“効き”が悪くなった右寄り発言。

先日、「派遣切り」を扱った番組で、保守系言論人・金美齢さんが「派遣切りされた方にも自己責任」というような発言を始めたときには、「はずしているなあ～」と思った。もちろん、番組中、もやいの湯浅氏から「もうそういう話をするのはやめませんか。現状が全然わかってない。」という主旨の発言が出たり、派遣切りにあった方々から「そういう発言は納得がいかない」という言葉が出て溜飲が下がりましたが、１０年前くらいまで、どちらかというと保守系自由市場主義の言葉の方がリアルに響いたのに、いまは全然リアルに感じられないっていうのは、時代の変化なんですかね？恐ろしいなあ～。

で、先日の「朝まで生テレビ」でも似たように感じたことがあって、元自衛官・潮匡人氏が田原総一郎に突っ込まれ、「拉致被害者が帰ってこなかったら最終的にどうするのか？」と問われ、「武力行使です。」と答えた場面でも、なんだか全然リアルじゃないなって気がしてしまいました。（実際、会場でも失笑が漏れていましたが・・・。）

まあ、わたしも１０年前は「保守系自由市場主義」めいたことをいっていたよう気がするんだけど、昔は学生、今は一応社会人やってますからね～。このあたりの違いが結構大きいのかもしれません。

前段の話でいえば、派遣社員に限らず、いまの雇用情勢ではなかなか貯金なんて出来ない人は多いだろうし、「切られる前に準備しとけ」って言われても、雇う側ってギリギリまでいいように使おうとして引っ張りますからね～。だから、「自己責任」を強調する金さんは現実を知らなすぎるってわたしは思いましたよ。

（だいたい、「自己責任」で解決するような人数の問題じゃなくなってますよ。にもかかわらず「自己責任」を叫ぶなら、「大衆なんてみんな粗忽だ」って言ってるようなものでしょう。それと、右寄り論壇陣って、いまだにフリーターや派遣社員を「夢追い人」みたいに捉えているようだけど、勘違いもはなはだしい。「夢追い人」じゃないのに、暮らしていけない層が増えてるから社会問題なんだってことがわかってないんじゃないのかな？）

後段の話でいえば、「武力行使」ってリアルに頷ける人はどれくらいいるんだろう？たとえ憲法問題がクリアになったとしてもです。中国や韓国を敵に回してまで、本当にやれるんですか、潮さん。ロシアだってきっと黙っていませんよ。それをなんとかするような外交力があったら、とっくに解決してる気がするしねぇ～。

というわけで、１０年前と同じ調子で論戦を張っても潮目が変わっているんだって事に気づかないとどうしようもないというか、少なくとも実証的に語るくらいはしないと、説得力はないなあ～ってことはテレビを見ていて実感しました。

ほんと、こういう「空気」は読んだ方がいいなあ～。

緊急討論!ACTIONスペシャル「派遣切り…ニッポン失業危機を救え!」