あの小泉純一郎が自らの「音楽遍歴」を語る! というわけで、今まで小泉批判ばかり書いてきたわたしが言うのもなんだけど、この本はちょっと興味深かった。とりあえず、感想。
少年時代のヴァイオリン演奏経験から始まる小泉のこの本なんだけど、ヴァイオリン楽曲に関しては、なかなかのこだわりがあるように思える一方、オタク系クラシックファンというよりは、浅く広く聴いているリスナーという印象は持ちました。(まあ、三世議員だし、本業は政治家だからねぇ~。)
ただ、指揮者や演奏家にこだわらないというセンスが、クラシックを聴くわたしにはちょっとよくわからないところ・・・。楽器から入った人ってこんな感じなんですかね?
それと、オペラについても、割と一般的で癖のない趣味というのがわたしの印象。ヴェルディだと「ファルスタッフ」や「オテロ」はよさがわからないという言い方は、ある意味正直ではありますね。(個人的には、「オテロ」は好きですけど。)
そして、オペラに関するところで、歌舞伎の「勧進帳」や「元禄忠臣蔵 南部坂 雪の別れ」の話を持ち出すあたりは、歌舞伎を知らない人には通っぽく映る部分ではあります。(あと、映画では『砂の器』も出てきます。)
その他、プレスリーやモリコーネの話なんかも出てくるのは、想定の範囲内っていうところでしょうか。
さて、全体の印象でいうと、小泉というひとは素直な音楽ファンなんだなという気はしました。
そして、過去の歌舞伎に関する発言を見ても、けっして学究肌なセンスはない。
というのも、趣味人が陥りがちな嫌みったらしい薀蓄というのが、この人には不思議なくらいないからなんですよね。
だから、この本から深い音楽的な知見というものはまったく得られないのだけど、小泉という人の傾向とでもいうべきものは、なんとなくよくわかりました。
そして、この浅さが「小泉人気」の底にあるものと繋がっているのではないかというのが、わたしの最終的な深読みですが、たぶんこの本も小泉ファンのオバサン族には売れるんでしょうねえ~。
ところで、最後に気になったのは、小泉の政治家としての外遊体験。ちゃんと音楽にまつわるところを押えてるんですよね~。おまけに、バイロイト音楽祭に招待までされてるし・・・。
ただ、こんなレベルでも、文化レベルの低そうな日本の政治家としては異例な文化外交なんでしょうけどね~。(しかし、政治家って、その割には教育とか文化とか、語りたがるんだよなあ~。)
そんなわけで、小泉ファン以外の方も立ち読みぐらいはする価値あります。
因みに、郵政民営化問題の折は、「ラマンチャの男」の「見果てぬ夢」を口ずさんでいたという話は笑えなかったなあ~。
<過去の記事>
・小泉純一郎を見た話。
・絶対必読!「パンツをはいた純一郎」!
少年時代のヴァイオリン演奏経験から始まる小泉のこの本なんだけど、ヴァイオリン楽曲に関しては、なかなかのこだわりがあるように思える一方、オタク系クラシックファンというよりは、浅く広く聴いているリスナーという印象は持ちました。(まあ、三世議員だし、本業は政治家だからねぇ~。)
ただ、指揮者や演奏家にこだわらないというセンスが、クラシックを聴くわたしにはちょっとよくわからないところ・・・。楽器から入った人ってこんな感じなんですかね?
それと、オペラについても、割と一般的で癖のない趣味というのがわたしの印象。ヴェルディだと「ファルスタッフ」や「オテロ」はよさがわからないという言い方は、ある意味正直ではありますね。(個人的には、「オテロ」は好きですけど。)
そして、オペラに関するところで、歌舞伎の「勧進帳」や「元禄忠臣蔵 南部坂 雪の別れ」の話を持ち出すあたりは、歌舞伎を知らない人には通っぽく映る部分ではあります。(あと、映画では『砂の器』も出てきます。)
その他、プレスリーやモリコーネの話なんかも出てくるのは、想定の範囲内っていうところでしょうか。
さて、全体の印象でいうと、小泉というひとは素直な音楽ファンなんだなという気はしました。
そして、過去の歌舞伎に関する発言を見ても、けっして学究肌なセンスはない。
というのも、趣味人が陥りがちな嫌みったらしい薀蓄というのが、この人には不思議なくらいないからなんですよね。
だから、この本から深い音楽的な知見というものはまったく得られないのだけど、小泉という人の傾向とでもいうべきものは、なんとなくよくわかりました。
そして、この浅さが「小泉人気」の底にあるものと繋がっているのではないかというのが、わたしの最終的な深読みですが、たぶんこの本も小泉ファンのオバサン族には売れるんでしょうねえ~。
ところで、最後に気になったのは、小泉の政治家としての外遊体験。ちゃんと音楽にまつわるところを押えてるんですよね~。おまけに、バイロイト音楽祭に招待までされてるし・・・。
ただ、こんなレベルでも、文化レベルの低そうな日本の政治家としては異例な文化外交なんでしょうけどね~。(しかし、政治家って、その割には教育とか文化とか、語りたがるんだよなあ~。)
そんなわけで、小泉ファン以外の方も立ち読みぐらいはする価値あります。
因みに、郵政民営化問題の折は、「ラマンチャの男」の「見果てぬ夢」を口ずさんでいたという話は笑えなかったなあ~。
<過去の記事>
・小泉純一郎を見た話。
・絶対必読!「パンツをはいた純一郎」!
音楽遍歴 [日経プレミアシリーズ] (日経プレミアシリーズ (001))小泉 純一郎日本経済新聞出版社このアイテムの詳細を見る |
ブログも再開しました。またよろしくお願いします。
>というのも、趣味人が陥りがちな嫌みったらしい薀蓄というのが、この人には不思議なくらいないからなんですよね。
それは私も感じていました。「オテロ」と「ファルスタッフ」がわからない…っていうんじゃ、なんだ、この人、何もわかってないんじゃないの?って言うのも簡単なんですけど。でも、日本のオペラ・ファンっていうと、知ったかぶりの半可通ばかりで、心底ヘキエキしますので、そういうプリミティブなファンであることは、逆に好ましく思ってしまいます。
>そして、この浅さが「小泉人気」の底にあるものと繋がっているのではないかというのが、わたしの最終的な深読みですが、
そうですよね、私も結構だまされてしまった口かも…
>おまけに、バイロイト音楽祭に招待までされてるし・・・。
ワーグナーっていうのは、本当にビミョーなんですけどね。一般人ならともかく、一国の首相がバイロイトまで行って喜んで聴いていて大丈夫なんでしょうか。問題視されたりはしないのかな?
そんなことをついつい言ってしまう私もやはり半可通!?
記事でもうまくいえなかったんですが、小泉の趣味に対するアプローチって、男っぽくなくて、むしろ女性的な感じがするんですよね~。(こういう言い方も、性差別っぽいのだけど・・・。お姉さんの影響もあるのでしょうが・・・。)
このあたりが、小泉の「わかりやすさ」と一脈通じているような気がするんですけど、どうなんでしょう?
ところで、ヘルシンキのシベリウスの旧宅に行ったり、オペラ「清教徒」の幕間でグルベローヴァと合唱したりと、役得を満喫しているところが、ある意味ご立派って感じもしましたね~。