京極 高次の生涯を書いた本であるが、さすがに表現力、描写力、歴史考証力すべてに優れた作品であると思う。一度手に取ると、止められずに最後まで読んでしまいたくなる。
しかし、ずいぶん以前に書かれた本であるが、今回(といっても2年位前だと思うが)ごま書房から再出版されたものである。ごま書房の由来を見てみると胡麻のように小粒だが、きらりと光るものをという意味から名づけられた社名とか。出資者にはソニーの井深 大さんとか千葉大の多胡先生とか日本を代表する方たちの名前があった。
すでに創業から20数年を経過している会社であるが、今回の「湖笛」を読む限り、誤字脱字ではなく誤植その他「てにおは」の重複記載が目立っていた。上下二巻を通じて下巻はそれがひどく、気にしだすと本当に目障りなことであった。記憶している限り10数箇所のミスがあった。ひどいものは人名について「武」が「弐」になっているところさえあったのである。
自分の本であれば、チェックしておけるのだが、残念ながら図書館から借りたものであり、チェックするのを控えざるを得なかった。1,600円もの高価な書籍である。出版元は,もう少し責任ある校正をしてもらいたいものである。
折角の名作が、つまらぬところで汚されてしまっているのが残念であった。