uparupapapa 日記

今の日本の政治が嫌いです。
だからblogで訴えます。


クルマは本当に高くなったのか?

2016-04-28 04:14:04 | 日記
「最近のクルマは高いよね」とよく言われる。

確かに軽自動車がものによって200万円と聞くと

「全くその通り」と思うが、一方、頭の中には

「それはちょっと違うんだよなぁ」

と思うもう一人の自分がいる。

今回は日本人のデフレ慣れと

クルマの価格について考えてみたい。


●無茶なローンを平気で組んだ30年前の若者



30年前、筆者がホンダ・ディーラーで

整備士をやっていたころのことだ。

そのディーラーは珍しいことに四輪だけでなく

二輪の販売店も持っており、

たまたまそこに配属になっていた時期がある。


二輪のお客さんは四輪のお客さんより

概して整備の現場が好きである。

工場に入り込んで来ては修理作業を眺めていくので、

段々親しくなる。ある日、その常連客のUくんが言う。

「池田さん。俺、今度クルマ買うんですよ」

「へぇー、いいじゃない。何にするの?」

「プレリュードが欲しいんすよね」

「おー、金持ちだねぇ」

「いや、そんなんじゃないっすよ。

見積りもらったんですけど、頭金なしの毎月6万円36回ローン」

Uくんは屈託なく笑っていたが、筆者はちょっと心配した。

建築資材会社で2トントラックを運転している彼の給料は、

恐らく手取りで10万円ちょっと。

15万円に届いているとは思えなかった。

可処分所得の半分をローン返済に回してしまうのは

当時の常識としても危うい。

「うーん。50万円だけでも頭金作ってからにしたら?」。

彼が欲しがっているE-AB型プレリュードXZは

160万円くらいのクルマだ。

だが、エアコンとオーディオを付けて乗り出しの価格は

恐らく200万円を超えるはずである。

ショールームに戻って電卓を叩いてみると、

頭金50万円を用意して48回払いにすれば

何とか返済額が4万円を切る。

それならまだ何とかなるように思える。

だが、同じような境遇の彼の同僚が

8万円のローンを組んだことに自信を得て

、Uくんは月6万円のローンで本当に買ってしまったのである。

こういう無茶なクルマの買い方をする若者は

多数派ではないまでもそこそこいた。


ー中略ー



ということで、公平な比較かと言われると、

いろいろと言い訳すべきポイントは多いが、

シンプルに額面だけで比較すれば

高くなっているのは間違いない。

本来30年分のインフレその他を

加味する必要があるのは当然なのだが、

そこは日本の経済に

妙なことが起こっていて簡単に話をまとめられない。

それは後で別途じっくり考察するとして、

まずは当時の若者が

こんな無茶なローンを組んだ理由を書いて置かねばならない。

それも後でパズルにはまるのだ。


若者がこぞってクルマを買った背景としては、

当時の世相もある。毎年当然にベースアップがあって、

特に新卒入社直後の数年は

1万円以上の昇給も少なくなかったから、

返済を始めてみれば毎年1万円ずつローンが軽くなっていく。

そういう計算が成り立った時代だったのだ。


だから、手元に現金がなく、給料が少なくても、

多くの若者が新卒入社と同時にクルマを買った。

そういう消費が回り回って、企業が利益を上げ、

それがまた給与になって戻って来るのが

好景気の良いところだったのだ。


ところが、今や毎年のベースアップなど一部上場企業の中でも、

限られた特別な会社だけのもの。

現代のUくんたちは初任給が

右肩上がりに増えていくものとはハナから考えていないし、

雇用形態によってはボーナスもない。

それは月給20万円なら年収240万円のまま

ずっと生きていく覚悟をする世界だ。

ローンなんて組みたくなるわけがないし、

非正規雇用ならローンの審査を通らない可能性もある。

落とされたショックを考えれば、

余計申し込みたくなくなるだろう。

買ったら買ったで初期コストとは別に

維持費だってむしり取られる。

若者のクルマ離れなんて

勝手な言いぐさで若者の責任にする方がおかしい。


だからクルマは相対的に高く感じる。

おっさんたちは人事のように

「近ごろの若者には夢がない」と言うが、

夢が見られない社会を今までの世代が作ったのだ。


●なぜ高くなったのか?


