八島ビジターセンター

長野県のほぼ中央、霧ヶ峰高原の八島湿原を中心とした地域の最新情報をビジターセンターからお届けします

ハンゴンソウ

2008年08月30日 | Weblog
          
今週はずっと雨模様。

でも、小雨が降ったり止んだりするような状態で、朝方は御岳やアルプスの山並みまでくっきりと見渡せて不思議な感じです。湿原の散策も、傘としっかりした靴があればいつもよりゆったりと楽しめます。

そんな霧と小雨の中、湿原の周りに咲く秋の花々がとてもきれいです。
写真はハンゴンソウ。今までヤナギランが群生していた所のお隣りに、交代するように黄色の群落が広がりました。

黄色のお花といえば、アキノキリンソウも見ごろ。その他、タムラソウ、ヨツバヒヨドリ、ゴマナ、ツリフネソウ、ワレモコウ、マツムシソウ、ノコンギク、ユウガギク、(ツクバ)トリカブト、フタバハギ、ヤマハッカ、ノダケなどがきれいです。

 
アキノキリンソウ                           タムラソウ

ヨツバヒヨドリは白っぽいのや赤みがかったのなど様々ですが、終わり始めのこの季節には色の濃くなるものが目立ち、花もふわっとしていて秋らしさを感じさせます。

是非、傘を持って、湿原を散策してみてください。

※現在、道路状況は通常通り。通行止めになっていたビーナスライン八島―和田峠間と、県道八島高原線も規制解除となりました。天気は変わりやすいですので雨具をお忘れなく・・・。


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秋色の八島湿原

2008年08月22日 | Weblog
           
こんにちは。湿原の秋色が急速に深くなってきました。この季節になると湿原の景色はため息が出てしまうくらいほんとうにきれいで、やっぱり湿原は秋だなーと心から思います。
でも、春には春で逆のことを思っているのだから勝手なものですが・・・(笑)。

たぶんそれは、どの季節もそうであるように、どのお花についても、どの動物についても、はたまた、どんなに小さな虫にだって言えること。自然を構成する様々な要素が、どれ一つとったってお座なりにはできない尊いもので、個々を見るとそれが最上のもののように感じられます。

草原の広がりのような大きな光景を見ていて、ふと足元の草花に視線を落とした時、私はよくそんなことを思います。ひとつの大きな生態系がどんなにたくさんの要素によって支えられていることか。その中には意味を持たないものは決してなく、無数に広がる集合体の世界は本当に美しい世界です。

私たち人間も、自然に見るように、人々の多様性の中で「個」を見出すことができるでしょうか。それぞれが自分らしく生きれば、そこには調和が生まれるはずです。

「何人も他の者と等しくあるな。だが、みな最高のものに等しくあれ。」とは昔のドイツの詩人が残した言葉。自然はこの言葉と同じことをただひたむきに実践し、私たちに伝えてくれています。

花は花らしく、鳥は鳥らしく。自然はただそこにあるだけなのに、ありのままでいいよと言っているような温かさをもっている。私はそんな自然の温かみがたまらなく大好きです。八島湿原に来たら是非、一つ一つの生きる者たちに目を向けてみてください。


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今日の出来事

2008年08月11日 | Weblog
          
今日は八島湿原の広場の整備として、法面の下の歩道にたまった土と植物を取り除いてきれいにしました。

もともとは石を積み上げただけの法面だったはずですが、長い年月の間に石と石の間には土がたまり、ススキなどのイネ科の植物がびっしりと根をおろしていました。草本類の根元を見ると、去年の枯草がたくさんたまっており、その下は半分くらい腐蝕されたような柔らかい土になっています。土がたくさんできたところにはオノエヤナギやウツギの仲間などの木本も定着しており、なんだか遷移の仕組みの見本のようだなー、と思いながら作業をしていました。石の上にもちゃんと土ができていくというのは当たり前ですがすごいことですね。

土といえば、昔の霧ケ峰ではちょっと事情が違いました。牛馬の飼料として採草が毎年行われていたので、夏の間に生産された植物現存量の多くが、秋に霧ケ峰の外へと運ばれていたのです。それは土の材料を取り除いてしまうことになります。その上、取り残された枯草も春に野焼をすることできれいに取り除かれていました。

それとは対照的に現在では毎年毎年大量の枯草がそのまま地面に堆積し、年々土を肥やしているはずです。土壌の構造や栄養状態が変化すれば植生も少しずつ変化するわけで、それを考えると火入れや採草のあるなしによる土壌環境の相違はどのくらいのものになるのか興味深いところです。また、今後の草原管理を考える上でも植物生産物の行方は一つの課題となるでしょう。

とと、話は長くなりましたが、ちょっとした法面なんかからも、自然を見る方法はいろいろとありそうです〈笑〉。ご自宅の近くでもちょっと足を止めて観察してみると楽しいかもしれませんね。



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ビンズイ

2008年08月03日 | Weblog
          
ミズナラの森の中でビンズイに出会いました。

私が木道を歩いていくと、突然足元の草叢から飛び出して、すぐ近くのミズナラの横枝に留まりました。図鑑によれば、驚くと木に飛び移る性質があるそうで、まさにそのとおりですね。近くでずーと見ていましたが、あわてて逃げたりはせず、次第に横枝をちょこちょこと歩き出し、高いところまでいくとピーとないて上のほうへ飛び立っていきました。

さて、このビンズイの生活環境を調べてみると、「明るい林」や「林縁」「木がまばらに生えた草原」を好むとあります。霧ケ峰は今、草原のなかに徐々に木が増えてきている状況にあり、そのことはビンズイにとってはプラスに働いているのかもしれません。私が出会ったビンズイもここ50年の間に成長してきたミズナラ林の中にいました。

一方で、コヨシキリという草原性の鳥は、草原の環境が変化したことでその減少が危惧されています。自然環境が時間とともに少しずつ変化していく中で、その時代にあった生き物やそうでない生き物がいて、ある時代にはその両者が共存している。どういったスタンスに立つかによって、自然のベストな状態を何だと決めつけることは出来ない自然の難しさ、そして面白さがここにはあります。


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ミタケスゲ

2008年08月01日 | Weblog
 
8月に入り、湿原を遠くから俯瞰すると、緑一色だった湿原に色あせた黄色の縞がはいっているのが目に付きました。最初はそこだけ早く枯れ始める植物が生育しているのかなと好奇心がわきましたが、まだ草の葉はそこまで元気を失っているわけではないようです。

近くまで行って知ったその正体は、ミタケスゲの小穂。星のような個性的な形をしています。ミタケスゲは亜高山帯の湿地に生えるスゲの仲間で、花期は6~7月ですので、もう果実の時期なのでしょう。鎌ヶ池付近では池周辺から湿原の奥のほうまで一面にこのミタケスゲが広がり、淡緑色の絨毯のようになっていました。一つ一つは地味なスゲの果実もたくさん集まると麦畑のようにきれいです。

7月に比べると、日が短くなってきて夕方や早朝の気温はすでに下がり始めているような気がします。あと半月もすれば秋の気配が深まるのかと思うと、今、花の咲くこの季節がとても移ろいやすく大切なものに感じられます。


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