切られお富!

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『津波と原発』 佐野眞一 著

2011-10-10 23:59:59 | 超読書日記
この本、出てすぐくらいに読んだのですが、感想書きそびれたので、簡単なことだけ。

前半が緊急現場ルポ、後半がこの著者本来のスタイルで、民俗学っぽい地史の記録という感じなのかな。

前半で興味深かったのが、被災地の治安悪化の話。大手メディアの「日本人性善説」的な報道って、やっぱり嘘かって思いましたよ。そりゃそうでしょってね。「日本人性善説」みたいな言い方って、実は「日本人優位主義」というか、「民族差別」的な発想と裏腹なんじゃないかとも思いましたね。

後半は原発誘致の歴史。メディアはそれこそ「被差別問題」というくくりで報じないんだろうけど、差別の構造と原発誘致の話は切り離せなんじゃないのかなと。これに現代日本の漂白民「原発ジプシー」が絡むわけで、日本の近代が産み落とした裏面としか言いようのない現象ですよ、きっと。

そう考えると、佐賀県知事の問題とも併せて考える必要がありますね。もっとも、取り上げられるメディアはどこなんだって話になるんだろうけど…。

ただ、この本で一点気になったのは、原発問題に東電OLの話を結びつけたくだり。ここはさすがに飛躍しすぎという印象を持ちました。

何はともあれ、今年の必読書ではありますね。

津波と原発
クリエーター情報なし
講談社


(参考)
原発労働記 (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社
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