宇ゐの里山徒然記

町屋暮らしの後、2013年10月北山杉の里、右京区京北町に移り住みました。
周辺の紹介と暮らしの事など綴ります。

のうがくワークショップ③ 完結編

2016年08月30日 | 京都の文化・工芸のこと
土蜘蛛の精が放つ蜘蛛の糸。
それを会場のちびっこ達は食い入るように見ていた。

過去において自分の環境にはなかった物、それに初めて触れる瞬間は何に対しても出てくる。
“きっかけ”というものだ。

そのつもりでなくても強く記憶に残る物をみたり聞いたり
美しかったり、可愛らしかったり、びっくりしたり。
そういう物に触れる機会があり、何かしらのタイミングでそれが人生の中で重要な物になることもある。


今回の“のうがくワークショップ”は参加者さんにとってその『きっかけ』の一つになるといいと強く思う。



豪華な能衣装の説明の後にその端切れを触らせてもらえるとなったときに
我先に『触れてみたい』と思ったであろう女の子。

その初めて触った唐織の絹布。分厚く盛り上がるほどの刺繍糸。
将来どういう記憶となって彼女は思い起こすだろう。


見事な弧を描いて蜘蛛の糸が広がる様を見た後、
今回サプライズで体験できるという話に
子供たちは一斉に、手を上げた。



多かったのでじゃんけんで2名まで絞られる。





持ち方の説明を受け





投げ方を教えてもらう。


そしていよいよ!!!

見ている周囲にも緊張が走り、、、、、














シャーーッ♪♪♪












初めてのはずなのに真っ白な蜘蛛の糸は能舞台まで届いた。



お能は難しくてよくわからないという人は多い。
私もそのうちの一人である。

でもきっかけは何でもいいのだ。


これらの場面や舞を今度は本物の舞台で観てみたいと思い、
帰宅後に“土蜘蛛”のストーリー、シテやツレの役の事などを
検索している自分がいる。

舞、謡、衣裳、面、扇、、、、、、、、
歴史、ストーリー、演者、
多くの要素を熟知するにはまだまだ時間がかかるが
蜘蛛の糸を思いっきり投げるようなワクワクした気持ちを
今後鑑賞するお能にも向けて行けたらと思う。



このちびっこの中にも能楽師を目指す子が出てくるといいなぁ。



最後になりましたが
このワークショップを企画された
宇高竜成さん 奥さま春奈さん、
そして若手能楽師の皆さん

素敵な機会をいただけたことに心より感謝いたします。




そして、来年の“第三回竜成の会”も楽しみにしています(^_-)





のうがくワークショップ①


のうがくワークショップ② 土蜘蛛編





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のうがくワークショップ② 土蜘蛛編

2016年08月29日 | 京都の文化・工芸のこと
8月28日に金剛能楽堂で行われた“のうがくワークショップ”レポート第二弾。

①はこちら

ワークショップクライマックスは演目『土蜘蛛』から
まるでイリュージョンのような蜘蛛の糸なる紙の糸を投げる実演となる。

その前にまず、“舞”と“踊り”とはどう違うかなどを実際に舞っていただきながらの解説。

舞い扇はいろいろな場面を表現する大事な道具。

 
酒を飲んだり、遠くの景色を眺めたり


 
弓矢になったりそしてその放った矢が刺さったり


能楽師さん達の面や扇への想いは演じる上での分身と言ってもいいほどのものだろう。





そしていよいよ土蜘蛛の“糸投げ”の実演

これには観客席で見ていたお子さんたちもビックリ(@_@;)!!

まず場面の入口

シテの土蜘蛛の精の役は宇高徳成(うだか のりしげ)さん。竜成さんの弟さんです。

ツレ(手前横向き)源頼光役は山田伊純(やまだ いすみ)さん




ここはまだ静かだけど。。。






この後に“シャー”が始まる。


シャーとは言いませんが見事な放物線を。

そして土蜘蛛の精は舞台の梁の部分にまで掛かるほどの勢いでどんどん投げる投げる。




投げて


そして投げて


どんどん投げるw





そして源頼光は蜘蛛の糸でぐるぐる巻きとなってエラいことに。。。



ストーリーはこの後、頼光が源家相伝の名刀、膝丸(ひざまる)を抜き払い、斬りつけると、法師(土蜘蛛)はたちまち姿を消した、というもの。


ここまで来ると観覧席はテンション↑↑↑

ちびっこ達も目を皿のようにして食い入るように見ていた。




そして次はこの蜘蛛の糸を実際に投げてみよう!という
サプライズのお楽しみ企画!

