中国福建省の各地には土楼が点在しており、それら一つにまとめて「福建土楼」として世界遺産に登録されている。
現在では3ヶ所だけ観光が許可されているので、そのうちの華安土楼に行ってみた。
福建土楼(ふっけんどろう)とは、漢民族の一派である客家(はっか)の人々が集まって住んでいる集合体の家で、客家土楼(はっかどろう)とも呼ばれている。
通常は大きな円形ドームのような建物になっていて、外部の人は立ち入り禁止、3階から5階建てが多く、厚い土壁で囲まれており、かつては100家族くらいが一緒に生活していた。
華安には3つの土楼があり、それぞれ世界最大の土楼の「二宜楼」、博物館として利用している「南陽楼」、そして方形土楼の「東陽楼」となっている。
見学したのは「二宜楼」で入る前に外側から見てその大きさに驚いた。
「二宜楼」は約200年前に建てられたらしいが、保存状態は良かった。
現在でも60家族くらいが住んでいるらしい。
近くから見た「二宜楼」
外敵などから守るため、入り口は1つしかなく、その入口も、鉄扉で頑丈に補強されていた。
「二宜楼」鉄扉の入り口
3階から見た内部の様子
内部には土産物屋などもあった。
「二宜楼」は4階建てで、4階には通路があって、各家を繋いでいた。
内部には12の入り口があり、それぞれ違った彫刻が施されていた。
夜は暗いので自分の家を間違えないようにその彫刻を触って自分の入り口を確認するのだと説明があった。
入り口の一つにあった彫刻
たくさんある家のいくつかを見学できるようになっていた。
ここの土楼の特徴は内装の彫刻が素晴らしいこと。
それが200年経っても色あせていないことに驚いた。
室内だからかとも思うが、とにかくさまざまな場所に彫刻されていることに感心した。
中庭には井戸があるのが基本で、外敵との戦いが長期戦になっても大丈夫ということらしい。
井戸
どうしてこのような構造の家を造ったのかというと、かつて戦禍を逃れてこの地に突然現われた漢民族の一派がいた。
おもしろくないのは原住民たちで、彼らのことを客家(よそ者)と呼び、追い出そうとして何度となく争った。
そのため客家たちはこのように要塞のような家を造ったらしい。
方形土楼の「東陽楼」