
毎年1月3日の恒例。というわけで、独断と偏見で選ぶベストアクトです!
以下、2017年の印象に残った舞台…
1月 沼津(吉右衛門、歌六)歌舞伎座、黒塚(猿之助)、雙生隅田川(右團次)以上、新橋演舞場
2月 梅ごよみ(染五郎・勘九郎)、大商蛭子島(松緑)以上、歌舞伎座、男の花道(猿之助)博多座
3月 名君行状記(亀三郎)、助六(海老蔵・雀右衛門)以上、歌舞伎座 伊賀越岡崎(吉右衛門)国立劇場
4月 伊勢音頭(猿之助)、帯屋(藤十郎、壱太郎)以上、歌舞伎座
5月 石切梶原、寿曽我(音羽屋三代襲名)先代萩(菊之助)以上、歌舞伎座
6月 弁慶上使(吉右衛門)、一本刀(幸四郎)、名月八幡祭(松緑) 以上、歌舞伎座
7月 加賀鳶(海老蔵)、駄右衛門花御所異聞(海老蔵)以上、歌舞伎座 一條大蔵譚(菊之助)国立劇場
8月 桜の森の満開の下(勘九郎)、歌舞伎座捕物帖(猿之助、児太郎)、刺青奇偶(中車・七之助)以上、歌舞伎座
9月 再桜(染五郎・雀右衛門)、逆櫓(吉右衛門)幡随院長兵衛(吉右衛門)、以上、歌舞伎座
10月 マハーバーラタ戦記(菊之助)、唐人話(鴈治郎・七之助)孤城落月(玉三郎)以上歌舞伎座
霊験亀山鉾(仁左衛門)国立劇場
11月 奥州安達原(吉右衛門)、忠臣蔵六段目(仁左衛門)、大石最後の一日(幸四郎)以上、歌舞伎座
坂崎出羽守(松緑)、沓掛時次郎(梅玉)以上 国立劇場
12月 土蜘、蘭平物狂(松緑)、瞼の母、楊貴妃(玉三郎) 以上、歌舞伎座
隅田川春妓女容性(吉右衛門)国立劇場
ということで、
●わたしの選ぶベストアクト2017
①再桜偶清水(染五郎・雀右衛門)
②霊験亀山鉾(仁左衛門)
③助六(海老蔵・雀右衛門)
④坂崎出羽守(松緑)
⑤唐人話(鴈治郎・七之助)
次点 名君行状記、桜の森の満開の下、土蜘、加賀鳶、沼津、岡崎、隅田川春妓女容性、六段目、加賀鳶、黒塚、雙生隅田川
地味な一年だった気がしていたんですが、よくよく考えてみると、名演が結構ありました。
再桜偶清水はこんぴら歌舞伎で観た時から気に入っていたので、再演はうれしかったですね。②の仁左衛門の舞台は二回観に行ったんですが、これも永久保存版といえる舞台、ただ、同じ鶴屋南北作品でも絵本合法衢の方が一段上の作品ではありますが…。海老蔵は家族の不幸を乗り越えて一段芸質が変わりつつありますね。今回の助六は陰影の深い、十一代目團十郎をも連想させる舞台でした。坂崎出羽守は松緑の熱演が光る。これも二回観に行ったな~。唐人話は珍しい演目ながら、鴈治郎が好演。
たぶん、多くの人は、久々の野田版桜の森の満開の下を一位に上げると思うんだけど、長所短所入り混じった舞台だったので、わたし的には次点の扱い。しかし、次点は吉右衛門ばかりですかね~。あと、個人的にはワーストに近かったのは、博多まで観に行った「男の花道」。といっても、演者の責任じゃなくて、長谷川一夫の古い演出の音楽の使い方が時代遅れっぽい気がして、「雪之丞変化」ともどもわたしはのれませんでした。ムード歌謡みたいな音楽って、再考してもいいんじゃないでしょうか、演出の猿之助丈!あと、梅玉さんの沓掛時次郎がなんだか刑事コロンボ風で不思議な配役だった気がしたのも、なぜか印象に残ります。