では、いったいなぜそんなことになったのか。


図は首相官邸ホームページの政策会議資料の中にある

平成25年第2回会議資料の一枚だ。

日米欧それぞれの名目賃金の推移がグラフ化されている。

1995年の各国名目賃金を基準(100)としたとき、

2012年の値は米国で180.8、欧州で149.3ある。

ところが、日本は87.0と、

この18年間で2割以上もダウンしているのだ。


プレリュードは1982年デビューなので、

この資料の起点から

さらにさかのぼること13年前の物価なのだが、

そこには目をつぶって、

あくまでも目安として

当時の価格にこの名目賃金の比率を掛けてみる。

170万円の現在価値は各国でどのくらい違うのか。

米国では307万円、欧州では254万円、

日本では148万円になる。


クルマのようなグローバル商品は、

国による価格差はそれほど大きくない。

せめて欧州の賃金上昇率程度に

日本の賃金が上がっていたら、

86やBRZやロードスターを

若者が購入していた可能性は十分にあるのだ。

しかし、

欧米にインフレ補正を掛けなくてはならないのと反対に、

日本ではデフレ補正を掛けなくてはならない。

なんたることだ。


今、日本の物価と給与水準は明らかにおかしい。

牛丼が一杯380円という水準はOECD加盟34カ国の中で、

もはや最貧国レベルの物価だ。


筆者の友人に企業再生コンサルタントがいる。

多くのリゾート物件再生を手掛けてきた彼に話を聞いて驚いた。

少し前から、ニセコのスキー場には

オーストラリアやニュージーランドからの旅行者が

多数押し寄せている。

外国人旅行者はスキー場の2300円のカニ・ラーメンを

「日本は物価が安い」と喜んで食べているという。

驚くべきことに、

この店ではこのカニ・ラーメンが

一番人気のメニューだと言うのだ。


こうした旅行者のおかげで

ニセコでは物価がぐんぐん上昇している。

マンション価格も坪単価600万円に達しているという。

ニセコの山の中のマンションの坪単価が

山手線目黒駅前のタワーマンションに匹敵するのだ。

もちろんこれが平均的な話なのかと問われれば

そうとは言い切れない。

欧米ではスキーは富裕層の遊びである。

ましてや海外にスキー旅行に出掛けるともなれば

選ばれた人々なのだろう。とはいえ、

彼らはそういう富裕層だからこそ

母国と日本しか知らないわけではない。

あちこちのリゾートで遊んだ末、

日本の物価が安いと言っているのだ。


だから、こうした外国人にヒヤリングすると、

2300円のカニ・ラーメンでは飽き足らず、

ミシュランの星付きレベルのレストランが

なぜニセコにないのかと尋ねられるらしい。

友人は「夏の間どうやって生きていくのか」

と苦笑いするが、それほど世界から見て日本の物価は低い。


もう少し普通の例を見てみよう。

大手町あたりのサラリーマンが

昼食にちょっと良いものを食べたとする。

それでもせいぜい1000円から1500円というところだろう。

ところがロンドンあたりで同じ感覚で食事をすると

2500円から3000円の相場になっているという。


毎日のように報道される中国人観光客の爆買いも、

構造は同じだ。

「多少高くても良いものを」と買い求めているのではない。

「安くて良いものだから買わないと損」なのだ。

今や日本の物価は全く先進国水準ではない。

そこにグローバル価格の商品を置けば

割高に見えるのは当然のことになる。

クルマは高くなった。ただし日本人にとってだけだ。


●クルマのコストアップ



もちろんクルマの価格が上がっているのは

もっと技術的な理由もある。

1990年代に世界中で衝突安全基準が設けられ、

シャシーの開発コストが高騰した。

各種の電子制御安全デバイスも必要になった。

排気ガスや低燃費など低環境負荷対策にもコストはかかる。

そういうものを飲み込みつつクルマの製造原価は上がり、

同時にそれと釣り合うように

賃金が上昇してきたのが欧米だ。

