個人情報の保護法案が制定され施行された。
ところが、実態は個人情報が巷にあふれ、個人情報を保護する必要があるとの意識が強まるにしたがって、個人情報そのものの価値が相対的に高まって、個人情報の売買が活発化しあちこちで個人情報の流出事件が発生している。個人情報を流出したら社会的な信用をなくしてしまうという社会通念が常識化することは好ましいことだが、このような監視機能がこれからも継続的に働いてゆくように努力しなければならない。推測であるが、これまでは個人情報はどこでも安易に流出し我々の知らないところで利活用されていたのであろう。例えば金融関係の個人の信用情報はどう考えても個人情報の流出がなければ存在し得ないはずであるし、ダイレクトメールを送りつけるための個人情報もどこからか流出したものである。無断使用していなければ送りつけられた個人は何らかの関係を過去に認識するはずであるが、ほとんどが関係したことのない相手から送りつけられたものである。
規則に違反したから取り締まるというのは本来の目的ではない。
個人情報を保護するために規則があるのであり、まずは個人情報が不正に使用されていないかを取り締まる必要がある。違反した事実が発覚してから取り締まるのでなく、不正使用の疑いのある分野に積極的に取締りの手を入れる必要があるし、これまで見過ごしてきたことも改めて是正してゆかなければならない。たとえば、今現在自分の個人情報がどのように流出し利活用されているかは知るすべはないし、流通している自分の個人情報の内容さえ確認できない。非公式に水面下でやり取りされる情報については仕方ないとしても、公式にやり取りされる情報についてはしっかりと監視できる体制が必要であろう。そして非公式の情報に振り回されることのないようにしなければならない。非公式の情報は信頼性もないし根拠にもなり得ないはずである。
公式と非公式の情報が混在しているから情報の正確性が失われる。
非公式の情報がさも公式の情報のように扱われている。しかも世間的には公式の情報よりも非公式の情報のほうが事実により近いという印象が強い。確かに非公式の情報はピンからキリまであり、事実に近い情報もあるが全くのデタラメもあるというのが冷静な判断であろう。そうであればあくまで基準となり根拠になるのは「公式の情報」であるはずである。今の日本は「公式の情報」が権威と信頼を失い「非公式の情報」に振り回されている状況にある。この問題を解決するためには、「公式の情報」の正確度を高めるしかない。そのためには、どの情報に基づいているのかを明らかにする必要がある。要するに情報の発信者の責任を明確にすることであろう。
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