ようやく道内に生息するクロイトトンボ属の幼虫をコンプリート。採集して頂きましたY氏に感謝です。クロイト属はどれも類似しており見極めが困難ですが、ある程度のポイントを抑えてしまえば同定可能となります。本種は尾鰓がやや短く、気管分枝が多く現れる傾向が強いようです。3つの褐色斑紋については個体差があるので、注意が必要です。
本種も近年、道内のあちこちで毎年確認されるようになったトンボで、大陸飛来種です。典型的なアカネ幼虫ですが側棘がほとんど目立たず、背棘が無いので同定はし易いと感じました。温暖な気候を好む種なので、道内ではまず定着できないトンボと考えます。
数年前から目撃情報があり道内での定着が疑問視されてきたトンボですが、昨年道南で複数個体が採集されたことで道内初記録となったトンボです。そして今年の春、道トンボ研のY氏が幼虫を採集し定着が確実なものとなりました。この写真はその貴重な1頭をお借りして撮影したものです。地球温暖化が騒がれる昨今、クロスジギンヤンマやショウジョウトンボのように、本種の北上もあっという間なのでしょうか・・・・・
コサナエ属に多く見られる異常連結。♀を伴う3連結はよく見かけますが、♂同士による異常連結は今回初めて観察しました。連結された方はかなり迷惑そうでしたね。笑
交尾
産卵-1
産卵-2
交尾・産卵もあちこちで見られました。今年はカラカネトンボ、カオジロトンボよりも個体数が多いと感じましたが、時期的なものでしょうか。
♂に追いかけられて岸際に逃げ込んできた♀個体。産卵中の♀は♂の干渉をとても嫌うので、常に落ち着きがありません。♂に見つからぬよう、植物の隙間で隠れるようにして産卵します。
交尾飛翔(縦トリミング)
交尾解除(縦トリミング)
少ないですが、交尾・産卵も観察できました。ヨツボシトンボの交尾は数秒で終わってしまうので、撮影が難しいですね。
成熟♂。
縄張り飛翔中の♂
成熟したばかりの綺麗な個体が多く、全盛期を迎えるのはこれからといったところ。まだ産卵に訪れる♀が少なく、いまいち盛り上がりに欠けました。
湿地全景
縄張りを巡って争う♂達
地元の湿地に行ってきました。この場所は4段の棚田になっており、一番上にある溜池から雨などでオーバーフローした水が段々と下の休耕田に流れ込むようになっています。今時期はそこそこの水量ですが、真夏になるとほぼ水が無くなってしまいます。しかし、そんな不安定な環境でもシオヤトンボ、ヨツボシトンボが多く、カオジロトンボ、エゾイトトンボ、オゼイトトンボの姿も見られました。