「シネマ歌舞伎」第3弾として、坂東玉三郎の舞踊公演が映画化されるそうだ。すぐ消されちゃいそうな記事なので、以下にそのまんま引用。
☆ ☆ ☆
「スクリーンで舞う玉三郎」
歌舞伎俳優・坂東玉三郎(55)の舞踊公演が“映画化”されることが19日、分かった。松竹が歌舞伎の舞台公演を高性能カメラで撮影し、大型スクリーンで上映する「シネマ歌舞伎」第3弾で「坂東玉三郎―鷺娘(さぎむすめ)」のタイトルで東京・築地の東劇で4月15日から公開される。松竹は、演劇と映画の融合をさらに積極的に展開していく方針。近い将来の海外の映画祭出品を目指す。
歌舞伎と映画のコラボレーションがさらに進化した。当代きっての女形・坂東玉三郎の舞踊公演が「シネマ歌舞伎」で映像化され4月15日から東劇で公開されることが決まった。「シネマ歌舞伎」の第3弾だが、過去2作は「野田版 鼠小僧」「野田版 研辰(とぎたつ)の討たれ」とストーリーがある狂言もの。舞踊が大スクリーンで上映されるのは大変珍しい。
演目は「鷺娘(さぎむすめ)」と「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」。ともに玉三郎が当たり役としている舞踊だ。「鷺娘」は白無垢(むく)姿の娘が登場するが、実は“鷺の精”。町娘に身を変じるが、かなうことのない恋の行方に鷺の姿となって、地獄の苦しみを味わう。84年に米ニューヨークのメトロポリタン・オペラハウスの記念公演で喝さいを浴びた作品だ。
「日高川―」は有名な“道成寺もの”で、恋する安珍を追う清姫が川を渡れずにいると、大蛇となって追いかけていく嫉妬(しっと)と恨みが込められている。人形つかいに操られている人形のように動きを表現する“人形振り”で演じる珍しい作品でもある。
「鷺娘」は昨年5月の歌舞伎座での中村勘三郎襲名披露で、「日高川―」は昨年10月の歌舞伎座での芸術祭で演じられたもの。人形つかいとして尾上菊之助が共演している。
91年に映画「外科室」で初メガホンを執るなど多彩な活躍を見せる玉三郎自身、スクリーン上映に興味津々。「誰でも気軽に見ていただきたい。やる以上は演出とか監督も入れて徹底してしっかりやりたいですね」とカメラワークなどを自らチェックするなど、こだわりが詰まっている。
高性能カメラで撮影しデジタル上映、音響も最新鋭の機材で臨場感たっぷり。表情や手足の動きなど普段の劇場では見ることのできないところもはっきり見え、舞踊の新しい楽しみ方にもなりそうだ。2作品で上映時間は60分。料金は1000円と手ごろ感もある。
世界遺産にも指定された歌舞伎興行を続ける松竹は、今後も映画とのコラボを積極的に行っていく方針。近い将来、海外映画祭での出品も視野に、日本が誇る伝統芸能を映像を通しても世界に発信していく。
(スポーツ報知) - 2月20日8時2分更新
☆ ☆ ☆
面白い企画なんだけど、気になっていることが二点だけ。
①舞踊のよさって、ライブのよさでもあるよなってこと。長唄なんかの演奏ももちろん生演奏だし、歌舞伎座に響く三味線や鼓の音っていうのは独特のものがあって、映画の音響でどのくらい再現できるのか?それに、動いてる玉三郎が花道をすーっと通っていく快感って、生の舞台ならでは出しナァ~。どうなんでしょう?あくまで、舞台とは別物として楽しむべしということか。これというのも、坂東玉三郎舞踊集の映像なんかは、実際の舞台とは別物って印象だからなんですよね…。
②「鷺娘」はともかく、「日高川」はどうかな?というのも、去年の「日高川」の印象が微妙だったからなんだけど、自分の劇評を確認しようと思ったら、「お蔵入り」にしてました!(こういうのがたくさんあるんですよね、去年は。)
一応、「お蔵入り」感想をここで蔵出し!
