解していなかった。
殺人事件になったために、捜査主体は能代署から秋田県警に移ってしまった。その結果、彩香ちゃん殺害まで暴き出されることとなってしまった。一警察署と県警の捜査能力は格段に異なるから当然だ。
これを古くからヤブヘビというのである。
※橋から突き落として殺害という供述には、なお疑問点が多い。
【彩香ちゃん・豪憲くん事件の経緯】
4月9日
藤里小4年の畠山彩香ちゃん=当時9歳=が、「友達の家に遊びに行ってくる」と言って外出したまま夜になっても帰宅せず、母親が110番通報。
4月10日
午後1時35分ごろ、自宅から約6キロ離れた能代市二ツ井町荷上場の藤琴川で彩香ちゃんの遺体発見。死因は水死。遺体に外傷はなく、着衣に乱れはなかった。能代署は、彩香ちゃんが自宅近くの藤琴川の岸辺で遊んでいる最中、誤って川に転落したとの見方を強める。
5月17日
米山豪憲君が友達4人と一緒に集団下校。自宅近くの児童公園付近で、友達のうちの1人と帰宅後に遊ぶ約束をして別れる。約束した児童公園に友達が到着するが、豪憲君は現れず。友達が豪憲君を迎えに家を訪ねるが、豪憲君は不在。豪憲君の父が対応。帰宅していないことが分かった。豪憲君の父が「息子が学校から帰宅していない」と110番通報。
5月18日
自宅から直線で約8キロ離れた能代市二ツ井町荷上場下中島の米代川川岸近くの道路脇の草むらに、男の子があおむけで死んでいるのをジョギング中の男性が発見、110番通報。 豪憲君の両親が、能代署で男の子の遺体を豪憲君と確認。
5月19日
司法解剖の結果、豪憲君の死因は、ひも状のもので首を絞められたことによる窒息死と判明。県警が同署内に「山本郡藤里町男子児童殺人・死体遺棄事件捜査本部」を設置。
秋田魁新報社【特集・藤里男児殺害事件】 より