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〇そろそろ流れ着いた岸から上陸したい。透次第7句集「接岸」。句集名は「接岸し巨船は春と地続きに」より。その他、「花の雨ラジオを細く点けておく」「涅槃雪夕刊薄く届きけり」など。回収不能の幻視界へさらなる透次50句が発信された。帯文:杜氏になりたかった透次。幻視出帆社(20170624感光)。
〇透次第7句集「接岸」50句
301白シャツの胸に「Peace」といふ煙草(白シャツ・夏)2016/7/16
302空は空つぽ空罐も空蟬も(空蟬・夏)2016/7/23
303風孕む白シャツ海へ行きたがる(白シャツ・夏)2016/7/30
304影ひとつ増やして青野より帰る(青野・夏)2016/8/6
305盆の雨匂袋に幽かな香(盆・秋)2016/8/13
306空襲とは地を襲ふこと茄子の馬(茄子の馬・秋)2016/8/14
307団地より団地を見るや稲光(稲光・秋)2016/8/27
308新涼の碧き畳に遺る聲(新涼・秋)2016/8/29
309畑昏れて戰のあとのごとくなり(無季)2016/9/10
310龍田姫からりとけふは竜田揚(龍田姫・秋)2016/9/17
311平日も休日めきて吾亦紅(吾亦紅・秋)2016/9/24
312匍匐前進葡萄棚下集合!(葡萄棚・秋)2016/10/1
313畦道や案外子らは案山子好き(案山子・秋)2016/10/8
314木製の木星欲しや木犀香(木犀香・秋)2016/10/15
315銀杏の潰されてゐるひとところ(銀杏・秋)2016/10/22
316ピグモンもガラモンもゐる紅葉山(銀杏・秋)2016/10/29
317冷まじや教諭と教諭すれ違ふ(冷まじ・秋)2016/11/5
318こがらしを追ふ大勢のえきすとら(こがらし・冬)2016/11/12
319嵌殺す窓に洩れ来る冬ともし(冬ともし)2016/11/17
320海風に幟はためく博多場所(博多場所・冬)2016/11/26
321アパートへ右折の標実南天(実南天・冬)2016/12/3
322黒塗りのピアノに映る雪女(雪女・冬)2016/12/10
323繪圖面の抽斗の冷え極まれり(冷え・冬)2016/12/13
324東京タワー赤備へして寒波待つ(寒波・冬)2016/12/23
325歳晩の書物の重さ慥かなり(歳晩・冬)2016/12/30
326人日や堰切つて人流れ出す(人日・新年)2017/1/7
327乾杯の瞳を探すボガート忌(ボガート忌・冬)2017/1/14
328綾取や雁字搦めの糸梯子(綾取・冬)2017/1/21
329遺跡へとちかづく廃墟寒月光(寒月光・冬)2017/1/28
330接岸し巨船は春と地続きに(春)2017/2/4
331仁丹の香と乗り合はす建国日(建国日・春)2017/2/11
332春仄か冥王星も冥界も(春仄か)2017/2/18
333涅槃雪夕刊薄く届きけり(涅槃雪・春)2017/2/25
334日に温きパイプ椅子より折り畳む(温し・春)2017/3/4
335春泥にゲソ痕乾ききつてゐる(春泥)2017/3/8
336春靴で緑の窓口に並ぶ(春靴)2017/3/15
337夕刻の翳あをあをと白木蓮(白木蓮・春)2017/3/25
338地球儀を置き忘れたる花の窓(花・春)2017/4/1
339西棟の窓悉く花の窓(花・春)2017/4/8
340花の雨ラジオを細く点けておく(花の雨・春)2017/4/15
341花の塵掬へるほどに堆く(花の塵・春)2017/4/22
342四阿の屋根を目指して桜蘂(桜蘂・春)2017/4/29
343冷蔵庫唸りを変へて五月来る(五月・夏)2017/5/1
344噴水の傍の噴水蛇口かな(噴水・夏)2017/5/13
345吊革に革を探してゐる薄暑(薄暑・夏)2017/5/20
346薄暮来て赤銅色の麦酒瓶(麦酒・夏)2017/5/27
347しばし蚊遣の残香に立て籠もる(蚊遣・夏)2017/6/3
348夏空を焼きつけて着く無蓋貨車(夏空)2017/6/10
349青嵐一揆の群を傾かす(青嵐・夏)2017/6/17
350裏返る水中貯木梅雨の果(梅雨の果・夏)2017/6/24
(透次第7句集「接岸」50句)
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