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〇脳天にはいつまでも筒抜けの蒼穹がある。透次第9句集「蒼穹」。句集名は「九月の蟬よ蒼穹を謳歌せよ」より。その他、「雪合戦にも各々の戦後あり」「逝く春や音ひとつ欠くオルゴール」など。帯文:湯治に行きたい透次。空振出帆社(20190618感光)。
〇透次第9句集『蒼穹』50句
401蚊遣香真直ぐのぼりのち乱る(蚊遣香・三夏)2018/7/14
402夏の大三角織女星(ベガ)を頂点に(夏の大三角・晩夏)2018/7/21
403紙芝居終の一枚夕焼けて(夕焼・晩夏)2018/7/26
404定期入れ改札機に叩き付けて炎天へ(炎天・晩夏)2018/7/26
405夕かなかな廃銀山の墓道に(かなかな・初秋)2018/8/11
406石渡にフラスコ滾る敗戦忌(敗戦忌・初秋)2018/8/15
407黒板の僅かに反りて夜学校(夜学校・三秋)2018/8/25
408九月の蟬よ蒼穹を謳歌せよ(九月の蟬・初秋)2018/9/1
409唐辛子買ふ陸奥の道の駅(唐辛子・三秋)2018/9/8
410秋場所の土俵の縁を降りる罅(秋場所・仲秋)2018/9/15
411大山はおほやまと咏む雨の月(雨の月・仲秋)2018/9/22
412御堂筋欧陽菲菲子糠雨(無季)2018/9/29
413線香に混じり易くて木犀香(木犀・晩秋)2018/10/6
414秋霖や机上に医薬部外品(秋霖・三秋)2018/10/13
415深秋の何処にかけてもつながりぬ(深秋・晩秋)2018/10/20
416藁の字のやうな藁塚ばかりなり(藁塚・晩秋)2018/10/27
417冬隣側臥の膝を曲げそろへ(冬隣・晩秋)2018/11/3
418トルソーの胸板に射す寒茜(寒茜・三冬)2018/11/10
419罫線をはみ出す文字や小六月(小六月・初冬)2018/11/17
420鼓膜より配線垂らし着膨れて(着膨れ・三冬)2018/11/24
421十二月捌けぬレジに並びをる(十二月・仲冬)2018/12/1
422枯草を噴き上げてゐる通気口(枯草・三冬)2018/12/7
423私をスキーをした頃へ連れてつて(スキー・三冬)2018/12/15
424短きは冬空色のクレヨンか(冬空・三冬)2018/12/22
425カリヨンの余韻を冷ます聖夜かな(聖夜・仲冬)2018/12/24
426考妣の重さは同じ初雨降(初雨降・新年)2019/1/2
427身の内の深き昭和や竹スキー(竹スキー・晩冬)2019/1/12
428水仙へ白秋碑前下車五分(水仙・晩冬)2019/1/19
429雪来れば百葉箱の小家めく(雪・晩冬)2019/1/26
430雪合戦にも各々の戦後あり(雪合戦・晩冬)2019/2/1
431本堂に入りてもしばし春嵐(春嵐・三春)2019/2/9
432石鹸玉密に生まれて疎に漂ふ(石鹸玉・三春)2019/2/9
433遠蛙厨と厠読み違ふ(遠蛙・三春)2019/2/23
434捨土のいま草萌の山となる(草萌・初春)2019/3/3
435黄沙降るおほかた空の観覧車(黄沙降る・三春)2019/3/9
436春雨の湿りを十字縛りにす(春雨・三春)2019/3/16
437春分の日に分別を考へる(春分の日・仲春)2019/3/21
438春雨の髪手櫛して盛り場へ(春雨・三春)2019/3/30
439流木のかぎろひ燃ゆる旧市街(かぎろひ・三春)2019/4/6
440ガリバーは杉を杉菜と思ふだらう(杉菜・晩春)2019/4/13
441闊歩せよ種蒔く人の構へして(種蒔く・晩春)2019/4/20
442黄水仙黄泉比良坂緩やかに(黄水仙・仲春)2019/4/25
443逝く春や音ひとつ欠くオルゴール(逝く春・晩春)2019/4/30
444チューリップの花瓣に雨の溜まらざる(チューリップ・晩春)2019/5/5
445御守の繭弄ぶ掌(繭・初夏)2019/5/18
446海月透く水族館の最深部(海月・三夏)2019/5/25
447卯の花腐し海淵の匂ひせり(卯の花腐し・初夏)2019/6/1
448豆皿に醤油の乾く祭の夜(祭・三夏)2019/6/7
449銘違ふ麦酒二罐だしてくる(麦酒・三夏)2019/6/15
450ビリヤードクロスの碧き梅雨湿り(梅雨湿り・仲夏)2019/6/18
(透次第9句集『蒼穹』50句)
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