goo blog サービス終了のお知らせ 

切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『やさしい女』 ロベール・ブレッソン 監督

2015-05-15 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
『白夜』の公開に続くブレッソン幻の作品の公開だったんですが、宣伝的にはベルトリッチのミューズ、ドミニク・サンダのデビュー作という押しでしたね。で、個人的には次作の『白夜』に勝ってます!ということで、簡単な感想のみ。


ブレッソン最初のカラー作品で、次作の『白夜』同様、ドストエフスキーの短編が原作。『白夜』がちょっと甘ったるかったのに比して、これは厳しいブレッソンですね。


話は、若い奥さんをもらった中年男の孤独と悲劇ってところだけど、冒頭のカット割りのドラマチックさが、ブレッソン初期の『ブローニュの森の貴婦人』みたいなんですよね。


それに、あのベランダのテーブルが倒れるカットの、「この倒れ方!」って感じのカッコよさ(これだけだとなんだか分からないだろうけど!)。あれ見て真似したくなった自主映画監督が絶対たくさんいますよ!


実は二回観たんですね、最初はドミニク・サンダをよいアングルでとってるな~ということに感心して、二回目は映画自体の構成力に感動した。


ただ、ブレッソンのカラー作品としては、『たぶん悪魔が』と『ラルジャン』が最高峰なので、この映画はその意味では秀作くらいの出来で、ほめすぎは禁物だと思うけど、『白夜』よりは見る価値があると思います。そして、あえて注をいれるなら、男の作った映画だなと。ドミニク・サンダを写す視線はサディスティックな男の視線で、女心を巧妙に描いてるわけではないと思う。でも、女性も情況的に共感できるとは思いますけどね~。(この辺、ロメールとは違うよね。)


というわけで、久々に映画館で、よい映画体験ができた!


PS①:この映画を観ていて、『バルタザールどこへ行く』の主演アンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝『少女』を思い出した。彼女、撮影中に監督のパワハラ&セクハラに悩まされたとのことですから。ブレッソン=Sはこの本で確認できる!


PS②:ちょっと考ええものなのは、パンフの販売がなかったこと。『白夜』だってあったんですよ。どうりで、館内の掲示に人だかりができるはず。


しかし、『白夜』&『やさしい女』がセットでDVDにならないものですかね~。

やさしい女・白夜 (講談社文芸文庫)
クリエーター情報なし
講談社
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« <訃報> 映画監督 野村孝... | トップ | 5月文楽公演(第二部)に行... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

アメリカの夜(映画日記)」カテゴリの最新記事