切られお富!

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『有頂天時代』 ジョージ・スティーブンス監督

2007-07-15 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
近頃、暗い世相を反映した本ばかり読んでいたので、明るく楽しい映画が観たいなあなんて思って、ミュージカル映画を見直しているところなんですが、やっぱり、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのRKO時代の映画って、観ていて楽しいし、愉快になる。『トップ・ハット』が有名だけど、わたしは特にこの映画が好きだなあ~。

日本ではミュージカル映画というと、『ウエストサイド物語』や『サウンド・オブ・ミュージック』など60年代のものが取り上げられるケースが多いのだけど、欧米では、ミュージカル映画の全盛期は、1930年代のトーキー初期や1940~50年代のMGMあたりのスターシステムに乗った映画を代表作と捉えるケースが多い。(パリの名画座では、いまでもよくやってるんですよね。)

そもそも、サイレント映画からトーキー映画への移行時の、"音(サウンド)"への対応策としてミュージカル映画が興隆したという話は、そのことをパロディにした映画『雨に唄えば』や、ミュージカル映画の総集編映画『ザッツ・エンターテイメント』なんかを観てもよくわかります。

さて、本題に戻って、この映画『有頂天時代(スイング・タイム)』ですが、RKOという会社で作られたフレッド・アステア&ジンジャー・ロジャース共演作(この二人の共演作は合計10本あります。)のひとつで、冒頭のダンス教室での二人の軽やかなステップを見ただけでも幸せな気分になります!

ミュージカル映画のパターンとして、「本当は愛し合っている男女が、三角関係あたりを原因に仲違いして、普段は女性が不機嫌顔、でも踊っている刹那だけピタッと息が合って・・・」というのがあるんだけど、ジンジャー・ロジャースが良いのは、不機嫌な顔のときがとてもチャーミングなのと、踊っているときのスカートの裾をちょっと上げるときの仕草がなんとも優雅だからで、アステアがロジャースとのコンビを解消した後組んだリタ・ヘイワースなんかだと、踊りはうまいけど、どこか品がなくて物足りない気がしてしまう。

と、まあ、長々書いちゃったけど、ひとことでいえば、ジンジャー・ロジャースって“大人の女性”って感じがするから素敵なんですよね~。

で、この作品なんだけど、監督のジョージ・スティーブンスはあまりたいしたことがないんだけど、前述のシーンと雪のシーンが奇跡的に良くて、私は大好きです。

ウディ・アレンの映画『カイロの紫のバラ』の最後で、ミア・ファーローがアステアとジンジャー・ロジャースの踊っているシーン(『トップハット』という映画のシーン)を映画館で観ている悲しい表情は、映画に見果てえぬ夢を見ている多くの観客のこころを象徴しているように思えるんだけど、今のわたしのこころもあの映画のミア・ファーローばりにうつろかな・・・。

そんなわけで、幸せな気分に浸りたい人におすすめ!

PS:尚、フェリーニの『ジンジャーとフレッド』も見直しちゃったけど、こっちはアステア=ロジャース・コンビの『艦隊を追って』の曲が使われています。

スイング・タイム(有頂天時代



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