皆様こんにちわ。
先日は、当院総合診療科のI教授が放課後に医学生にボランティでイチロー2という心音聴診の体得ができるマシンを使って教えているのを拝見して、大変感銘を受けました。
今までは、実際の患者さんで所見がある人を、指導医から研修医と受け継がれるベッドサイド教育でのみ継承されてきた心音の聴診です。
そういう【秘技伝承的】なチャンスが乏しいと、心臓の聴診をしないままに、否、聴診すらしないように医師として成長してしまう可能性も秘めております。継続性が乏しく、指導する側に大きく依存する。それがベッドサイド教育の弱点でもあります。しかし、このイチロー2を使えば、ほぼ循環器フィジカルの所見は網羅し、並びに頸静脈波形まで出るのでクォリティーとリアリティが高く、医学生でも必ず、Ⅲ、Ⅳ音を理解して聴取できる様になると思います。
私もやや混乱していた内容をスッキリと説明されており、I教授のこういう講義を放課後にマンツーマンで聞けて、心音聴診を医学生の時代にマスターしていればさぞかし研修医時代は楽しかっただろなぁと思います。
私の今の夢の一つは、自分に関わる医学生・研修医の皆様のフィジカル力を挙げて、実際の診察を楽しんでもらうこと。勿論、何事もわかれば楽しいからこそ、分かる必要があると思います。是非是非皆さま足を運んで頂きたいと思います。
折角なので、心音聴診で自分が苦労した点やポイント的な事を転載しておきます。
医学生・研修医の為の心音の聴き方のミソ Dr Tari Ver1.0 以降:時間がある時に更新して行きます・
1 僕らは500-3000HZが聴きやすい。特に低い音は聞こえにくく(だからⅢ、Ⅳ音の聴診は難しく感じる、しかもベルを使わないと無理、膜だけの聴診では不可能)、Ⅳ音は50-60HZであるためにもはや訓練しないと聞こえません。英語の発音と一緒で自分が心音を真似ることが出来るようになれば、認識できるようになり耳に入ってくるのではないかと感じています。
2 ベル型➠低音成分の聴診に使い、膜型➠高音成分の聴診に。なので膜型は、胸部に圧痕がつくぐらい結構強めに密着。ベル型は隙間ができない程度に【ソフト】に押し当てます、ベル型のイメージ的には小鳥を聴診する感じで。これができないと3音、4音は聞き取れません➠ココを医学生・研修医の間に練習しましょう。
3 心音はⅠ、Ⅱ音と過剰心音Ⅲ、Ⅳ、クリック音程度しかありません。ごちゃごちゃ考えず、そして恐れずに。
4 Ⅰ音はM弁(+T弁)、Ⅱ音はA弁(+P弁)の音とざっくりと理解しましょう。つまり、心音聴診はⅠ音とⅡ音に始まり、Ⅰ音・Ⅱ音に終わります。
5 Ⅰ音は心尖部で、Ⅱ音は心基部2LSB,2RSBで聴きやすく音も大きい。この部位における音の違いを体に染み込ませる。Ⅰ・Ⅱ音の区別がつきにくい場合(脈が早い場合が多い)のポイントは脈を触知しながら!脈は必ずⅠ音と同時か、Ⅰ➠Ⅱ音の間に触れるはずです。
6 Ⅲ音とⅣ音を聞き分けられるようになる。勿論ココでも基本はⅠ音とⅡ音の関係が重要で、心尖部で丁寧にベルで評価すること。Ⅱ音前後の関係をみる➠オッカサンとオトッツァンですね、これは有名なので割愛。下記の図参照。
7 Ⅱ音の分裂とⅢ音の鑑別で迷った場合、自信を持って見抜く方法:Ⅲ音の場所は心尖部のみで聴取する為に他部位で聞こえたらⅡ音の分裂の可能性が高い, タイミングはⅡ音の後にある、ベルのみで聴取するすればⅢ音である。Ⅳ音も同様に心尖部、ベルを用いる。もっと確実にⅢ、Ⅳ音を聞きわけるには①左側臥位、②下肢挙上、③呼吸変動を利用する。
8 心雑音はざっくり理解すれば良いのです。Ⅰ音とⅡ音の間は収縮期、並びにⅡ音とⅠ音の間は拡張期でした。
次の2✕2テーブルで理解できます。クリアカットに①場所、②時期:収縮期、拡張期でざっくり鑑別します。
つまりは、雑音の最強点の場所とⅠ、Ⅱの同定を行った上で、収縮期、拡張期どちらにあるのかを判断するのみ。
9 心雑音の大きさを記載出来るようにする:つまりは外国語と一緒で他人とコミニュケーション取れるようにする。
ポイントは、Ⅳ以上はスリルがある事がハッキリとした境界となっています。なので触診が重要なのですね!
【Levine 分類(レバイン分類)】
Ⅰ:非常に弱い→微弱な雑音で、注意深い聴音でのみ聴取可能
Ⅱ:弱い→聴診器を当てれば即座に聴取可能
Ⅲ:普通→中等度の雑音で、明瞭に聴取可能。振戦は伴わない。
-----------------Thrillの壁と呼ぶことにする------------------------------------
Ⅳ:強い→耳に近く聞こえる強い雑音。振戦(thrill)を伴う。
Ⅴ:非常に強い→聴診器を胸壁から離すと聞こえないが、聴診器で聴く最も強い雑音。振戦(thrill)あり
Ⅵ:聴診器なしで聴取可→聴診器を胸壁に近づけるだけで聞こえる(胸にくっつけなくても聞こえる)。振戦(thrill)あり