☆ ☆ ☆
十月大歌舞伎 夜の部「日高川」(歌舞伎座)
②日高川
今回わたしは幕見席にいたんだけど、この幕の立ち見の数は凄かった!さすが玉三郎人気って感じで驚きました。でも、観た人は満足したのかな?
道成寺伝説からとった歌舞伎舞踊で、他の女と逃げた安珍を追っかけた清姫が日高川までくるんだけど、船頭が船に乗せてくれず、嫉妬に狂った清姫は蛇の姿になって川を渡ってしまうというもの。
今回は人形振りといって、清姫と船頭を文楽の人形に見立てて、人間が人形のような動きで演じるんだけど、玉三郎の清姫に人形遣いが菊之助とくれば、双眼鏡が手放せません!(わたしは菊之助ファン!)
ただ、今回は日高川の船着場という狭い空間で演じられる人形振りだったせいか、案外動きが地味でわかりにくく、四階席から見るにはやや消化不良。それと気になったのは船頭の足。文楽のコミカルな役では、下品なまでによく動く人形の足がキーポイントになるんだけど、今回の船頭の足は衣装に付けられた作り物の足でもうひとつ面白みが出ない。上半身と眉毛の動きだけではどうも…。
最後、蛇体になった清姫が向こう岸にたどり着いて、柳の木に絡んで見得で決まるんだけど、このときは人形振りでなく、普通の芝居になる。つまり、このあたりに人形振りという演出の面白さがあるんだけど、追っかける情熱の刹那は人間でなくて、彼岸にたどり着いたときは生身の人間に戻る、というのがやけに生々しいんですよね。夢から半ば覚めたんだけど、後戻りできないというか…。
というわけで、岸に流れ着いてやや疲れと諦めの漂う玉三郎の表情にわたしは恍惚としましたね。
こういうのって、「ちょっと人生に疲れたOLの色っぽさ」にも通じると思うんだけど…。
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「スクリーンで舞う玉三郎」
歌舞伎俳優・坂東玉三郎(55)の舞踊公演が“映画化”されることが19日、分かった。松竹が歌舞伎の舞台公演を高性能カメラで撮影し、大型スクリーンで上映する「シネマ歌舞伎」第3弾で「坂東玉三郎―鷺娘(さぎむすめ)」のタイトルで東京・築地の東劇で4月15日から公開される。松竹は、演劇と映画の融合をさらに積極的に展開していく方針。近い将来の海外の映画祭出品を目指す。
歌舞伎と映画のコラボレーションがさらに進化した。当代きっての女形・坂東玉三郎の舞踊公演が「シネマ歌舞伎」で映像化され4月15日から東劇で公開されることが決まった。「シネマ歌舞伎」の第3弾だが、過去2作は「野田版 鼠小僧」「野田版 研辰(とぎたつ)の討たれ」とストーリーがある狂言もの。舞踊が大スクリーンで上映されるのは大変珍しい。
演目は「鷺娘(さぎむすめ)」と「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)」。ともに玉三郎が当たり役としている舞踊だ。「鷺娘」は白無垢(むく)姿の娘が登場するが、実は“鷺の精”。町娘に身を変じるが、かなうことのない恋の行方に鷺の姿となって、地獄の苦しみを味わう。84年に米ニューヨークのメトロポリタン・オペラハウスの記念公演で喝さいを浴びた作品だ。
「日高川―」は有名な“道成寺もの”で、恋する安珍を追う清姫が川を渡れずにいると、大蛇となって追いかけていく嫉妬(しっと)と恨みが込められている。人形つかいに操られている人形のように動きを表現する“人形振り”で演じる珍しい作品でもある。
「鷺娘」は昨年5月の歌舞伎座での中村勘三郎襲名披露で、「日高川―」は昨年10月の歌舞伎座での芸術祭で演じられたもの。人形つかいとして尾上菊之助が共演している。
