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たまたま仕事絡みの本や資料ばかり年明けは読んでいて、さすがにウンザリした事もあり、反動で(?)手にとってしまったのがこの本。といっても、買ったわけではなくて、偶然手の届くあたりに置いてあったから読んじゃったんですが…。
これは、AVで処女喪失、27歳で自殺したサブカル・ライター井島ちづるの軌跡を追った本。しかし、なんだか痛い本だったなあ~。
わたしは、この井島ちづるっていうライターの存在を知らなかったんだけど、まあ、知っているヒトの方が圧倒的に少数派でしょう。彼女の名前で出ている本は一冊だけだしね…。
で、この本では、彼女の友人である大橋由美というライターが生前の彼女を知るヒトを追いながら、彼女について語っているというわけ。(雨宮処凛、藤井良樹、鈴木邦男、宅八郎なんかが出てきます。)
井島ちづるっていうひとは、学生時代から『ロッキング・オン』や『宝島』を愛読し、音楽ライター志望だったという話。しかも、この本を読む限り、どう考えても人間関係は苦手だったようだ。(因みに、彼女の唯一の本は『恋愛できない!』というタイトル!)
というわけで、端折ってわたしの感想をいえば、以下の二つですかね?
☆ ☆ ☆
①なんで、『ロッキング・オン』なんかを読んでいる音楽ライター志望者(或いは英国系ロックファン)は、人間関係が苦手なのか?
②<ライターになるための経験=風俗関係>というのは、安易で好きじゃないなあ~。
☆ ☆ ☆
まず、①なんだけど、わたしも①該当者としては、確かにそんな傾向が周りを見渡してもありますね。そして、音楽の趣味の悪いヒトの方が人生を謳歌しているという変なコンプレックスはなくもない。
そして、『ロッキング・オン』あたりが蔓延させた<自意識過剰型>音楽ライターの幻想は実に罪作りなものだっていう感じも正直します。
いったい、何人の若者たちが、ライター幻想に騙されて、夢破れていったことだろう。
だから、井島ちづるって、個性派というよりは、「こういうひとよくいるな」って感じにしか思えませんでしたね、わたし。
(なお、巻末に載っている彼女の所有品リストのCDや本は、サブカル趣味の女子としてはあんまり意外性はなかった。)
②。学生時代のこと、就職活動の自己PRのために、突然ボランティアなんかを始めるひとがいて、ちょっとビックリしたことがあるんだけど、そういうヒトたちにいわせると、勉強しないで映画ばかり観ていたわたしなんかは、「それでも、履歴書に書けることがあるから羨ましい」ってことでした。
でも、履歴書に書くために映画を見ているわけでもないし、最近流行の「頭がよくなる」ために、落語やクラシックに興味を持ったわけでもないから、「個性」を捏造するセンスってわたしには判らない。
しかし、ライターになるってことが、この手の「個性」を必要とするのだとすると、ライターと芸人って一緒だってことになるし、実際、引きこもりから芸人学校みたいなコースも最近は珍しくないらしい。 現代の若者の自己救済って何なんですかね?
まあ、わたしはこういうの、趣味じゃないなあ、残念ながら。
☆ ☆ ☆
で、どうにもこの本の偶像視に違和感があったんで、井島ちづる本人が書いた本『恋ができない!!』を読んでみたんだけど、大橋由美の本より全然好感を持ちました。
最初に井島本人が自分を語っているんだけど、身長170cmで痩せ型、色気のない自分を、まさに飾り気なく曝け出していて、少なくともこの本にはギミックはなかった。
生前にやっていた取材が、この本の「恋愛できない」ヒトへのインタビューと自殺志願者へのインタビューだというのは、いかにもキワモノ的だけど、本人としては等身大の問題でもあったんでしょう。 でも、やっぱり自分に焦点を定めていくやり方って、つまるところ凡庸なんですよ。自分を滅却したところでいい作品を書き続けた井田真木子みたいなライターの方をわたしは尊敬するな~。
または、本当に裸一貫からやっていくなら、壮絶に生きて、たくさんの作品も残した鈴木いづみとかねえ~。
まあ、同時代を生きる人のスケールの小ささを痛感してしまった本でした。
とりとめがないですけど・・・。
(参考)
これは、AVで処女喪失、27歳で自殺したサブカル・ライター井島ちづるの軌跡を追った本。しかし、なんだか痛い本だったなあ~。
わたしは、この井島ちづるっていうライターの存在を知らなかったんだけど、まあ、知っているヒトの方が圧倒的に少数派でしょう。彼女の名前で出ている本は一冊だけだしね…。
で、この本では、彼女の友人である大橋由美というライターが生前の彼女を知るヒトを追いながら、彼女について語っているというわけ。(雨宮処凛、藤井良樹、鈴木邦男、宅八郎なんかが出てきます。)
井島ちづるっていうひとは、学生時代から『ロッキング・オン』や『宝島』を愛読し、音楽ライター志望だったという話。しかも、この本を読む限り、どう考えても人間関係は苦手だったようだ。(因みに、彼女の唯一の本は『恋愛できない!』というタイトル!)
