切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

芝居好きのひとりごと…。

2006-04-25 00:47:52 | かぶき讃(トピックス)
三島由紀夫の『文章読本』には、この手の本としては珍しく「戯曲の文章」という章があるんだけど、そこで三島は芝居に遅れてくる客を、「もっとも芝居を知らないお客さん」だと断じ、厳しく非難している。

「私は芝居の幕開きに遅れてくるお客さんを、もっとも芝居を知らないお客さんだと思うのです。幕開きの十分ないし二十分の会話は、シチュエーションの説明として最も重要なものなのであります。そうしてそれがさりげない会話であればあるほど、おのずからその中にシチュエーションが織り込まれているので、ほんとうは観客が一刻も耳を休ませないで、耳をすましていなければならないものこそ、幕開きの場面なのであります。」(以上、三島由紀夫『文章読本』より。)

なんでこんなことを今更言い出したのかというと、先日の歌舞伎座でのこと、幕開きからしばらくしたタイミングで、私の前方の列の集団が遅れて登場、だらだらとなかなか座らず、わたしの視界を思いっきり塞いでくれたからなんだけど、冒頭の長唄が歌舞伎ではシチュエーションを語る重要なモノだって話は以前も書いたし、ストーンズのライブでキース・リチャーズが歌いだしたらトイレに立つ連中同様、「判らない人には判らない」ってことで諦めるしかないってことなんでしょうか?

そんなわけで、忙しいなか無理やり算段して芝居を観に来ている人もいるんだってことが言いたかったわたしでした!!

文章読本

中央公論社

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