第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

診断エラー学 はじめに

2018-08-16 12:04:38 | 診断エラー学

 

みなさまこんにちわ。

ようやく、ようやくTema assignment が終わりました・・・。これでようやく自分の仕事と課題にガスガス取りかかれます。

研究といえば、いい感じにデータ集めも解析もうまくいってきたので、日本発のエビデンスとして早めにPublishを考えています。

診断エラー学の大きな教科書の進行もうまくいってでいますのでこちらにもぼちぼちまとめを乗せていくことにします。

 

診断エラーといえば、そうそう最近業者の方や出版社の方から連絡をいただく事が多くなってきておりDual process modelはもはや周囲の人もかなり有名ですね。

一番最初に参加した国際学会はなんと!Diagnostic error in medicineでした。まだ若かったです。その新しい分野の学びに参加して大変感銘を受けたのを昨日の事のように覚えています。確かJhon Hopkins大学であったと思います。徳田先生はひどい下痢で参加できず、急遽取りやめられてすごーく不安な旅程でしたが、一人であったからこそ学会の全てのメイン演題を全部聞いてメモってやろうと、慣れない英語で一生懸命勉強していたのを覚えています。

以降、毎年参加してますが、日本が進むべき道はこっちだなぁと自分の直感では思っております。

 

 

 

2回目のDiagnositc error in medicineの参加の時はまだ研修医で、太郎先生や徳田先生(当時は緊張して話せなかった・・)とシカゴでオーラルのメインカンファレンスで直前ミーティングをしていました。あの時の緊張は後にも先にも人生で一番でした。一ヶ月前から緊張して、前日はほとんどねれなかったです。。

 

(Diagnostic error in medicine 2013年?シカゴ 今やメールで連絡を取り合うKaren Cosby先生からの紹介)

 またこの話は今度するとして・・・

 

 

せっかく1年前に島根マガジン(マニアな雑誌です)に書いていた原稿があったので、転載しておきます。

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島根に来て早くも9ヶ月が過ぎました。自分の好きな領域は身体所見と診断学(誤診学)なので、今回はこれをお読みの全ての皆様に役立つであろう?診断学についてお話してみます。診断ってなんだろう?実はつい最近までは全く研究対象にされておらず、まるで経験の積んだ医師のみが持つまるでマジックのような芸術品として考えられていました。2006年頃から北米を中心に医師が下す診断というものはどのような過程を経ているかについて認知心理学との融合が進み少しずつ解明されてきています。皆様は目の前から石原さとみの顔をした超絶美人が歩いてきたら気づきますね(個人的趣味でゴメンナサイ)、では何故石原さとみであると認識したかと説明できますでしょうか?眉毛?口?目?数値化できますか?このように、情報を融合して潜在意識下で瞬間的に診断している状態を直観的診断(System1)といいます。一方で、例えば生年月日や出生地や身長だったり、色々な複雑な情報を整理して診断を絞ったり、除外したりしている状態を分析的診断(Sytem2)といいます。ボク個人は極めて直観的(System1)診断を好みますが、理由はとても安く、短時間で、効率的に判断できることが多いからです。特定の領域に限局したエキスパートが得意とする能力ですが、それっぽい顔をした別の疾患であった場合には簡単に誤る諸刃の剣でもあります。一方で分析的診断は主に医学生・研修医・専門領域以外の医師が頻用している手法で、一つ一つの情報を調べて鑑別診断を挙げては丁寧に除外していく作業です。直観的診断に比べて、分析的診断は誤りがとても少ないのですが、非常に時間がかかること、不要な検査を行い金銭的負担がかかってしまう事などの大きな欠点があります。昔はERなどでモタモタしている研修医にハラハラしながら不安に観察していましたが、実は分析的診断を頻用するビギナーの方が診断学の観点からは安全な事が多い事がわかっており最近は安心して任せています。どちらが良いとは一概に言えない直観的診断と分析的診断をうまくどちらも使用しながら進めていく事が診断の過程ではとても大事であり、これは診断のデュアルプロセスモデルと呼ばれています。