永平寺は福井県にある曹洞宗のお寺で、横浜にある総持寺と共に曹洞宗の二大総本山になっている。
毎年、年越し時、除夜の鐘のTV映像でおなじみの場所なのだが、元々は修行僧たちの道場で、多くの修行僧が暮らしているお寺でもある。
山門までは門前町として土産物屋が並び、賑やかだったが、一歩山門をくぐると荘厳な雰囲気になり、気持ちが引き締まるようだった。
鬱蒼とした大木や地面に覆い被さっている苔などが歴史を感じさせられた。
お寺の中は参拝経路が決まっていて、順路に沿って参拝するようになっていた。
とても広いお寺なので、順路が決まっている方が効率よく回れるので良かったと思う。
参拝者入り口から最初の建物の「吉祥閣(きちじょうかく)」へ、ここは鉄筋の5階建てになっていて座禅や写経体験をするための研修道場のようだった。
ここで「雲水」と呼ばれる修行僧から説明があった。
左側通行、建物外には出てはいけない、物に触らない、修行僧たちにカメラを向けない、フラッシュ禁止等々。
[案内図]
建物の並びは坐禅を組んだ人の形にも例えられ、法堂は頭、仏殿は心臓などとも言われているらしい。
敷地内には数多くのお堂などがあるが、案内図の白枠の部分がその中の「七堂伽藍(しちどうがらん)」と呼ばれる建物で、それらが回廊で結ばれている。
この回廊を「雲水」たちが毎朝きれいに磨きあげているということで、さすがにピカピカだった。
[階段状になっている回廊]
見事だったのが「傘松閣(さんしょうかく)」、別名「絵天井の間」と呼ばれ、2階は156畳敷きの大広間になっていて、その天井には230枚の日本画が埋め込まれていた。
この絵は昭和初期の有名な画家144人によるものだとか。
ほとんどが日本画の花鳥風月が描かれていた。
この144枚の中に鯉2枚、唐獅子2枚、栗鼠(りす)1枚の計5枚の絵が隠されているらしいのだが、上を見上げるだけで精一杯、時間もなくて見つけることができなかった。
七堂伽藍を巡っている間には読経が響き渡っていた。
伽藍の中心、心臓部に位置する仏殿は、別名「覚皇宝殿(かくおうほうでん)」となっていて、三世如来(過去=阿弥陀仏・現在=釈迦仏・未来=弥勒仏)を祀っているらしい。
一通り回ってみて、建物の素晴らしさももちろんのこと、内部がきれいに磨かれていたことに驚いた。
自分たちは気軽な見物客として訪れた場所だが、「修行」という立場の人たちには厳しい場所なのだろうと思った。
特に真冬は尚更だと思う。