それは第三段③へ。



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のうがくワークショップ①

2016年08月29日 | 京都の文化・工芸のこと
能楽堂の舞台を使った贅沢なワークショップに参加できた。

場所は京都の金剛能楽堂。

講師は金剛流『宇高竜成』さんと、サポートは若手能楽師さん達。



実際の、お能の上演中は写真を撮れないが今回はワークショップということで全面許可! (v^ー°)


まずは能舞台の説明と能面の話。



能面をつけるとこのような小さな穴から外を見るようになる。その疑似体験をチケットで出来るようになっていた。。(□-□ ) フムフム





それぞれの能面の説明の際は若手能楽師さん達がかざしながら。

面の仰向け、うつむきなどを実際にやっていただくと、確かに嬉しそうになったり悲しそうになったり。


 

 

 





そして衣裳の説明

唐織の能衣装、縫いの衣裳の解説を。







よく通る声はさすがの宇高さん。

謡をやるとこのように朗々と発声できるようになるのだろう。




以上が第一弾①


次に第二弾、三弾があります。

写真をたくさん撮らせていただいたので(^v^)





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お能を楽しむ入口

2015年08月18日 | 京都の文化・工芸のこと
(タイトル)・・・を探していた。

着物に関することを仕事にしている為
何かと伝統芸能の世界の人とは関わり合いがある。

京都へ来てからかなりの年数が経っているが
お能の舞台を鑑賞したのはわずかに数回。
それも何を観たのか記憶に薄いほど。

でも、ひそかにいつか楽しみ方を知りたいと思い続けていた。


今回、仕事からのご縁で能楽師の宇高竜成氏のお稽古場を訪ねることが出来た。

目的は、着物好きの方たちへのワークショップや食事会などを企画するためと
こっちが本流だが、自分がお能を楽しむ“つかみ”を探しに(; ̄ー ̄A

年齢的にも、京都という街の概要がつかめている時期としても
いいタイミングの気がした。


同行者を伴って伺ったが
宇高氏もほぼノープランで私達が知りたいことに答えてくれるという状態からのスタート。

能楽の位置づけや、能面の話、そして能衣装の話。
歌舞伎や狂言との違い、女性も能楽師になれ、舞台にも上がるという背景なども。




能楽についての知識や情報はたくさんのサイトで紹介してある。
それらを読んで、演目の背景やストーリーも知った上で鑑賞に行くことが望ましいが
それでも自分の興味の矛先が定まらなくては
どこで何が変化したのか、終わりがどこなのか、
ぢーっとたたずむ動き(?)が何を表現しているのかなど
やはり意識の置きどころが困ることになる。

今回はやはり衣装を拝見するところで話は佳境にはいった。
唐織の織物の衣装は見事で間近に見ると圧巻。



柄は秋草と扇に流水。
演目の情景とを合わせながら着用するとのこと。
能装束も舞台上の謡や動き、面と同様重要な役割。


能のストーリーはそもそもオチはない。
あくまで情景を楽しむのだということが今回のことでわかった。
その時代、その場所の情景を観て聞いて感じる場である。
いろんなファクターで理解をするというよりも
もう少し深いところで情景を身体全体で感じる芸能なのだと思い始めたら
にわかにいろいろな演目を観たくなってきた。


最後に宇高氏が
猩々(しょうじょう)』の一部を舞ってくださった。
とてもよく通る心地よい声と、静かな動きだ。







能楽鑑賞の醍醐味を少しずつでもわかっていくのには時間はかかるが
恐らくこれからいろんな機会を作って追いかけていくことになるだろう。

まずは舞台の予定に入っている演目と能楽鑑賞の為のワークショップを
企画させていただけると嬉しい。

目標は来年3月の宇高竜成氏主宰の会。
そしてそれまででも折に触れ公演へ行けたらと思う。

謡を聞き慣れること。仕舞の情景を知っておくことなども必要かな。


最後ですが宇高竜成さんに貴重なお時間をいただき
楽しいお話し、舞、能面・能装束を拝見できましたこと
すべてに感謝いたします。


宇高竜成氏ウェブサイト
TED×Kyotoの宇高竜成氏のプレゼンテーション

能楽関連参考サイト

◆『The能.com

◆『金剛能楽堂


最後に能面写真をば。

         


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