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切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

NHK-BS1 世界のドキュメンタリー「ヴィスコンティ VS フェリーニ」、観ました。

2016-05-20 21:04:56 | アメリカの夜(映画日記)
よい番組でしたね。しかし、二人のイタリア映画の巨匠が犬猿の仲だったとは!映画ファン必見。再放送(5/25)をお見逃しなく!

わたしはどっちかっていうとヴィスコンティ派なんですが、映画を観はじめたときはフェリーニ派でした。ヴィスコンティのよさって、大人にならないとわからないところがありますからね~。

で、番組。同時期にヨーロッパの映画祭で賞を競い合った両巨匠が、周りも気にするほどの犬猿の仲だったとは、この番組で知りました。

もっとも、同じイタリア人でも、貴族出身のヴィスコンティと中産階級出身のフェリーニでは出自から違うし、映画上の師匠も、ヴィスコンティがジャン・ルノワール、フェリーニがロッセリーニですからね。

でも、俳優、スタッフはかなりかぶっているし、同時期にローマのチネチッタ撮影所で撮影してたりもしていたそうで、意識せざるを得なかったんでしょう。

わたしが面白かったのは、1954年のヴェネチア映画祭で、フェリーニの『道』とヴィスコンティの『夏の嵐』が争った際、フェリーニの『道』が勝利して銀熊賞を受賞。ヴィスコンティ派がブーイングしたんだけど、その扇動者が当時ヴィスコンティの助監督(じつは愛人でもあった)フランコ・ゼッフィレッリだったというくだり。このひと、オリビア・ハッセー主演の映画『ロミオとジュリエット』の監督として知られていますが、オペラの演出家としてもクラシックファンには有名。ブーイングの際は、フェリーニの助監督に殴られてます!

また、後年巨匠二人は和解するんですが、映画『ルードヴィッヒ』撮影中に倒れたヴィスコンティ宛に、フェリーニが書き送ったという手紙が泣かせる。

あと、ちょっと脇にそれるんですが、二大巨匠の作品に出演しているクラウディア・カルディナーレが当時のエピソードを語るために出演。これが、戸川昌子みたいな容姿になっちゃっていて、あの気高く美しかったCC(彼女の昔の愛称です!)が・・・って感じで、驚きました。塩野七生の化粧もそうだけど、老年のイタリア系女性のメイクって、なんであんな風なんですかね?特に上まぶたなんかやり過ぎって感じで、日本ではああいうメイクってまずお目にかかれないなあ~、なんて・・・。

というようなわけで、BS1侮れないですね。ちなみに、このドキュメンタリーは「ライバルたちが時代をつくった」というシリーズで、「カストロVSゲバラ」の回も面白かったです!

・番組公式HP

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4 コメント

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観ました (蝙蝠お高)
2016-05-26 21:46:38
見逃してました。
このブログのお陰で再放送に間に合いました。ありがとうございました。
感想はというと、ライバルがいるってのは良いもんだな…なんてちょっとズレたことを思いました。ライバルの存在は、生きていくハリにも刺激にもなるだろうし、その人に味わいを与えてくれるように思います。で、何か観たあと不思議な元気をいただきまして、勢いで(平日の9時すぎだったのですが)TSUTAYA走りまして「アマルコルド」か「白夜」か「青春群像」か「若者のすべて」か「イノセント」か「カビリアの夜」か…(いただいた元気を損なわないような作品をと思うとこうなりました)で、どれもないという…あ~そうか「アマルコルド」は日本ではDVD出てなかったっけ?と。ですよね?
あと、同じ制作年の作品を対比していましたが、最初の方はヴィスコンティがカラー作品(美しきアグファ!)なのに対しフェリーニがモノクロ作品なのが興味深かったです。フェリーニって考えてみるとモノクロ作品多いんですね。というよりヴィスコンティがカラー作品が多いのか。今更なこと言ってます?
この辺りに関しては、安易な解釈は控えますが、何れにせよ面白く拝見しました。
週末は実家の倉庫ひっくり返して確かあったはずのVHSで「アマルコルド」と「白夜」を観ようと思います!
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アマルコルドはDVDは出てないけど、LDは出てました。 (切られお富)
2016-05-27 23:15:18
蝙蝠お高さま

コメントありがとうございます。

ヴィスコンティもフェリーニもカラー・モノクロ比率は6:4くらいだと思います。で、フェリーニの初カラー作品は「魂のジュリエッタ」(1964)ですから、黒澤明同様、カラーになかなか自信が持てなかったんじゃないでしょうか。一方、ヴィスコンティは舞台やオペラの演出もはやくからやっていたから、衣裳や美術の色彩にも割と早く対応できたんじゃないかと想像します。

で、やはり、刺激って、「外部」から、「他者」からくるってことなんでしょう。自分の内側からは来ませんよね~。そのことを内心わかっていたから、ゲームみたいにして、巨匠二人は反発してたんじゃないでしょうか。

そう考えると、いまやテレビ局が作るものになっている日本映画って、民放キー局の番組内では悪口が言えなくなってしまっていて、悪口いえるのは、MXテレビの園子温がゲストに出るような番組のみ。これは、文化的退廃ですね。いまや純文学の作家も、売れないから仲良しクラブ化してますし・・・。ま、反発や摩擦のないところで文化なんかは生まれないでしょう~。

ちなみに、フェリーニでは「カビリヤの夜」が好きでした。「道」より、この映画のジュリエッタ・マシーナが好きです。確か、フェリーニ夫妻と会った黒澤明が「奥さんのジュリエッタ・マシーナは映画で見た通りの人だった」と言っていた記憶が・・・。
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Unknown (さすらい日乗)
2019-07-05 21:48:49
東宝が、最初に『ロメオとジュリエット』を舞台化する時、ゼフィレリに声を掛けたのだそうです。だが、彼は、自分の恋人の少年が演出のノートを持逃げしたので、できないと断って来た。そこで、中根公夫は、蜷川幸雄に東映今は京都で『水戸黄門』に出ていた蜷川に会って決めたのだそうで
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コメントありがとうございます。 (切られを富)
2020-01-04 23:17:28
さすらい日乗さま

俳優時代の蜷川幸雄は、同じく俳優兼演出家で、若き日のジョン・カサヴェテスを思い出します。

でも、刑事コロンボやドン・シーゲルの映画を観る限り、カサヴェテスの方が役者としては巧いですが…。

しかし、昔の東宝は凄かったんですね、ゼフィレリに声をかけるとは!
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