シオンのアパートでかあちゃんはたくさんのデパ地下で買った食べ物を
並べて待っていた。
なかなかシオンは帰ってこなかった。かあちゃんは待っていたがとうとうお腹
がすいてしまったので、食べようとしたときにシオンが疲れきって帰ってきた。
二人は、黙って食べた。
「なんか、もっとおいしいものだと思って、高いお金出して買ったのに、
あまり、おいしくないね。」と、かあちゃんはいった。
「なんか、残り物みたいな味。このジャガイモポテト、おいしくないね。
ジャガイモの新鮮さがないよね。もっと、ジャガイモって甘いよね。
小松菜も、今の小松菜は、冬からさめたつぼみを持った野菜だから、エネルギーの
かたまりみたいなのに。」
黙って聞いていたシオンは、いらいらしていった。
「なんで、そんなに文句言うんだよ。ここじゃ、こんなものしか食べられないんだよ。誰が、作ってくれるっていうんだ。
かあちゃんよ。キュウキュウショップってしってるかい。99円で何でも
あるんだよ。もちろん野菜も、食料もね。まさしく、都会の救急ショップだよ。
そこで、命をつないでんのさ。みんながね。」
まるで自分に対して言っているように、自嘲的にシオンはさらに続けた。
「文句ばっかり言ってないで、帰れよ。くそばばあ。
ここは、くそばばのいるところじゃねーよ。」
****
遠くから聞こえる、潮騒のような音は、それは、都会のうなり声だった。
静けさを取り戻した都会の夜に、かあちゃんは眠れない夜を眠ろうとした。
布団のない、コタツにもぐりこんで、一枚の毛布に、頭までもぐりこんだ。
昼間の労働はいつでも、かあちゃんに千金の値の眠りを運んできたが、
今夜は隣で眠るシオンのことが気になって、都会のうなり声も耳について眠れなかった。
気がつくと、窓のカーテンの外は明るくなっていた。
つづく
並べて待っていた。
なかなかシオンは帰ってこなかった。かあちゃんは待っていたがとうとうお腹
がすいてしまったので、食べようとしたときにシオンが疲れきって帰ってきた。
二人は、黙って食べた。
「なんか、もっとおいしいものだと思って、高いお金出して買ったのに、
あまり、おいしくないね。」と、かあちゃんはいった。
「なんか、残り物みたいな味。このジャガイモポテト、おいしくないね。
ジャガイモの新鮮さがないよね。もっと、ジャガイモって甘いよね。
小松菜も、今の小松菜は、冬からさめたつぼみを持った野菜だから、エネルギーの
かたまりみたいなのに。」
黙って聞いていたシオンは、いらいらしていった。
「なんで、そんなに文句言うんだよ。ここじゃ、こんなものしか食べられないんだよ。誰が、作ってくれるっていうんだ。
かあちゃんよ。キュウキュウショップってしってるかい。99円で何でも
あるんだよ。もちろん野菜も、食料もね。まさしく、都会の救急ショップだよ。
そこで、命をつないでんのさ。みんながね。」
まるで自分に対して言っているように、自嘲的にシオンはさらに続けた。
「文句ばっかり言ってないで、帰れよ。くそばばあ。
ここは、くそばばのいるところじゃねーよ。」
****
遠くから聞こえる、潮騒のような音は、それは、都会のうなり声だった。
静けさを取り戻した都会の夜に、かあちゃんは眠れない夜を眠ろうとした。
布団のない、コタツにもぐりこんで、一枚の毛布に、頭までもぐりこんだ。
昼間の労働はいつでも、かあちゃんに千金の値の眠りを運んできたが、
今夜は隣で眠るシオンのことが気になって、都会のうなり声も耳について眠れなかった。
気がつくと、窓のカーテンの外は明るくなっていた。