PS:「男の花道」は1941年のマキノ正博監督 長谷川一夫主演の映画が断然よい!古川緑波演じる目医者がよいんですよ。
●2017年MVP
①尾上松緑
②市川海老蔵
③中村吉右衛門、片岡仁左衛門
今年のMVPはあえて中堅(若手?)。今年の松緑は珍しい演目に挑戦する舞台が続いたと思うんですが、なかなかに成果をあげていたんじゃないでしょうか。個人的には坂崎出羽守が印象に残ったし、土蜘もわたしは良いと思いましたね。それに大商蛭子島や蘭平もよかったし。あと、蛇足なんですが、今どき珍しいくらい赤裸々に心情を語っている本人のブログもよいんですよね。職業としての歌舞伎役者の生活がよくわかるのと、まあ、ビックリするくらいの読書家ぶり。埴谷雄高の『死霊』を読んでいるのには驚かされました。
海老蔵は、私生活の不幸の影が良くも悪くも舞台に影響を与えたんでしょうね。助六にせよ、加賀鳶にせよ、古典に陰影が加わってきたと思います。ただ、大河ドラマの信長役は台詞の伸ばし方がちょっとクセ強すぎでしたけど。
で、播磨屋&松嶋屋の素晴らしさは例年通り。ただ、霊験亀山鉾とか伊賀越岡崎とか、この至芸を継承する人はいるんだろうかって問題はありますが…。
あと、番外編として、頑張ってはいるけど残念だったのは菊之助。意欲的な舞台は続いたんだけど、成果として結実したという感じはありませんでした。一條大蔵しかり、先代萩、インド物の新作など。
というようなわけで、2018年はもうちょっと当月内の感想記事をたくさん書こうと思います。あとで思い出すの、結構大変なんで!
以下、2017年の印象に残った舞台…
1月 沼津(吉右衛門、歌六)歌舞伎座、黒塚(猿之助)、雙生隅田川(右團次)以上、新橋演舞場
2月 梅ごよみ(染五郎・勘九郎)、大商蛭子島(松緑)以上、歌舞伎座、男の花道(猿之助)博多座
3月 名君行状記(亀三郎)、助六(海老蔵・雀右衛門)以上、歌舞伎座 伊賀越岡崎(吉右衛門)国立劇場
4月 伊勢音頭(猿之助)、帯屋(藤十郎、壱太郎)以上、歌舞伎座
5月 石切梶原、寿曽我(音羽屋三代襲名)先代萩(菊之助)以上、歌舞伎座
6月 弁慶上使(吉右衛門)、一本刀(幸四郎)、名月八幡祭(松緑) 以上、歌舞伎座
7月 加賀鳶(海老蔵)、駄右衛門花御所異聞(海老蔵)以上、歌舞伎座 一條大蔵譚(菊之助)国立劇場
8月 桜の森の満開の下(勘九郎)、歌舞伎座捕物帖(猿之助、児太郎)、刺青奇偶(中車・七之助)以上、歌舞伎座
9月 再桜(染五郎・雀右衛門)、逆櫓(吉右衛門)幡随院長兵衛(吉右衛門)、以上、歌舞伎座
10月 マハーバーラタ戦記(菊之助)、唐人話(鴈治郎・七之助)孤城落月(玉三郎)以上歌舞伎座
霊験亀山鉾(仁左衛門)国立劇場
11月 奥州安達原(吉右衛門)、忠臣蔵六段目(仁左衛門)、大石最後の一日(幸四郎)以上、歌舞伎座
坂崎出羽守(松緑)、沓掛時次郎(梅玉)以上 国立劇場
12月 土蜘、蘭平物狂(松緑)、瞼の母、楊貴妃(玉三郎) 以上、歌舞伎座
隅田川春妓女容性(吉右衛門)国立劇場
ということで、
●わたしの選ぶベストアクト2017
①再桜偶清水(染五郎・雀右衛門)
②霊験亀山鉾(仁左衛門)
③助六(海老蔵・雀右衛門)
④坂崎出羽守(松緑)
⑤唐人話(鴈治郎・七之助)