しかし、その間日本の賃金だけが

20%以上も目減りしていたのだ。


自由主義経済の基本は競争だ。

より良い性能のものをより低価格で作る。

それを徹底的に貫いて日本はクルマを作ってきた。

隣国に「世界の工場・中国」があったせいもあるだろう。

中国に負けないために、

日本は必死に労働単価の差を補正し続けてきたのだ。

近年の製造業の日本回帰を見れば、

それに成功したとも言える。

しかしその成功の結果、賃金は異常に抑制され、

マーケットの購買力がなくなった。

成功したにもかかわらず、

メーカーも消費者も誰も得をしていない。

得をするのは海外からの旅行者だけという

極めて皮肉に満ちた結果になっている。


ではどうすべきなのか。

日本人はデフレ経済に慣れすぎた。

2500円のランチを普通に食い、

300万円のクルマをポンと買うようになれば、

物価は急速に先進国水準に戻るだろう。

だが、それを消費者に丸投げされても困る。

筆者自身もとても2500円のランチは食べられない。

牛丼にトッピングして500円オーバーになっただけで、

ちょっと節約が足りていない気分になる。


では企業が賃金を上げればいいのか。

それができればいいが、企業の側にも都合はある。

バブル崩壊以降、

人件費に圧迫されて窮状に陥った記憶が骨身にしみている。

厳しい労働法規のせいで、

人件費の弾力性がゼロなのだ。慎重にならざるを得ない。

鶏が先か卵が先かの話そのものだが、

企業が賃金を上げないから消費が伸びず、

消費が伸びないから賃金が上がらない。


日本の労働者の質は高い。

世界に冠たるサービスを安い賃金で提供する状況に

すっかり慣れてしまっているのだ。

俯瞰(ふかん)的に見れば、製品やサービス、

労働のクオリティを正しく評価し、

対価を支払える人が減ったことが

その原因であることはほぼ間違いない。

では、それを解決するにはどうすべきなのかという決め手が

今のところどこにもないように思える。

企業は適正な人件費を払わず、

顧客は商品やサービスに適正な対価を支払っていない。

教育の問題と言えばそうなのだが、

それを誰がどこでやるのか。その先が見えてこないのだ。

(池田直渡)


-ITmedia ビジネスオンライン-






記事の引用が長くなったので

私のコメントは短めにしたい。


多分皆さん、あまりに長い記事を見、

呆れて大部分をスクロールしたことと思う。

長すぎてごめんなさい。




若い頃からのホンダ党である私にとって

『プレリュード』は憧れの車であった。


車体本体価格160万円は、

当時のプレリュード・ラインナップの中でも

安い価格の車種だ。



それでも私には手が出ない。


そんな悲しい思い出が『プレリュード』にはあった。



昔の若者には、車に対する強烈な憧れがあり、

記事の中の無茶買いをした彼の行動は

内心無茶だと思いながらも共感できた。


日本人の賃金が減った理由。


それは正社員が減り、非正規社員が増えたから。


その正社員にしても

ベースアップが抑えられ、

定期昇給すら見込めない状況にある。


つまり現在の日本の現状は、

労働者の賃金抑制という犠牲の上に

成り立っていると云ってよい。


一方で企業内留保が1000兆円を超え

パナマ文書に見られるように

儲かる企業のみが儲かり

私腹を肥やしている。



確かに中国・韓国の追い上げにより

日本の企業は守りに入らざるを得なかった。

1980年代に、盛んに手取り足取り

技術移転をした結果がこれだ。


おまけに今の、なりふり構わぬ日本批判。



この怒りのやり場を

一体何処にぶつけたら良いのか?



わが身の保全と、私腹のみ追及する日本企業か?

そうなるように主導した政府か?

傍観するしかない無能な野党か?

平気で恩を仇で返す中国・韓国か?




その全部が敵に見えるオヤジが一句。




プレリュード  私が買えたの アコードよ

(エアコンなし パワーウインドウなし 彼女なし)




お粗末。