<2011年3月にまとめた以下の記事を復刻します。>
ふと、エリザベス・テイラーのことを思い出した。 彼女に関する記事と映像を以下に載せておきます。映像はきっと目の保養になるだろう。
<エリザベス・テイラー逝く>
ハリウッドの大女優エリザベス・テイラーさんが死去した。79歳。謹んで哀悼の意を捧げたい。
小学生の頃、彼女が出た映画を初めて観て、その美しさに茫然自失とした。アメリカにはこんなに美しい人がいるのかと思ったものだ。戦後、アメリカの栄光を象徴するかのような大女優であった。
以下の文は2009年7月に書いたものだが、“永遠の美女”エリザベス・テイラーを偲んで原文のまま復刻しておきたい。リズよ、いろいろ楽しませていただきありがとう! ご冥福をお祈りします。(2011年3月24日)
<永遠の美女・エリザベス・テーラー>
1) ユーチューブ(You Tube)を検索していたら、エリザベス・テーラーやマリリン・モンローらの映像が沢山あるのを発見した。嬉しくなっていろいろ見ていたら、つい最近だろうか、すっかり老けこんで車椅子に乗ったエリザベス(リズ)・テーラーの映像が出てきたので少しがっかりした。絶世の美女と言われたリズのこのような映像は見たくない! しかし、アメリカ人というのはオープンな性格なのだろうか(それも良いのだが)、77歳の年老いたリズでも平気で映すようだ。
日本だと例えば、原節子(今でも御健在のようだ)のような美人女優は、年を取れば決して人前には現われない。また、周囲も気を使って老醜を撮るようなことは控えるだろう。その点がアメリカと日本の文化やデリカシーの違いかもしれない。
それはともかく、若き日のエリザベス・テーラーの様々な映像を見ていると、私はどうしてもリズのことを書きたくなってきた。そうは言っても、実は3年ほど前に一度記事にしたことがあるので、一部を復刻しながら再度「エリザベス・テーラー」に“挑戦”しようと思う。末尾にリズの映像(最近の老醜の姿は除く)をリンクしておくが、とにかく彼女のことを書くと元気が出てくるのだ。
2) エリザベス・テーラーに“衝撃”を受けたのは、55年以上も昔の小学生時代だった。初めてリズの映画を見たのは小学5年の時だったと思うが、当時、静岡市に住んでいた私はある日、父に連れられて洋画館へ行った。 上映されていたのは『可愛い配当』という映画で、これは後で分かったのだが『花嫁の父』という映画の続編というものだった。
“可愛い配当”とは孫のことで、嫁いだ娘(エリザベスの役)が赤ちゃんを産んだので、祖父役のスペンサー・トレーシーが大喜びして可愛がるのだが、乳母車に乗せて散歩している間にある失敗をおかして孫を見失い、大騒ぎになるというドタバタ喜劇であった。
一緒に見ていた父は、私の姉のところに生まれた孫を思い出してか大笑いして映画を見ていたが、小学生の私はその時、エリザベス・テーラーの美しさに茫然自失としていた。 こんなに美しい人が世の中に存在するのかという思いだった。その美しさは表現の仕様もないほどだった。あえて言わせてもらえば、溢(こぼ)れんばかりの美しさだった。
彼女は当時19歳だったが、その頃が青春の最も美しい輝きを発していたのだろう。 私は父からエリザベス・テーラーの名前を初めて教わったのだが、その後、リズの映画を事あるごとに見るようになった。アメリカにはこんなに美しい人がいるのかと思うと、アメリカ自体がますます豊かで素晴らしい国であるかのように感じた。
当時は、第二次世界大戦でアメリカに完敗し連合国の占領下に置かれていた日本が、ようやく独立を回復したばかりの時期だけに、とにかくアメリカが強大で素晴らしく見えたのである。 従って、エリザベス・テーラーだけでなく、ジョン・ウェインやゲイリー・クーパーらハリウッドの大スターは皆輝いて見えた。
その後も、グレゴリー・ペックやバート・ランカスター、カーク・ダグラスといった俳優の他に、女優ではマリリン・モンロー、オードリー・ヘプバーン、グレース・ケリーらが銀幕に続々と登場し多くの日本人を魅了したのである。 フランスやイタリアの映画も人気を博したが、ハリウッドに代表されるアメリカ映画が圧倒的な影響を日本に与えたことは間違いない。
3) エリザベスの映画は『陽のあたる場所』『ジャイアンツ』『熱いトタン屋根の猫』などと続いていくが、彼女が31歳の時に出演した『クレオパトラ』は特に印象深い。すでに大スターになっていたが、クレオパトラの役柄は当時はリズ以外の女優では荷が重かったと思う。