次点 名君行状記、桜の森の満開の下、土蜘、加賀鳶、沼津、岡崎、隅田川春妓女容性、六段目、加賀鳶、黒塚、雙生隅田川
地味な一年だった気がしていたんですが、よくよく考えてみると、名演が結構ありました。
再桜偶清水はこんぴら歌舞伎で観た時から気に入っていたので、再演はうれしかったですね。②の仁左衛門の舞台は二回観に行ったんですが、これも永久保存版といえる舞台、ただ、同じ鶴屋南北作品でも絵本合法衢の方が一段上の作品ではありますが…。海老蔵は家族の不幸を乗り越えて一段芸質が変わりつつありますね。今回の助六は陰影の深い、十一代目團十郎をも連想させる舞台でした。坂崎出羽守は松緑の熱演が光る。これも二回観に行ったな~。唐人話は珍しい演目ながら、鴈治郎が好演。
たぶん、多くの人は、久々の野田版桜の森の満開の下を一位に上げると思うんだけど、長所短所入り混じった舞台だったので、わたし的には次点の扱い。しかし、次点は吉右衛門ばかりですかね~。あと、個人的にはワーストに近かったのは、博多まで観に行った「男の花道」。といっても、演者の責任じゃなくて、長谷川一夫の古い演出の音楽の使い方が時代遅れっぽい気がして、「雪之丞変化」ともどもわたしはのれませんでした。ムード歌謡みたいな音楽って、再考してもいいんじゃないでしょうか、演出の猿之助丈!あと、梅玉さんの沓掛時次郎がなんだか刑事コロンボ風で不思議な配役だった気がしたのも、なぜか印象に残ります。
PS:「男の花道」は1941年のマキノ正博監督 長谷川一夫主演の映画が断然よい!古川緑波演じる目医者がよいんですよ。
![]() | 男の花道―小國英雄シナリオ集 |
クリエーター情報なし | |
ワイズ出版 |
●2017年MVP
①尾上松緑
②市川海老蔵
③中村吉右衛門、片岡仁左衛門
今年のMVPはあえて中堅(若手?)。今年の松緑は珍しい演目に挑戦する舞台が続いたと思うんですが、なかなかに成果をあげていたんじゃないでしょうか。個人的には坂崎出羽守が印象に残ったし、土蜘もわたしは良いと思いましたね。それに大商蛭子島や蘭平もよかったし。あと、蛇足なんですが、今どき珍しいくらい赤裸々に心情を語っている本人のブログもよいんですよね。職業としての歌舞伎役者の生活がよくわかるのと、まあ、ビックリするくらいの読書家ぶり。埴谷雄高の『死霊』を読んでいるのには驚かされました。
海老蔵は、私生活の不幸の影が良くも悪くも舞台に影響を与えたんでしょうね。助六にせよ、加賀鳶にせよ、古典に陰影が加わってきたと思います。ただ、大河ドラマの信長役は台詞の伸ばし方がちょっとクセ強すぎでしたけど。
で、播磨屋&松嶋屋の素晴らしさは例年通り。ただ、霊験亀山鉾とか伊賀越岡崎とか、この至芸を継承する人はいるんだろうかって問題はありますが…。
あと、番外編として、頑張ってはいるけど残念だったのは菊之助。意欲的な舞台は続いたんだけど、成果として結実したという感じはありませんでした。一條大蔵しかり、先代萩、インド物の新作など。
というようなわけで、2018年はもうちょっと当月内の感想記事をたくさん書こうと思います。あとで思い出すの、結構大変なんで!
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