もう何年前のことだか忘れたが、ある雑誌で写真家の秋山庄太郎氏の写真を見た。
それは、山全体が白とピンクと赤く染まった福島県の「花見山」の春の写真だった。
秋山氏は「福島に桃源郷あり」と毎年「花見山」を訪れていたらしい。
「花見山」は元々は花の栽培農家の方の個人所有の山だった。
そこにずっと花を植え続けたので、山一面が花で覆われるようになり、今では「花見山公園」として好意で観光客に開放されているということだった。
写真を見てから何年か続けて行ってみた。
その頃はまだのどかな風景で、車は畑の脇に止めたりもできた。
ところが5年ほど前、久しぶりに行ったら全く変わっていた。
河川敷のような場所に大きな専用駐車場があり、そこからシャトルバスが出ていた。
観光バスなども多く、数年の間にそれほど有名になって大勢の人が押し寄せる場所になったようだ。
公園内にはいくつかハイキングコースが設定されいて、体力に応じたコースを選ぶことができ、少し登っただけで花の向こうに吾妻連峰や安達太良連峰の絶景が見られる。
花の種類はウメ、サクラ、ハナモモ、モクレンなど約60種類以上もあり、ハイキングコースは正に花のトンネルとなる。
福島市から少し西に行くと蔵とラーメンで有名な喜多方市がある。
喜多方駅からほど近い場所にも桜の名所がある。
かつては喜多方駅から熱塩加納村(現在の喜多方市)の熱塩駅を結んでいた日中線があった。
昭和59年に廃線となってしまったが、線路跡を利用した遊歩道には3kmにわたって約1,000本のしだれ桜が植えられていて、それが見事な桜並木となっている。
遊歩道の途中には当時運行していたSLが展示されていて、シダレザクラの華やかさに郷愁を添えている。