The 理科ロマンスカー

人生を振り返りつつ見過ごしては禍根を残すであろう事柄に着目。
日本の正義・倫理・規範・疑惑等々婉曲的に発信。

②素朴概念を知る・・・自然現象に対して子どもなりの思いを抱いている

2015-03-25 08:50:04 | 日記

「草花を食べる虫なんて、いないよ。だって、僕が虫だったら、気持ち悪くて食べない」と考える3年生。「太陽は海に沈んで、月になって戻ってくる」。また、「月は日によって形が変わるので、それぞれ形が違う月が何個も存在している」と小学生の頃の見方。畳み掛けるように「月と太陽は同じもの。昼は太陽、夜になると月に変わる」と思い込んでいたと、小学生の頃の見方を語る学生。

 

他の自然現象を尋ねてみたところ、「霜は空から降ってくる。振り子の先の錘が重いほど、振り子の速さが速くなる。地層は誰かが描いた絵。足がしびれるのは、足に電流が流れるため」など見方や考え方を語る。

 

子ども達は、理科の対象である自然の事物や現象のなかで生活している。それらを見たり触れたりして、不思議に感じたり疑問に思ったりしたことを、子どもなりに意味づけした見方や考え方(「素朴概念」と呼ばれている)を構成していると推測できる。

 

授業構想にあたっては、自然の事物や現象に対する子どもの見方や考え方の情報を十分に集め、子どもの立場や目線に立って授業展開を検討することが、よりよい授業づくりの必要条件になる。

 

指導内容に関した「素朴概念」を調べておくことは、子どもの見方や考え方に寄り沿った展開がより可能となる。

 子どもの素朴概念を載せる。

3年生  《子どもの考え》           【その根拠や理由】

①「草花を食べる虫なんて、いないよ」→「僕が虫だったら、気持ち悪くて食べない」

②「毛虫は大きくなっても毛虫のままだよ」→「人間の子どもと同じで、大人の毛虫になる」

③「花壇の草花は、私たちを楽しませるためにきれいに咲くんだね」→「花にも、私たちを喜ばせてあげたいという気持ちがあるから」

④「どんなに暗くても、見ようとすれば物は見えるよ」→「絶対に見えるぞ」って思えば、絶対に見える。

4年生  《子どもの考え》           【その根拠や理由】

①「野原の虫は、遊んでいるだけだよ」→「野原は遊ぶ場所だから」

②「温めても、五十円玉の大きさは変わらないよ」→「大きさが変わってしまうと、自動販売機で使えないよ」

③「ストーブで温められた空気は、床の上にどんどん溜まっていくよ」→「ストーブから温かい空気が流れ出すから」

④「水蒸気は、目に見えるよ」→「機械だから(水蒸気と清浄機との混同)。だって、見えない物がどうしてあるの?」 

5年生  《子どもの考え》           【その根拠や理由】

①「うまれたばかりの赤ちゃんメダカは、親メダカから餌をもらうよ」→「人間の赤ちゃんも、お母さんから食べ物をもらうから」

②「食塩水を顕微鏡で見ると、食塩の粒が見えるよ」→「食塩が細かくなっていて、人の視力では見えないだけ」

③「太陽が高く上ると、気温が下がるよ」→「高くなると、光の届く場所が多くなり、光が薄くなる」

④「木の枝や葉が揺れるから、風が吹くんだね」→「揺れると、ザワザワ音がして、その後、風が吹いてくるから」

6年生  《子どもの考え》           【その根拠や理由】

①「茎はストローのようになっていて、中の穴を水が通るんだよ」→「タンポポの茎は、ストローみたいに水が通れるようになっているから」

②「水に鉄を入れても、水は変化しないよ」→「鉄は錆びるけど、水の方は変化しない」

③「N極とS極を変えられる磁石なんてないよ」→「N極とS極が変わったら、方位磁石が変になるよ」

④「陸の生き物の化石は陸で、海の生き物の化石は海底で、見つかるよ」→「だって、棲んでいた場所で、死んで化石になるから」

※「変わる理科教育の基礎と展望」(東洋館)より引用