丁度その頃、私は某テレビ局への就職が内定し職場で研修を受けていたが、ある日、『クレオパトラ』で彼女が身に着けていた衣装や首飾りがスタジオに展示されたため、同僚と共に見に行ってそれに触れたことを思い出す。その時、憧れの大女優に接したかのような“錯覚”を味わったのである。
しかし、その頃から(あるいは、それより少し前から)、エリザベスは太り気味になっていた。銀幕を通して見る彼女は明らかに豊満な体つきになり、20歳前後の頃の清楚なイメージは失われていったのである。どこか妖艶な雰囲気を漂わせるようになっていた。 同じ妖艶でも、その頃亡くなったマリリン・モンローとは趣が違うが、要するに“熟した”といった感じなのである。
果たせるかな、妖艶なエリザベスは次々に結婚と離婚を繰り返していく。すでに親友の夫と“略奪結婚”をしていたが、、『クレオパトラ』で共演したリチャード・バートンとも不倫の恋の末に結婚、そして離婚、またバートンと再婚して離婚、そして結婚、離婚、結婚、離婚・・・都合、8回の結婚と離婚を繰り返した(夫が不慮の死を遂げたのもある)。こういう人は滅多にいないだろう。
このため彼女は“スキャンダル”に彩られた人生を送ったことになる。リズを悪く言う人は大勢いる。やれ傲慢だ、名声に驕り高ぶっている、男を食い物にしている、鼻持ちならない等々・・・ しかし、絶世の美女というのは昔からそういうものだろう。美人だからいつも注目され、男から言い寄られる。さんざん誉められ、さんざん貶(けな)されるのだ。
どうやら、私はエリザベス・テーラーを弁護しているようだが、ギリシャの伝説に出てくる稀代の美女(傾国の美女)・ヘレネもそう描かれている。 ゲーテの『ファウスト』に登場する彼女は「さんざん誉められたり、貶されたりしたヘレネです」と挨拶するのだ。“現代のヘレネ”も多分そうなのだろう。
4) リズは気品面では、同じ美人女優のイングリッド・バーブマンに及ばなかった。また、妖艶さや色気ではマリリン・モンローに敵(かな)わなかったと思う。彼女は身長が162センチだから、外国の女優の中ではプロポーションが抜群というわけではない。 しかし、小学生時代にたとえようもない衝撃を受けた私としては、地球上でエリザベス・テーラーが最も美しい人に見えてしまったのだ。だから、リズの映像はDVDで子役の頃のものを含めて数多く持っている。
彼女の顔の美しさは抜群である。目も鼻も唇もなにもかも花のように輝いている。あまり具体的なことを記すとペダンチックと受け取られかねないが、リズの瞳は何か神秘的でさえある。彼女の虹彩(こうさい)が世にも珍しいバイオレット(すみれ色)だからだろうか、あの瞳に見つめられたら大抵の男はフラフラっときてしまうだろう。
若い頃、形容しがたいほどの美女だったエリザベス・テーラーも、今や車椅子に乗る老女と化した。長生きすればどんな美人も老醜をさらけ出すことになる。これは仕方のないことだ。人生の最終コーナーにきて、永遠の美女の自重自愛を祈るしかない。(2009年7月1日)
エリザベス・テーラーの各種映像
http://www.youtube.com/watch?v=s0l6gfn54-E&feature=related(バイオレットの瞳・3分13秒)
http://www.youtube.com/watch?v=wVupzIUmcwo&feature=related(映画「陽のあたる場所」・3分38秒)
http://www.youtube.com/watch?v=0qIEoGrSY8M&feature=fvw(幼少時からの映像・9分16秒)
http://www.youtube.com/watch?v=IWiF3uF0B1Q&feature=related(5分30秒)
リズはスキャンダルが多くたしかに気品に欠けていましたが、私にとってはやはり永遠の美女です。 ハリウッドの全盛期に出てきたので、そういう思いは変わらないでしょう。
その点、今は美女の評価もいろいろですね。個性がより尊重される時代になってきたからでしょうか。
個性が豊かになれば、美女の基準もますます多様化すると思います。
実際、若かりし頃のりズの美しさは他を寄せ付けないところがありましたね。惜しむらくは気品、優雅という点では少し・・・いやいや、彼女の最盛期はそれをも上回る美貌がありました^^
先日テレビで久しぶりにマリリン・モンローを観ましたが、セックスシンボルと云われた彼女もなにか一生懸命演技をしているふうが見られ、少し痛ましい気がしました。美しさゆえに若干36歳でこの世を去る。ですからフアンに老いた姿を見せずに終わった。。。まさに永遠の女神ですね。