切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

山口母子殺害事件と、「罪の軽い国」。

2006-06-21 22:41:29 | 政治少女死なず(反アベ宣言!)
この件に関しては、本村さんに同情はするものの、世論&マスコミが「人権派」弁護士バッシングに向かっているようで、ことの本質からずれているように感じてならない。以前にも書いたように、日本の刑事司法の問題点は、①量刑のバリエーションが少ないこと。(最高刑死刑の次に終身刑がなく、無期懲役という名の実質的な有期懲役刑があるというのがそもそもおかしい。)、②司法試験合格者を増加させた一方で、裁判官の任官数を増やさなかったために、裁判が迅速化しないこと。以上の二点に集約されると思う。で、こうした点の司法制度改革をなおざりにした状態で、「裁判員制度」の導入など、なんら「改革」の名には値しないというのがわたしの考え。要するに何が言いたいかって?共謀罪なんかにエネルギーを使っている間に、法務官僚や法務大臣ら政治家がちゃんとした改革案を出せってことなわけで、加害者の弁護士のせいで今の事態になってるわけではないんじゃないですか?

もう辞めたからいいけれど、法律知識ゼロの南野っていうオバサンが法務大臣になったこともあったし、弁護士資格を持っている法務大臣でも、頓珍漢な事を言っているケースが結構あった。(例えば、共謀罪の質疑。)おそらく、政治のなかでは、法務大臣というポストは極めて軽いんじゃないかって推測するんだけど、どうなんですかね?

今回は少年法の問題が絡んでいるのでややこしいのだけど、要するに、日本の法秩序における最高刑ってものににたどり着く犯罪者が極めて少数だってこと、つまり犯罪エリート(?)だけが最高刑(現状は死刑だけど、別に終身刑が最高刑になったって、今のままでは滅多に終身刑を言い渡されたりはしないってことでしょ?)になる仕組みを抜本から変えないとどうしようもないんじゃないですか?

ひと一人殺したって懲役7~8年程度、無期懲役刑の仮釈放者は約600人いるといわれ、詐欺罪など財産罪でも懲役5年をくらうには被害総額云億円以上が必要というわけで、現行制度の量刑バランスを考えたら、本村さんのケースだって本来的には死刑になりにくいのが現状。

要は、政治、立法機関の怠慢が引き起こしてることなわけで、「死刑制度反対派」弁護士がいようがいまいが、日本が「罪の軽い国」であることは変わらないってことをマスコミは論じるべきなんじゃないかって思いますね。

といっても、弁護士バッシングなんかにうつつを抜かすようなエモーショナルな連中に、司法制度全体を見渡すパースペクティブなんか望むべくもないんでしょうが…。
 
<光市母子殺害>無期懲役を破棄、審理差し戻し 最高裁(ヤフーニュース)

山口母子殺害、元少年の無期判決破棄 死刑の公算大 (朝日新聞) - goo ニュース
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 安倍晋三と統一教会。 | トップ | ブログという名のTATTOO。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

政治少女死なず(反アベ宣言!)」カテゴリの最新記事