切られお富!

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アラン・ドロンの『生きる歓び』

2017-05-17 00:00:07 | アメリカの夜(映画日記)
アラン・ドロンが引退するらしいんだけど、ニュースの類だと代表作は『太陽がいっぱい』とか『サムライ』になってしまって、なんだかわたしには物足りないんですよね。で、わたしのなかのアラン・ドロンはヴィスコンティの『若者のすべて』と『山猫』なんだけど、これもまあ月並みといえば月並みではあるんで、あえて、若くて美しかったころのアラン・ドロンが元気っいっぱいにはしゃぐ『生きる歓び』をあげておきましょうか。これは邦題も音楽も悪くないし。

『太陽がいっぱい』の翌年にルネ・クレマン監督が撮った作品で、ファシズムの影が忍び寄るイタリアが舞台の作品なんだけど、コミカルというか悲愴な感じじゃないところがよいんですよね。たとえば、食べ物を凶器にして庶民が闘う場面なんか。カメラは『大人は判ってくれない』のアンリ・ドカで、コントラストのはっきりとしたモノクロ映像がシャープで、冒頭の雨のシーンはなかなかな見ごたえがあります。

でも、そんなことよりなにより、アラン・ドロンの相手役で、目と目の間の離れた美人バルバラ・ラスの魅力がこの映画では光っていて、二人が出会うシーンなんかじつに映画っぽくてよいんです(これはご覧になって判断してください!)。

で、この女優、ポーランド出身で助監督時代のポランスキーと結婚してたこともあるという人なんだけど、トリュフォーなんかが参加しているオムニバス映画『二十歳の恋』のポーランド編にも出演しているんですよね。このポーランド編はアンジェ・ワイダが監督してるんだけど、これがワイダの最高傑作なんじゃないかというほどの短篇で、冒頭のトラの檻の前でバルバラ・ラスが恋人とキスしてるシーンなんか妙にカッコいいです。

と、この辺でアラン・ドロンに話を戻すと、『生きる歓び』以外でわたしが忘れがたいのは、ミック・ジャガーの元恋人だったことでおなじみマリアンヌ・フェイスフル主演の『あの胸にもう一度』で、サディスティックな彼氏役でアラン・ドロンが出演してるんですよね。これはちょっと変わった不気味な役で、原作になっている『オートバイ』という小説もよいです。

他だと、純粋に映画として凄いと思ったのはジョセフ・ロージー監督の『暗殺者のメロディ』かな~。

というようなことで、とりとめがないんで今日のところはこの辺で…。

<過去に書いた関連記事>
・『ロマン・ポランスキー 初めての告白』 ローラン・ブースロー監督
・『あの胸にもういちど』 ジャック・カーディフ監督


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