ブログを着物の話題とそのほかと分けてUPしているのだが
今回のテーマは悩んだ。
最近ジェットコースターのようにだだだーーっとハマっているのが
先日ここで『麻の実』とUPもしたが、麻(大麻)に関することである。
着物に関することを生業としているので
当然麻の着物を取り上げるのならキモノブログの方なのだが
今回の“大麻糸”に関してははるかにきもの未満なので
こちらにUPすることにした。
先日、興味が高まってとうとう那須の“大麻博物館”へ行ってきた。
博物館とはいえあくまで私設で、観光地の一角のログハウスといった感じだった。
いろんな産地へも行きたいのだが
まずは“知る”ことからという思い。
そこで大麻の糸の話をいろいろと聞くことが出来て
ようやく私の中の“麻の糸とは。。。”というカテゴリーが茫洋とではあるが
その形が見えてき始めた。
まずはその呼び方なのだが、大麻はヘンプ(hemp)とも言い、
どうもごっちゃになるので、輸入の物はヘンプ。
そして純日本産のものを大麻と分類するとわかりやすい。(大麻博物館T氏の助言)
先日UPのオイルや実、ナッツ全てヘンプ食品。
タオルや衣服、今話題の褌などなども全てヘンプ製品だ。(主な輸入元はカナダや中国)
では国産大麻糸はどこにあるのか。
正直、ふつーの我々の生活の中には“ナイ”のである。
かつては日本中のいたるところで栽培されていた大麻は
戦後、その姿をほとんど消してしまった。
今では栃木県の野州麻・群馬県の岩島麻ほか滋賀県のわずかな農家。。。etc。。。
出荷先は伊勢神宮や宮内庁など国産に限るものを求める場所のほか
奈良県の奈良晒・大分の久留米絣のくくり糸・弓弦・和楽器(大小鼓の調緒(しらべお))・神社の鈴縄や結界・横綱の化粧回しなど、数えられる程のお得意様用である。
神社にまつわるものや安産関連の商品はヘンプを使用しているところも多く
“御利益”商売も国産ではまかなえないのが現状だ。
当然衣類や着物・帯に回る数があるはずもなく・・・
さてその貴重な国産大麻。
刈り取った大麻を熱湯に浸し乾燥。
さらに麻船で濡らして菰を被せて醗酵させてから繊維となる皮を剥ぐ。
昔使っていた麻船(オブネ・アサブネ):奥と
収穫した生麻(ナマソ)を熱湯に浸けるユカケに使用したテッポウガマ(手前の大砲のようなもの)↓
それを乾燥させると『精麻』ができる。
不純物を取り除かれ、黄金色に輝くその束はとてもきれいだ。
精麻の中でもいい糸がとれる等級の高いものは
新聞に当てると文字が透けて見える。
そしてここから糸をとるのだが、
単に裂いて績むだけでは出来た糸は硬い。
精麻の状態から細く裂いた後に“麻打ち”をしなくてはならないのだ。
その方法は砧打ちのような小槌でトントン・・・ではないそうだ。
ぬらした後に床に適度な力で叩きつけるらしい。
そうすると繊維が長いまま切れずに柔らかくなるとのこと。
もちろんその麻打ち(麻ぶち)はかなり熟練が要る。
麻打ちをした糸↓
外の光で撮る。↓こんなにしなやかで美しい。
糸績み途中の資料糸↓
この“麻打ち”の具合次第で糸績みをして出来上がった糸に雲泥の差が出る。
苧麻の上布の糸績みは細く裂いた麻繊維を撚り繋いで糸にしていくが
大麻は精麻と糸績みとの間の“麻打ち”にその糸質の生命線があるようだ。
まだ実際に“麻打ち”作業を見学したことがないので
出来ることなら糸作りの現場で見てさらに詳しく調べていきたい。
大麻博物館へ伺った日は猛暑日だった。店員さんのM嬢が首に何やら布を巻いていて
それは大麻布であるという。
F県S村で織られたという大麻の布を水に濡らしたものを巻いて垂らしていた。
当然下に着ている木綿のTシャツが濡れるだろうと心配になったが、
なんと、Tシャツは濡れていないのだ w(゜ロ゜;)w
びっくりで写真を撮りそこなってしまった。。。。。
幅十数センチの濡らした細長い大麻布を試しに私も首からかけさせてもらった。
今までに触ったことがない感触の少しもったりとした肌触り。
腰がありながら柔らかい布だった。
そして水を含ませるとひんやりとして気持ちがよく夏は重宝しそうである。
やはり私も着ている服に水分が移って濡れてしまうことはなかった。
布に含まれている水分はなぜ外に沁み出ないのか聞くと
大麻布の糸はその繊維の中が空洞状態になっていて
いったん含んだ水を外へ逃がさないとのこと。
含まれた水が自然に蒸発しない限りは濡れたままだそうだ。
これって何かに活かせないだろうか・・・
大麻布への興味はまだまだ深まりそうである。
麻打ちや糸績みの担い手がいないという課題をなんとか解決して
布→きものや帯へと発展していくことがあるよう願わずにはいられない。