というわけで、端折ってわたしの感想をいえば、以下の二つですかね?
☆ ☆ ☆
①なんで、『ロッキング・オン』なんかを読んでいる音楽ライター志望者(或いは英国系ロックファン)は、人間関係が苦手なのか?
②<ライターになるための経験=風俗関係>というのは、安易で好きじゃないなあ~。
☆ ☆ ☆
まず、①なんだけど、わたしも①該当者としては、確かにそんな傾向が周りを見渡してもありますね。そして、音楽の趣味の悪いヒトの方が人生を謳歌しているという変なコンプレックスはなくもない。
そして、『ロッキング・オン』あたりが蔓延させた<自意識過剰型>音楽ライターの幻想は実に罪作りなものだっていう感じも正直します。
いったい、何人の若者たちが、ライター幻想に騙されて、夢破れていったことだろう。
だから、井島ちづるって、個性派というよりは、「こういうひとよくいるな」って感じにしか思えませんでしたね、わたし。
(なお、巻末に載っている彼女の所有品リストのCDや本は、サブカル趣味の女子としてはあんまり意外性はなかった。)
②。学生時代のこと、就職活動の自己PRのために、突然ボランティアなんかを始めるひとがいて、ちょっとビックリしたことがあるんだけど、そういうヒトたちにいわせると、勉強しないで映画ばかり観ていたわたしなんかは、「それでも、履歴書に書けることがあるから羨ましい」ってことでした。
でも、履歴書に書くために映画を見ているわけでもないし、最近流行の「頭がよくなる」ために、落語やクラシックに興味を持ったわけでもないから、「個性」を捏造するセンスってわたしには判らない。
しかし、ライターになるってことが、この手の「個性」を必要とするのだとすると、ライターと芸人って一緒だってことになるし、実際、引きこもりから芸人学校みたいなコースも最近は珍しくないらしい。 現代の若者の自己救済って何なんですかね?
まあ、わたしはこういうの、趣味じゃないなあ、残念ながら。
☆ ☆ ☆
で、どうにもこの本の偶像視に違和感があったんで、井島ちづる本人が書いた本『恋ができない!!』を読んでみたんだけど、大橋由美の本より全然好感を持ちました。
最初に井島本人が自分を語っているんだけど、身長170cmで痩せ型、色気のない自分を、まさに飾り気なく曝け出していて、少なくともこの本にはギミックはなかった。
生前にやっていた取材が、この本の「恋愛できない」ヒトへのインタビューと自殺志願者へのインタビューだというのは、いかにもキワモノ的だけど、本人としては等身大の問題でもあったんでしょう。 でも、やっぱり自分に焦点を定めていくやり方って、つまるところ凡庸なんですよ。自分を滅却したところでいい作品を書き続けた井田真木子みたいなライターの方をわたしは尊敬するな~。
または、本当に裸一貫からやっていくなら、壮絶に生きて、たくさんの作品も残した鈴木いづみとかねえ~。
まあ、同時代を生きる人のスケールの小ささを痛感してしまった本でした。
とりとめがないですけど・・・。
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(参考)
プロレス少女伝説 (文春文庫)井田 真木子文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
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