第3場[8月中旬、上吉田村にある高利貸し・山中常太郎の家。 常太郎と妻のヨネ。]
ヨネ 「あなた、借金をした農民がきょうも何人かやって来て、ご主人に会わせてくれとか、返済を延期してほしいなどと言ってきましたよ」
常太郎 「まったく困ったものだ。 返済は延期できないと、この前はっきりと言っておいたのに。ほんとに図々しい奴らだな。借用証書にも返済期限がちゃんと書いてあるじゃないか」
ヨネ 「1年 . . . 本文を読む
以前、俳句のことでいろいろ話したことがあるが、日本人はどうも「権威」や「形式」に弱い。今は民主主義社会だから、昔のように「お上」にひれ伏すことは少なくなったが、権威に弱い風習は未だに残っているようだ。 そこで、以前取り上げた俳句の話を、もう一度書き直しながら論じていきたい。
松尾芭蕉像(葛飾北斎の画)
「松島や ああ松島や 松島や」という句がある。素人や俳句を始めたばかりの人が . . . 本文を読む
<2022年8月20日に書いた以下の記事を復刻します>
<はじめに>「旧統一教会」のことばかり考えていると、暗たんとした気持ちになる。救いようのない感じになるのだ・・・ ほかになにか書くことはないかと模索していたら、唾液腺のことを思い出した。少し下品な話になるかもしれないがお許し願いたい。
1) よく涙腺が崩壊して涙がとまらないと言うが、唾液腺ももちろん崩壊する時がある。私は医学的、生理学的な . . . 本文を読む
フォークグループの「赤い鳥」が1971年(昭和46年)に発表した曲で、作詞は山上路夫、作曲は村井邦彦である。多くの歌手が歌っているが、山本潤子のものを載せよう。私もこの曲には思い出があり、特に23年前、定年でテレビ局を去る時の送別会で、後輩の女子社員やアルバイト女性らが、この唄を歌って見送ってくれたことが忘れられない。 人間も死に際には、この唄の歌詞のような気持ちで“天国” . . . 本文を読む
〈はじめに〉
このレーゼドラマ(読むための戯曲)はフィクションではあるが、もとより史実に基づくことに留意している。私が最も参考にした著作は、「秩父事件」(井上幸治著・中公新書)と「秩父困民党」(井出孫六著・講談社現代新書)である。他の参考文献・ビデオ、映画などは以下の通りである。
「秩父事件〈佐久戦争〉を行く」(上條宏之編・銀河書房)、「秩父コミューン伝説」(松本健一著・河出書房新社)、「秩父 . . . 本文を読む
終戦後、最も有名になった曲は『みかんの花咲く丘』だろう。この童謡がNHKラジオで放送された直後に、全国の津々浦々からもの凄い反響があったという。敗戦に打ちひしがれた人々は、きっと心の潤いと慰めを求めていたのだろう。 川田正子さんの歌声が今でも忘れられない。
https://www.youtube.com/watch?v=9JLubaIMfeI . . . 本文を読む
〈以下の記事を復刻します〉
織田信長の肖像画(三宝寺所蔵)
織田信長については、実に多くの伝記や歴史小説が出ているので、ほとんどの人がその存在を知っていると思う。 また、私などよりも、信長について詳しく知っている人は大勢いるはずである。 従って、具体的な事例を示しつつも、むしろ私の“信長観”をできるだけ語っていきたいと思う。 一言でいって信長は、日本史上、類例を見な . . . 本文を読む
<以下の文を復刻します>
ヒュパティアの想像画
久しぶりに素晴らしい映画・DVDを観た。『アレクサンドリア』という2009年のスペイン映画で、レイチェル・ワイズ(ヴァイス)が知的で美しい女性天文学者を演じる。ヒュパティアという4世紀から5世紀に実在した女性の話だが、彼女は最後にキリスト教徒によってなぶり殺される。熱狂的なキリスト教に批判的なヒュパティアは、学問でもキリスト教の天動説に疑問を . . . 本文を読む
<2022年8月13日に書いた記事を“原文のまま”復刻します。>
1) 一国の元総理大臣が公衆の面前で暴漢に射殺されるというのは、尋常なことではない。ご存知のように、安部晋三元総理大臣が7月8日、参議院選挙の応援演説に行った奈良市内で、山上徹也という男に手製の銃で撃たれて死亡した。この事件は日本中を驚かせた。戦前ならいざ知らず、戦後の平和な日本でこのような“テ . . . 本文を読む