国産大麻布はまさに幻の布なのだ。
麻紙ランプ
今回のテーマは悩んだ。
最近ジェットコースターのようにだだだーーっとハマっているのが
先日ここで『麻の実』とUPもしたが、麻(大麻)に関することである。
着物に関することを生業としているので
当然麻の着物を取り上げるのならキモノブログの方なのだが
今回の“大麻糸”に関してははるかにきもの未満なので
こちらにUPすることにした。
先日、興味が高まってとうとう那須の“大麻博物館”へ行ってきた。
博物館とはいえあくまで私設で、観光地の一角のログハウスといった感じだった。
いろんな産地へも行きたいのだが
まずは“知る”ことからという思い。
そこで大麻の糸の話をいろいろと聞くことが出来て
ようやく私の中の“麻の糸とは。。。”というカテゴリーが茫洋とではあるが
その形が見えてき始めた。
まずはその呼び方なのだが、大麻はヘンプ(hemp)とも言い、
どうもごっちゃになるので、輸入の物はヘンプ。
そして純日本産のものを大麻と分類するとわかりやすい。(大麻博物館T氏の助言)
先日UPのオイルや実、ナッツ全てヘンプ食品。
タオルや衣服、今話題の褌などなども全てヘンプ製品だ。(主な輸入元はカナダや中国)
では国産大麻糸はどこにあるのか。
正直、ふつーの我々の生活の中には“ナイ”のである。
かつては日本中のいたるところで栽培されていた大麻は
戦後、その姿をほとんど消してしまった。
今では栃木県の野州麻・群馬県の岩島麻ほか滋賀県のわずかな農家。。。etc。。。
出荷先は伊勢神宮や宮内庁など国産に限るものを求める場所のほか
奈良県の奈良晒・大分の久留米絣のくくり糸・弓弦・和楽器(大小鼓の調緒(しらべお))・神社の鈴縄や結界・横綱の化粧回しなど、数えられる程のお得意様用である。
神社にまつわるものや安産関連の商品はヘンプを使用しているところも多く
“御利益”商売も国産ではまかなえないのが現状だ。
当然衣類や着物・帯に回る数があるはずもなく・・・
さてその貴重な国産大麻。
刈り取った大麻を熱湯に浸し乾燥。
さらに麻船で濡らして菰を被せて醗酵させてから繊維となる皮を剥ぐ。
昔使っていた麻船(オブネ・アサブネ):奥と
収穫した生麻(ナマソ)を熱湯に浸けるユカケに使用したテッポウガマ(手前の大砲のようなもの)↓
それを乾燥させると『精麻』ができる。
不純物を取り除かれ、黄金色に輝くその束はとてもきれいだ。
精麻の中でもいい糸がとれる等級の高いものは
新聞に当てると文字が透けて見える。
そしてここから糸をとるのだが、
単に裂いて績むだけでは出来た糸は硬い。
精麻の状態から細く裂いた後に“麻打ち”をしなくてはならないのだ。
その方法は砧打ちのような小槌でトントン・・・ではないそうだ。
ぬらした後に床に適度な力で叩きつけるらしい。
そうすると繊維が長いまま切れずに柔らかくなるとのこと。
もちろんその麻打ち(麻ぶち)はかなり熟練が要る。
麻打ちをした糸↓
外の光で撮る。↓こんなにしなやかで美しい。
糸績み途中の資料糸↓
この“麻打ち”の具合次第で糸績みをして出来上がった糸に雲泥の差が出る。
苧麻の上布の糸績みは細く裂いた麻繊維を撚り繋いで糸にしていくが
大麻は精麻と糸績みとの間の“麻打ち”にその糸質の生命線があるようだ。
まだ実際に“麻打ち”作業を見学したことがないので
出来ることなら糸作りの現場で見てさらに詳しく調べていきたい。
大麻博物館へ伺った日は猛暑日だった。店員さんのM嬢が首に何やら布を巻いていて
それは大麻布であるという。
F県S村で織られたという大麻の布を水に濡らしたものを巻いて垂らしていた。
当然下に着ている木綿のTシャツが濡れるだろうと心配になったが、
なんと、Tシャツは濡れていないのだ w(゜ロ゜;)w
びっくりで写真を撮りそこなってしまった。。。。。
幅十数センチの濡らした細長い大麻布を試しに私も首からかけさせてもらった。
今までに触ったことがない感触の少しもったりとした肌触り。
腰がありながら柔らかい布だった。
そして水を含ませるとひんやりとして気持ちがよく夏は重宝しそうである。
やはり私も着ている服に水分が移って濡れてしまうことはなかった。
布に含まれている水分はなぜ外に沁み出ないのか聞くと
大麻布の糸はその繊維の中が空洞状態になっていて
いったん含んだ水を外へ逃がさないとのこと。
含まれた水が自然に蒸発しない限りは濡れたままだそうだ。
これって何かに活かせないだろうか・・・
大麻布への興味はまだまだ深まりそうである。
麻打ちや糸績みの担い手がいないという課題をなんとか解決して
布→きものや帯へと発展していくことがあるよう願わずにはいられない。
国産大麻布はまさに幻の布なのだ。
麻紙ランプ