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切られお富!

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『余命1ヶ月の花嫁』 廣木隆一 監督

2009-05-17 12:30:19 | アメリカの夜(映画日記)
全然予備知識なく観てみました。簡単に感想っ。

タイトルからして「お涙頂戴もの」だし、話題になったTBSのドキュメンタリーも見ていなかったんですが、以下の二つの理由で観てみることにしました。

①『ヴァイブレータ』(寺島しのぶ&大森南朋 出演)の廣木隆一が監督している。

②興行ランキング・初登場1位獲得!

つまり、「当たる」にはわけがあるはずだってことを確認してみようという、”好奇心”からってことですかね~。

まず、結論からいうと、この映画は実によくできています。

廣木隆一監督の代表作だとは思いませんが、この監督のいつもの低予算映画的な手法が取られていて、企画が企画とはいえ、まぎれもない廣木作品になっている。

で、廣木作品の特色をいう以前に、よい恋愛映画を撮れる監督の必須条件をいっておくと、「女性の話を上手に聞く男」をうまく演出できるかどうかってことだと思うんですよね、わたしは!

とかく「恋愛映画」って、「女優を美しく撮る映画」みたいに考えてしまいがちだけど、「恋愛映画」のヘビーユーザーはあくまで女性であって、むしろ相手役女優は演技過剰じゃない方が観る側は感情移入がしやすいんですよ。

だから、『ローマの休日』みたいな映画ですら、オードリー・ヘップバーンの役はそれほど強烈な個性の女王ではなく、グレゴリー・ペックの受身姿勢が映画の好感に繋がっているというわけ。

で、廣木監督に話を戻すと、『ヴァイブレータ』という映画では、大森南朋の癒し系(?)トラック運転手が素晴らしかったし、寺島しのぶ演じる女性との距離の縮まり方なんて、プライベートフィルム的な妙味があった。

そういう意味では、『余命1ヶ月の花嫁』の監督にこのひとは適任だったといえるんだけど、わたしが感心したのはあまり「病気の映画」になっていなかったという点。

出会いのバスのカットや夜の自転車のシーン、手持ちカメラを大胆に使った食事のシーンなど、「男女の映画」になっているんですよね。(最後の場面も泣かせる演出。)それに、瑛太って俳優はかなり頑張ってるなとは思いました。(あんまり見たことなかった。)

また、病室に舞台が移ってからも、病室のセットの窓外をうまく演出に活かしていて、工夫を感じてしまったな~。(たとえば、ヒッチコックの室内劇の名作『ロープ』という映画の窓外の変化を思い出した。)

つまり、病気の話って、入院してしまうと画面のバリエーションが狭まっちゃうでしょ?だから、心象風景としての窓外の変化というのはありがちといえばありがちだけど、電飾や背景画や合成(?)など、ヴァリエーションは感じたな~。

というわけで、とかく批判されがちなこの手の映画だけど、作り手サイドに立てば、実際の場所でのロケなど制約だらけでまともな映画にするのはなかなか大変。

そういう意味では、かなりちゃんとしてますよ。だから、この映画の後に同じ監督の『ヴァイブレータ』を見て欲しいですね。

なお、一点だけ驚いたことを。

エンドロールの最後の最後。監督のクレジットの後に主演女優の名前が出るのってはじめて見ました。そんなに大物女優なんだ…。というか事務所の力って凄いね~。

余談でした。

PS:余談のあとになんですが、この「花嫁」に関するネットの情報って、なんだかむごい感じですね。特に書いているほうのセンスがどうも…。ま、少なくとも映画とは関係ないんじゃないのかな?それに、ドキュメンタリーの真実性に対する信仰みたいなもの、それ自体に疑問を持つべきではという気もします。

ま、どうでもいいんだけど…。

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