91年に映画「外科室」で初メガホンを執るなど多彩な活躍を見せる玉三郎自身、スクリーン上映に興味津々。「誰でも気軽に見ていただきたい。やる以上は演出とか監督も入れて徹底してしっかりやりたいですね」とカメラワークなどを自らチェックするなど、こだわりが詰まっている。
高性能カメラで撮影しデジタル上映、音響も最新鋭の機材で臨場感たっぷり。表情や手足の動きなど普段の劇場では見ることのできないところもはっきり見え、舞踊の新しい楽しみ方にもなりそうだ。2作品で上映時間は60分。料金は1000円と手ごろ感もある。
世界遺産にも指定された歌舞伎興行を続ける松竹は、今後も映画とのコラボを積極的に行っていく方針。近い将来、海外映画祭での出品も視野に、日本が誇る伝統芸能を映像を通しても世界に発信していく。
(スポーツ報知) - 2月20日8時2分更新
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面白い企画なんだけど、気になっていることが二点だけ。
①舞踊のよさって、ライブのよさでもあるよなってこと。長唄なんかの演奏ももちろん生演奏だし、歌舞伎座に響く三味線や鼓の音っていうのは独特のものがあって、映画の音響でどのくらい再現できるのか?それに、動いてる玉三郎が花道をすーっと通っていく快感って、生の舞台ならでは出しナァ~。どうなんでしょう?あくまで、舞台とは別物として楽しむべしということか。これというのも、坂東玉三郎舞踊集の映像なんかは、実際の舞台とは別物って印象だからなんですよね…。
②「鷺娘」はともかく、「日高川」はどうかな?というのも、去年の「日高川」の印象が微妙だったからなんだけど、自分の劇評を確認しようと思ったら、「お蔵入り」にしてました!(こういうのがたくさんあるんですよね、去年は。)
一応、「お蔵入り」感想をここで蔵出し!
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十月大歌舞伎 夜の部「日高川」(歌舞伎座)
②日高川
今回わたしは幕見席にいたんだけど、この幕の立ち見の数は凄かった!さすが玉三郎人気って感じで驚きました。でも、観た人は満足したのかな?
道成寺伝説からとった歌舞伎舞踊で、他の女と逃げた安珍を追っかけた清姫が日高川までくるんだけど、船頭が船に乗せてくれず、嫉妬に狂った清姫は蛇の姿になって川を渡ってしまうというもの。
今回は人形振りといって、清姫と船頭を文楽の人形に見立てて、人間が人形のような動きで演じるんだけど、玉三郎の清姫に人形遣いが菊之助とくれば、双眼鏡が手放せません!(わたしは菊之助ファン!)
ただ、今回は日高川の船着場という狭い空間で演じられる人形振りだったせいか、案外動きが地味でわかりにくく、四階席から見るにはやや消化不良。それと気になったのは船頭の足。文楽のコミカルな役では、下品なまでによく動く人形の足がキーポイントになるんだけど、今回の船頭の足は衣装に付けられた作り物の足でもうひとつ面白みが出ない。上半身と眉毛の動きだけではどうも…。
最後、蛇体になった清姫が向こう岸にたどり着いて、柳の木に絡んで見得で決まるんだけど、このときは人形振りでなく、普通の芝居になる。つまり、このあたりに人形振りという演出の面白さがあるんだけど、追っかける情熱の刹那は人間でなくて、彼岸にたどり着いたときは生身の人間に戻る、というのがやけに生々しいんですよね。夢から半ば覚めたんだけど、後戻りできないというか…。
というわけで、岸に流れ着いてやや疲れと諦めの漂う玉三郎の表情にわたしは恍惚としましたね。
こういうのって、「ちょっと人生に疲れたOLの色っぽさ」にも通じると思うんだけど…。
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