
「義経千本桜」の義経と「小栗判官」の小栗判官がわたしにはどうも魅力薄に感じるのは、この二人の役がなんとも人間味の薄い役に感じられるからなんだけど、小栗判官伝説の原典に比較的忠実なこの近藤ようこのマンガでは、小栗判官と照手姫がとっても魅力的に描かれていてなかなか興味深いんですよね。
芝居の中の義経や小栗判官がつまらないのは、貴公子という要素が強すぎるからなんだけど、本来の小栗判官はヤマトタケルのようなトリックスター的なキャラクターで、イメージで言うと安倍晴明なんかに近い存在なんだと思う。(例えば、72回もの結婚&離婚や大蛇と契ったりなど。)
近藤ようこのこのマンガでは、小栗判官も照手姫も凛としたキャラクターとして描かれていて好感が持てる。特に、表紙にもなっている照手姫のたくましい姿は、芝居では残念ながら表現できなかったカッコよさがある。
近藤ようこの歴史物は、たとえば木原敏江のそれと違って、描線が丸く、かるたや絵巻物のような遠近法で描かれているのが特徴。一枚画的な魅力は薄いけど、グロテスクになりそうな部分も寓話的に読めて違和感がない。
また、小栗伝説で外せないのは、中上健次の小説でお馴染みの熊野だけど、死と再生、卑俗というテーマはここでは深入りしないことにしておく。
今月の国立劇場の芝居「小栗判官」はなかなかよかったし、芝居の感想はまた別の機会に書きますが、芝居を観た人も観なかった人にも、お薦めできる作品だと思いますよ、このマンガは。
<参考>・田中優子による小栗判官の紹介。
芝居の中の義経や小栗判官がつまらないのは、貴公子という要素が強すぎるからなんだけど、本来の小栗判官はヤマトタケルのようなトリックスター的なキャラクターで、イメージで言うと安倍晴明なんかに近い存在なんだと思う。(例えば、72回もの結婚&離婚や大蛇と契ったりなど。)
近藤ようこのこのマンガでは、小栗判官も照手姫も凛としたキャラクターとして描かれていて好感が持てる。特に、表紙にもなっている照手姫のたくましい姿は、芝居では残念ながら表現できなかったカッコよさがある。
近藤ようこの歴史物は、たとえば木原敏江のそれと違って、描線が丸く、かるたや絵巻物のような遠近法で描かれているのが特徴。一枚画的な魅力は薄いけど、グロテスクになりそうな部分も寓話的に読めて違和感がない。
また、小栗伝説で外せないのは、中上健次の小説でお馴染みの熊野だけど、死と再生、卑俗というテーマはここでは深入りしないことにしておく。
今月の国立劇場の芝居「小栗判官」はなかなかよかったし、芝居の感想はまた別の機会に書きますが、芝居を観た人も観なかった人にも、お薦めできる作品だと思いますよ、このマンガは。
<参考>・田中優子による小栗判官の紹介。
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