ここ数年、「大人の休日倶楽部パス」を使った旅行を年に数回している。
このパスはJR東日本の電車ならば連続した4日間が乗り放題となる。
プランニング時点からがもう旅行気分となり、行き先を決め、どのように回るか、泊まるのはどこにするかなど、考えるだけでも楽しくなってくる。
そうして何度も行っている内に東日本圏内の観光地のほとんどはもう既に回ってしまった。
だから最近では温泉に直行してしまうことが多くなったのだが、それでは面白くないので、そこに「乗り鉄」も加え、東日本の鉄道をすべて制覇することを旅の目的とするようにもなった。
ある年の冬、津軽鉄道と秋田内陸縦貫鉄道を入れてスケジュールを組んでみた。
津軽鉄道は、津軽五所川原駅と津軽中里駅間の20kmほどを結んでいる。
その間には12の駅があり、「金木駅」以外は無人駅になっているほど過疎地の列車だが、冬の間はストーブ列車を運行しているので、その期間だけは人気の路線になっている。
JR五所川原駅に隣接した津軽鉄道の始発駅「津軽五所川原駅」から乗車した。
ストーブが置かれた専用車両に乗るには乗車料金の他に追加料金が必要となった。
4両ほどの列車の中に1両だけストーブが置かれた車両があり、すべて自由席になっていた。
ストーブ列車に乗った時の記事は以前に書いた。 → ストーブ列車
終点の「津軽中里」駅で降り、戻りの列車までの数時間を「斜陽館」に行ってみることにした。
斜陽館までは15分ほど歩いた。
ここは太宰治の生家であり、明治時代の彼の父である津島源右衛門が建てた家だった。
その後津島家が手放し、「斜陽館」の名で旅館として有名になった。
現在は旧金木町(現在は五所川原市)が買い取り、太宰治記念館「斜陽館」となっている。
[斜陽館]
その昔、太宰治の本を読んだときから一度は行ってみたいと思っていた場所だった。
「風情もない、ただの大きな家」太宰治がそういう表現をした家。
ところが実際にはとんでもなく大きい、風情たっぷりの家というか邸宅だった。
当時、どれだけお金持ちだったのだろうか? などと俗なことを考えてしまった。
津軽中里駅まで戻り、五所川原に帰るときはもう夕方になっていた。
ずっと雪原の中を走り続け、地平線に沈む太陽は「だるま太陽」になっていた。
この日は五所川原の「サンルート五所川原」に泊まった。
「五所川原立佞武多ねぷた祭り」の時は「ねぷた」がこのホテルの前の通りを練り歩くらしい。
ホテルに居ながらお祭りを見ることができると聞いた。
でも、毎年その時期の部屋は大手の旅行会社に押さえられてしまうので、個人では予約は無理だとのことだった。
翌日は五能線から秋田内陸縦貫鉄道に行く予定を立てていた。