ミャンマー国軍、孤立鮮明=クーデターから1週間
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/jiji/world/jiji-210207X416
この週末、「激変のミャンマーを読み解く」という本を読みました。
第二次世界大戦の後から民主政権に移行したところまでを
元駐ミャンマー大使の宮本 雄二さんが解説した本です。
ミャンマーは少数民族と多数派のビルマ族で構成されています。
イギリスの植民地になる前は王朝がありました。
イギリスから独立した後、少しの間は民主政権でした。
でも、少数民族が当時はビルマという国ですが、
この国の国民になることに反発しており、
民主政権では国という形にまとめられない状況だったようです。
で、仕方がなく軍に政権を委託。
力と交渉でとりあえず中央政権に従うようにしましたが、
民主政権に戻ったらやっぱりダメ。
このまま国が崩壊してしまうのを黙って見過ごすわけにいかないということで
軍がクーデターを起こし、長い間の軍事政権となりました。
時の経過と共に国際情勢が変わってきて、
西側が民主化を要求してきました。
軍としては無視したいところですが、ASEANとの関係もあり、民主化を約束。
で、2010年に選挙をして、スー・チーさんを解放。
軍は2010年の選挙の前に憲法を改正しました。
大統領は軍の出身でなければならないとか、
なにかのときは軍が主導権握るみたいなことが書かれており、
民主政権に移行したとは言え、軍に権限が残されている状況でした。
2012年に書かれた本ですが、
宮本さんはスー・チーさんがこの憲法改正に着手するはずで、
それが再びクーデターにつながるおそれがあることを指摘しています。
昨年秋の選挙でスー・チーさんの政党が圧倒的な勝利だったので、
今回、軍が焦ってクーデターを起こしたという見方が強いので、
宮本さんの懸念が当たってしまったようです。
中国が糸を引いているという見方もありますが、
vorinはおそらく権力を手放したくない軍部の暴走だと思います。
今のミャンマーに軍事政権は必要ないと思いますが、
この本を読んで思ったことは、
国が国としてまとまっていないときは
結局のところ力で抑え込む必要があり、
独裁政権や軍事政権が必要なときがあるんだなということです。
世界中が王様や領主や部族長が大なり小なりの地域を治めていて、
そこから「国」になるとき、
話し合いだけで血を流さずに国が成立したという国があるのでしょうか?
日本の場合、明治維新になりますが、
西郷隆盛が反発して西南戦争が起きているわけで、
彼らの主張がどうであれ政府軍が勝って今の日本が出来上がっております。
民主主義で話し合いで解決しようとしたら時間がかかってしまい、
その間に外国にいいように入ってこられる可能性があるわけです。
正しいやり方は、国民に政府の言い分、西郷隆盛の言い分、
どちらがいいか投票で聞くというやり方になるのでしょうけど、
そんな悠長なことをやっている時代ではありませんでした。
今のミャンマーは民主政権を育てているところで、
軍事政権に戻す必要は一切ないと思いますが、
たとえばアフガニスタンのような内部から国になっていない国は、
部族をまとめる上で強い力が必要かもしれません。
今の日本に生きているから、
つい自由が制限されている国を可哀想だと思ってしまいますが、
中国なんかはおそらく一党独裁体制が壊れたら
昔のようにバラバラの国になってしまうと思います。
多少の自由が制限されても国内が平和で経済が豊かで暮らしが楽になれば、
そこに住んでいる人たちは政権を支持するのではないでしょうか。
ただ何度も繰り返しますが、
今のミャンマーには軍事政権は必要ないと思いますけどね。