大和浪漫

私、瓜亀仙人が奈良・大和路の社寺や自然、生活の様子などをお伝えしたいと思います。

今昔物語の瀧蔵神社へ

2012年10月04日 | 桜井市
初瀬ダム湖畔にある天落神六社権現にお詣りした時、「笠そば」と「瀧蔵神社」、「山野草の里 三谷」の表示を見かけた。
もう「瀧蔵神社」へ行きたくなって我慢できなくなった。
(本当は「笠そば」を食べたかった・・・)

以前、瀧蔵神社には、もの凄く立派な桜の樹があると聞いたことがある。

それで、今年こそ桜の季節に行こうと思ってたんやけど、結局行けなかった。
せやから今回こそ“権現桜”へ。

初瀬の町から旧上之郷小学校への道を約10分走ると、「瀧蔵神社」の看板が出ているので右折し

細くて曲がりくねった舗装路を対向車が来ないことを祈りながら1.8km走れば瀧蔵神社駐車場に到着。

@瀧蔵神社
長谷寺の北約3km、標高430mの山上に鎮座する瀧蔵神社は、瀧藏、瀧倉、滝倉、滝蔵等々の表記有り。川上瀧蔵明神あるいは瀧蔵権現とも呼ばれる。

元長谷八郷の鎮守、地主神にて天慶九年(946)「長谷寺延喜」に滝倉権現のお告げに依り大泊瀬<おおはつせ>山を「与喜地」・「与喜山」として菅原道真公に護られたとの夢物語が書き残され、以来滝倉を「本地主神」、与喜山を「今地主神」と云われた。

長谷寺の奥の院として古来より信仰が深い神社で、長谷寺へお詣りしても瀧蔵神社へ参詣しなければ御利益は半減すると伝えられている。

「今昔物語」には平安時代当時の滝倉明神と長谷寺との関係が具体的に書かれている。

@『今昔物語』巻十九 滝蔵礼拝堂倒数人死語第四十二
 <たきくらのらいはいだうたふれてあまたのひとしぬることだいしじふに>
今は昔、長谷の奧に滝蔵と申す神が鎮座しておられる。その社の前に、軒続きに長さ三間の檜皮葺の家があった。社は山に沿って高い所に建ち、前の家は谷に柱を長く継いで建ててある。その谷ははるか深く、見おろすと目もくらむばかりだ。
さて、ある正月、大勢の人が参詣したが、七、八十人ほどがその社の前の家にいて、経をよんだり礼拝したりして、お勤めをしているうち、いつしか真夜中ごろになった。
なにさま多くの人が集まって床が重くなっていたので、そのころになって、谷側の柱が谷の方に傾き、柱がつぶれて土台石から落ちた。それに引かれてほかの柱もみな土台石からはずれる。同時に、建物全体が谷の方へ投げ出され崩れ落ちて行った。
その時、そこにいた者たちは、はじめは地震だろうと思っていたが、にわかに谷の方に崩れ落ちたので、居合わせた者ことごとく、あるいは家から投げ出されて谷に落ちてゆく者あり、あるいは柱・桁 <けた> ・梁に打たれてめちゃめちゃになる者もあり、あるいは子を抱いた女が母子ともども頭を板敷の間にねじ切られて、からだだけ谷に落ちてゆくのもあり、あるいは五体ばらばらになって全部飛び散ってしまった者もある。だがその中で、女一人、男三人、子供二人だけ、谷の底に落ち込んだが、かすり傷一つなく助かった。
思うに、この助かった者たちは、前世からの宿業が強かった上に、神の助けと観音の加護があったのであろう。じつにこれは不思議きわまることだ、とこう語り伝えているということだ。

鎌倉初期・保延四年(1138)に書かれた「長谷寺観音記」に美福院(七四代鳥羽天皇妃)長谷寺に参詣、夢のお告げにより滝倉権現の尼の力で姫を若宮(七六代近衛天皇)と取り替えて貰ったという誕生の秘密が記されて有り、院はお礼に「滝倉の拝殿を営作す」と有る。

「権現桜」には、昔地元の村老の夢の中に権現様が現れて枝垂桜を植えるようにお告げがあり、それで権現桜という名が付いたという伝説が伝わっている。

エドヒガン系のシダレザクラは、幹周/3.01m、樹高/4.2m、樹齢/推定300年。

滝藏山梵鐘には、室町時代の応永26年(1419)、長谷寺の高僧善照上人は瀧藏神社の神宮寺の霊験の顕たかさに感激され梵鐘を寄進賜った刻銘を見る事が出来る。

境内を降りていくと、かつての神宮寺の弥勒菩薩石仏(吉野朝時代)等がある。

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2 コメント

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なんだか・・・凄い!!! (山口ももり)
2012-10-09 08:18:52
凄いなあ!!!囲炉裏緒一杯面白い所がるんですねえ。至初瀬寺、桜井・・・というと・・・歩いては行けそうもないんでしょうねえ。
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Unknown (瓜亀仙人)
2012-10-09 17:58:43
ももりさんへ
バス路線が廃止されたので、タクシーか1日ハイキングでしょうね。
ハイキングと言うより、山登りかも???
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