→第1句集「眼光」50句 →第2句集「潟風」50句 →第3句集「起伏」50句 →第4句集「雷光」50句 →第5句集「残光」50句 →第6句集「剥離」50句 →第7句集「接岸」50句 →第8句集「浮游」50句 →第9句集「蒼穹」50句 →第10句集「道界」50句 →第11句集「半夜」50句 →第12句集「虚空」50句 →第13句集「暁闇」50句 →第14句集「月命」50句 →第15句集「遠景」50句
〇浮遊とはほんの一つの支点を探し続けることである。透次第8句集「浮遊」。句集名は「垂下がるとも浮遊とも吊し雛」より。その他、「硬券に入鋏のM冬の果」「十薬の群れて太古の日暮なり」など。帯文:陶磁化寸前の透次。虚影出帆社(20180707感光)。
〇透次第8句集「浮游」50句
351返り梅雨十円切手貼り足しぬ(返り梅雨・夏)2017/7/1
352電池舐めて遠雷ほどの痺れあり(遠雷・夏)2017/7/8
353蠅帳を被せしままに日暮れたり(蠅帳・夏)2017/7/15
354十二円貼り足す切手梅雨の明(梅雨明・夏)2017/7/22
355蠅取紙螺旋に戻るちから亡し(蠅取紙・夏)2017/7/29
356カレーうどんの汁白シャツへ跳ねたがる(白シャツ・夏)2017/8/2
357晩夏光歩廊短き無人駅(晩夏光)2017/8/7
358門火無キ団地ナレドモ迷ハズニ(門火・秋)2017/8/13
359畦畔に横並びして花火待つ(花火・秋)2017/8/26
360途中まで切り途中から割る西瓜(西瓜・秋)2017/8/31
361惨劇の未だ始まらぬ柘榴の実(柘榴の実・仲秋)2017/9/9
362くれなゐを夜陰に点す唐辛子(唐辛子・三秋)2017/9/14
363コスモスの軽々と地に繋がれて(コスモス・仲秋)2017/9/23
364秋茄子を油まみれに焼きにけり(秋茄子・仲秋)2017/9/30
365新藁にたましひ軽くして潜む(新藁・晩秋)2017/10/7
366秋雨の高架下にて受け渡す(秋雨・三秋)2017/10/14
367エキストラより戻り来て秋燈下(秋燈・三秋)2017/10/21
368漂着の軽さを拾ふ秋の浜(秋の浜・三秋)2017/10/28
369半回転廻す施錠や十三夜(十三夜・晩秋)2017/11/1
370立冬のビー玉影をながく曳く(立冬・初冬)2017/11/7
371冬雲や自動階段地に呑まれ(冬雲・三冬)2017/11/18
372冬の虹CDROMの片面に(冬の虹・三冬)2017/11/23
373切先の三又蒼き葱選ぶ(葱・三冬)2017/12/2
374生牡蠣の亜鉛含有率啜る(牡蠣・三冬)2017/12/9
375襤褸市や襤褸の如き襤褸着て(襤褸市・仲冬)2017/12/16
376冬籠BCGの痕撫ぜて(冬籠・三冬)2017/12/18
377ポインセチアどこから見ても紙細工(ポインセチア・仲冬)2017/12/24
378硬券に入鋏のM冬の果(冬の果・晩冬)2018/2/3
379團欒の中の初戀春炬燵(春炬燵・三春)2018/2/10
380直角に折れる駅道白椿(白椿・三春)2018/2/15
381春の雪屋根の片側重く積む(春の雪・三春)2018/2/24
382垂下がるとも浮游とも吊し雛(吊し雛・仲春)2018/3/3
383行先のくるくる巻かれ春のバス(春・三春)2018/3/10
384嘴細を春の疾風に向けにけり(春疾風・三春)2018/3/17
385リモコンに青赤緑黄砂降る(黄砂・三春)2018/3/24
386連翹や大日輪の黄を集め(連翹・仲春)2018/3/31
387さくら東風五色幔幕膨らます(さくら東風・三春)2018/4/1
388心より心へ積る桜蕊(桜蕊・晩春)2018/4/14
389朧より移動電話の声突如(朧・三春)2018/4/21
390雨晴海岸沖のあめふらし(あめふらし・三春)2018/4/28
391幟旗はためくほどに戦めく(幟・初夏)2018/5/5
392まじまじと飯の粒見る五月かな(五月・初夏)2018/5/12
393雲の峰書物に閉ぢる力あり(雲の峰・三夏)2018/5/19
394いつも遠き風力風車日雷(日雷・三夏)2018/5/26
395十薬の群れて太古の日暮なり(十薬・仲夏)2018/6/2
396紫陽花の房を掠めて分け入りぬ(紫陽花・仲夏)2018/6/9
397峡の田に風が片寄すあをみどろ(あをみどろ・三夏)2018/6/16
398竜頭巻く音の確かさ青山河(青山河・三夏)2018/6/19
399夕立の寸前に立つ埃の香(夕立・三夏)2018/6/30
400凌霄を左に折れて道なりに(凌霄・晩夏)2018/7/7
(透次第8句集「浮游」50句)
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